Retell AI 電話応対ボイスエージェント 中小企業の導入コストと使い方
鳴り続ける電話に手が取られ、本来の仕事が進まない。Retell AI は、その一次対応を肩代わりするAIボイスエージェントです。話した分だけの従量課金で、1 分あたり約 ¥11 から。営業時間外の取りこぼしを、月数千円規模から減らせます。
- 料金は月額固定ではなく従量課金。実効単価は構成しだいで 1 分 ¥11〜¥46 が目安
- 登録時に $10(約 ¥1,500 相当)の無料クレジットがあり、自社シナリオを試せる
- 音声エンジン・LLM・電話回線の3 つの料金が積み上がる構造を理解するのが失敗しないコツ
- 20 回線までの同時通話は無料。小さな店舗・事務所なら追加費用なしで運用できる
- 予約受付、営業時間外の折り返し予約、よくある質問の一次対応が現実的な使いどころ
編集長の見解
Retell AI の価値は「電話に出られなかった件数」を減らせる点にあります。重要なのは全自動化ではなく、AIが一次対応と情報整理を担い、人は判断が要る用件だけに集中する分業です。まずは無料クレジットの範囲で、自社のよくある問い合わせ 3 パターンを試すことを編集部は勧めます。
Retell AI とは何か
Retell AI は、電話でかかってきた(あるいはこちらから発信する)通話に、AIが人間のように音声で応対するサービスです。あらかじめ「どんな用件に、どう答えるか」を設定しておくと、AIが会話し、要点を記録してくれます。
一般的な自動音声(「ご予約は 1 を…」というプッシュ操作)と違い、相手は自然な言葉で話しかけられます。予約の受付、営業時間や場所の案内、折り返し希望の聞き取りといった定型的なやり取りを任せられるのが特徴です。
- 着信対応: 電話に出られないときの一次受けとして、用件を聞き取って記録
- 発信