NEC cotomi 国産LLM 中小企業の社内文書検索を高精度化する導入ガイド
「cotomi(コトミ)」は、NECが独自開発した日本語特化の大規模言語モデル(LLM)です。RAG(外部知識を参照する AI 仕組み)による社内文書検索で高い正答率を実現すると公式発表されていますが、公開された月額料金プランはなく、中小企業が実際に導入できる窓口は限られています。本記事では、公式情報をもとに実力と導入のハードルを編集部が整理します。
- cotomiはNECが独自開発した日本語特化の大規模言語モデル(LLM)。2024年4月に「cotomi Pro」「cotomi Light」を発表、2026年現在は「cotomi v3」が最新版
- NEC公式発表(2024年4月24日)によれば、RAGによる社内文書検索でファインチューニング後にGPT-4を上回る正答率を、GPT-4使用時のおよそ1/15のレスポンスタイムで実現
- 2026年3月、デジタル庁の「ガバメントAIで試用する国内大規模言語モデル」公募に選定され、政府職員向け利用環境での試用評価が進む予定
- cotomi自体は法人・自治体向けの個別提供が基本で、公開の月額料金プランは無い(2026年7月時点)
- 中小企業が実際に使える現実的な窓口は、大塚商会が提供する「美琴 powered by cotomi」(オンプレミス専用サーバー、2025年4月23日提供開始)
編集長の見解: cotomiは技術力・実績ともに国産LLMの中で高く評価できる存在で、政府の実証事業に選ばれるだけの信頼性もあります。ただし「中小企業が今日から気軽に契約できるサービス」ではありません。公式サイトに公開料金プランはなく、実際の入口は大塚商会が扱うオンプレミス専用サーバー「美琴 powered by cotomi」です。まずは自社にオンプレミス導入のニーズと予算感があるかを見極めたうえで、資料請求・見積もり相談に進むのが編集部のおすすめです。
cotomiとは何か (NEC独自開発の国産LLM)
cotomiは、NECが独自に開発した生成AIのコア技術で、高速な応答と高精度な日本語処理、豊富な提供形態を特長としています (NEC公式サイト「cotomi」紹介ページ)。2024年4月には、学習データやアーキテクチャを刷新した「cotomi Pro」「cotomi Light」を発表しており、グローバルのLLMと同等の性能を十数倍の速度で実現するモデルと位置づけられています (NEC公式プレスリリース 2024年4月24日)。
その後もモデルの改良は続いており、2026年7月時点の最新版は「cotomi v3」です。エージェント性能の強化や、入出力トークン長を128K(日本語換算で約20万語)へ拡大するなど、AIエージェントとの連携を意識した機能追加が進んでいます (NEC公式サイト「cotomi」紹介ページ)。
編集部メモ: 2026年3月9日、cotomi v3はデジタル庁が実施する「ガバメントAIで試用する国内大規模言語モデル(LLM)の公募」において、国内開発LLMとして選定されました。政府職員向けの生成AI利用環境(プロジェクト名「源内」)で、行政実務への適合性を見極める試験評価が行われる予定です (NEC公式プレスリリース 2026年3月9日)。国産LLMとして国レベルの評価対象に選ばれている点は、技術的な信頼性を測る材料の一つになります。
政府機関からも一定の評価を受けている技術基盤だと分かったところで、本題である「社内文書検索」でどれだけの効果があるのかを次に見ていきます。
RAGによる社内文書検索でどれだけ高精度化するか
cotomiの特長の一つが、RAG(検索拡張生成)と呼ばれる仕組みを使った社内文書検索です。RAGとは、AIが回答を作る際に社内マニュアルや過去の文書を検索して参照する仕組みで、社外に公開できない機密情報を扱う業務でも活用しやすいとされています。
NEC公式プレスリリース(2024年4月24日)には、RAGによる社内文書検索システムにおける具体的な検証結果が明記されています。
- 正答率の水準: GPT-3.5以上
- 想定インフラ: 標準的なGPU2枚構成
- 正答率の水準: GPT-4を上回る
- レスポンス速度: GPT-4使用時のおよそ1/15の応答時間
NEC公式プレスリリース(2024年4月24日)の実験結果に基づく。実際の精度・速度は自社のデータ量や運用環境によって変動する
注意点: この数値はNECが公開した実験環境での結果であり、すべての企業で同じ精度・速度が再現される保証ではありません。自社文書の量や質、検索対象の業務内容によって結果は変わります。導入を検討する際は、自社データでの実証(PoC)を提案してもらえるか、問い合わせ時に確認しておくと安心です。
数値上の実力は確認できましたが、実際にこの技術を中小企業が使うにはどこに問い合わせればよいのでしょうか。次のセクションで確認します。
中小企業が実際に使える窓口はどこか
cotomiは、NECが金融機関や自治体、大企業向けに個別のシステムとして提供するケースが中心の技術です (NEC公式サイト「cotomi」紹介ページ)。公式サイトを見る限り、中小企業が単独でcotomiを直接契約できる公開窓口は見当たりません。
cotomi単体への直接契約は前提にしない: NEC公式サイトのcotomi紹介ページには、料金プランの記載や「お申し込み」ボタンの類はなく、金融・自治体など幅広い業界の顧客と個別に生成AI活用の取り組みを進めていると案内されています。中小企業が単独で直接NECにcotomiを発注する、という導線は現時点で確認できません。
そこで中小企業にとって現実的な入口になるのが、NECと大塚商会が共同で商品化した「美琴(みこと) powered by cotomi」です。2025年1月28日に発表され、2025年4月23日から提供が開始されています (NEC・大塚商会共同プレスリリース 2025年1月28日)。
美琴 powered by cotomiは、cotomiを搭載したタワー型のオンプレミス専用サーバーで、外部ネットワークに接続しないセキュアな環境のまま、文書の作成・要約や社内情報検索、ナレッジ管理といった業務に使えるよう設計されています (大塚商会公式製品ページ「美琴 powered by cotomi」)。プレスリリースには「大手企業だけでなく、中堅・中小企業のお客様による生成AIの活用を推進」すると明記されており、販売目標は300社とされています (NEC・大塚商会共同プレスリリース 2025年1月28日)。
| 窓口 | 提供形態 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| cotomi (NEC直接) | 個別システム提供 | 大企業・金融機関・自治体が中心 | 公開料金プランなし、個別の生成AI活用プロジェクトとして提供 |
| 美琴 powered by cotomi (大塚商会) | オンプレミス専用サーバー(タワー型) | 大手企業〜中堅・中小企業(販売目標300社) | 外部ネットワーク非接続、社内文書検索・ナレッジ管理向け |
社内でクラウド利用が禁止されている、あるいは機密情報を外部に出したくないという事情がある中小企業にとって、美琴 powered by cotomiは検討に値する選択肢です。次に、気になる料金の実態を確認します。
料金はどうなっているか (オープン価格の実態)
結論から言うと、cotomi・美琴 powered by cotomiのいずれも、2026年7月時点で公式サイトに具体的な金額は公開されていません。大塚商会の製品ページでは、サーバー本体の価格欄が「オープン価格」と記載されているのみです (大塚商会公式製品ページ「美琴 powered by cotomi」)。
失敗パターン: 「国産で安心そうだから」と料金を確認しないまま社内で導入前提の話を進めてしまうと、見積もり後に想定外のコスト感とのギャップに気づき、話が止まってしまうことがあり得ます。GPU搭載のオンプレミス専用サーバーという性質上、月額制のクラウドサービスと比べて初期費用が大きくなりやすい点は、問い合わせ前に社内で共有しておきたいところです。
大塚商会の窓口ページには「価格のご相談」「価格を教えて欲しい」といった問い合わせ内容が想定質問として明記されており、資料請求・問い合わせを通じて初めて具体的な金額が分かる仕組みです (大塚商会公式製品ページ「美琴 powered by cotomi」)。
編集部のヒント: 問い合わせの際は「利用人数・想定用途」「扱う文書の機密度」「クラウド利用が禁止されている事情の有無」「予算の上限イメージ」の4点を先に整理しておくと、見積もりの精度もスピードも上がります。あわせて、自社データでの精度検証(PoC)を実施してもらえるかどうかも確認しておくと安心です。
補助金活用のヒント: オンプレミス専用サーバーの導入費用は高額になりやすいため、IT導入補助金などの対象になるかを合わせて確認する価値があります。詳しくは デジタル化・AI 導入補助金 2026 の記事 で対象範囲と申請の流れを確認したうえで、大塚商会など導入支援事業者に対象ツールとして登録されているか問い合わせるとよいでしょう。
料金が「要問い合わせ」である実態を踏まえたうえで、実際に検討を進める場合の一般的な流れを整理します。
導入検討の流れ (問い合わせから運用開始まで)
ここでは、大塚商会公式ページに掲載されている問い合わせ導線をもとに、中小企業の情報システム担当者が検討を進める際の一般的な流れを編集部が整理します。
手順自体は一般的なオンプレミスIT機器の導入と大きく変わりませんが、他の生成AIサービスとどう使い分けるべきかも押さえておきましょう。
他の社内文書検索サービスとの使い分け
美琴 powered by cotomiは「オンプレミス・セキュア環境」を重視するサービスです。用途によっては、クラウド型の生成AIサービスの方が中小企業にとって始めやすい場合もあります。
| 目的 | 第一候補 | 補足 |
|---|---|---|
| クラウド利用が禁止されており、オンプレミスで国産AIの社内文書検索を使いたい | 美琴 powered by cotomi | オープン価格、大塚商会への問い合わせが前提 |
| ノーコードでRAGアプリ・社内ナレッジベースを2週間程度で立ち上げたい | Dify | 無料のお試し枠(Sandbox)があり、少人数からでも試しやすい |
| 契約書・議事録などの文書を手早く要約・整理したい | Box AI | クラウド型でスモールスタートしやすい |
| 既存のOffice/Microsoft 365環境にAIを組み込みたい | Microsoft Copilot | 月額¥4,500からと料金が明確 |
| Slack・Notionなど複数ツールを横断検索したいが高額な海外製品で迷っている | Glean は中小企業に高すぎる? 比較記事 | 年額の高さと中小企業向け代替案を比較 |
編集長の結論: cotomiの技術力そのものは、公式発表の数値やデジタル庁の選定実績を見る限り高く評価できます。ただし「中小企業が今すぐ気軽に契約できるサービス」ではなく、実態は大塚商会経由のオンプレミス専用サーバー「美琴 powered by cotomi」への相談が入口です。まずはクラウド禁止などの事情が本当に自社にあるかを確認し、なければ月額制のクラウドサービスから検討するのが現実的な進め方です。
よくある質問
- cotomiに個人や小規模事業者が直接申し込めますか?: 公式サイト上、cotomi自体は法人・自治体向けの個別提供が中心で、直接の申し込み窓口は見当たりません。中小企業が検討する場合は、大塚商会が扱う「美琴 powered by cotomi」への問い合わせが現実的な入口です。
- 美琴 powered by cotomiの価格はいくらですか?: 大塚商会の公式製品ページでは「オープン価格」と記載されており、具体的な金額は問い合わせ・見積もりを通じて確認する仕組みです。
- クラウドで気軽に試す方法はありますか?: 2026年7月時点で、cotomi・美琴 powered by cotomiともに個人向けの無料トライアルは公式に確認できません。まずはクラウド型のDifyなど、無料枠のあるサービスで生成AIによる社内文書検索の使用感を確かめる方法もあります。
- cotomiは今後も開発が続きますか?: 2026年3月にcotomi v3がデジタル庁のガバメントAI試用に選定されるなど、2026年7月時点でも継続的な機能強化が確認できます。最新の提供状況は必ず公式サイトで確認してください。
出典・参考情報
- NEC開発のAIコア技術「cotomi」: NEC Generative AI | NEC
- NEC、世界トップレベル性能の高速な大規模言語モデル(LLM) cotomi Pro / cotomi Light を開発(2024年4月24日): プレスリリース | NEC
- 大塚商会とNEC、オンプレミス環境での生成AI利用を実現する『美琴 powered by cotomi』の提供を開始(2025年1月28日): プレスリリース | NEC
- 美琴 powered by cotomi | 大塚商会 公式製品ページ
- NEC、「ガバメントAIで試用する国内大規模言語モデル(LLM)」に選定(2026年3月9日): プレスリリース | NEC
Mira / AI経営ラボ 編集長
もっと深く学ぶための関連書籍
国産LLMを選ぶかどうかにかかわらず、「セキュリティ要件と生成AI活用をどう両立させるか」を設計する力は経営者・担当者自身に求められます。オンプレミスAIやセキュアな生成AI導入の考え方を扱った書籍を押さえておくと、美琴 powered by cotomiのようなサービスを検討する際の判断材料が増えます。
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料金プラン
| プラン | 料金 (JPY) | 請求 |
|---|---|---|
| cotomi (企業・自治体向け直接提供) | ¥0 | 買い切り |
| 美琴 powered by cotomi (オンプレミス専用サーバー、大塚商会経由) | ¥0 | 買い切り |
👍 メリット
- NEC独自開発の日本語特化LLMで、2026年3月にデジタル庁の「ガバメントAIで試用する国内大規模言語モデル」に選定されるなど、公的機関レベルの信頼性評価が進んでいる
- 公式発表(2024年4月24日プレスリリース)によれば、RAGによる社内文書検索でファインチューニング後にGPT-4を上回る正答率を、GPT-4使用時のおよそ1/15のレスポンスタイムで実現
- オンプレミス型の「美琴 powered by cotomi」なら、外部ネットワークに接続しないセキュアな環境で機密性の高い社内文書を扱える
- 大塚商会との提携により、大手企業だけでなく中堅・中小企業も導入対象に含める方針が公式プレスリリースで明記されている(販売目標300社)
- cotomi Pro/cotomi Light/cotomi v3と用途に応じたモデル展開があり、業種特化モデルの開発も継続的に進んでいる
👎 デメリット
- cotomi自体は法人・自治体向けの個別提供が基本で、公式サイトに月額等の公開料金プランがない(2026年7月時点、問い合わせ・個別見積もりが前提)
- 中小企業向けの入口である「美琴 powered by cotomi」もオープン価格のため、正確な導入コストは大塚商会への相談を経ないと分からない
- オンプレミス専用サーバーの導入が基本で、クラウド型のサービスのような『まず無料で触ってみる』導線が公式には見当たらない
- 個人事業主や数名規模の会社が単独で直接契約できる窓口は現時点で確認できず、まずは大塚商会などパートナー経由の相談が前提になる
- 具体的な機能一覧や向いている業務範囲の詳細は公式サイトの記載が少なく、資料請求や問い合わせをしないと分かりにくい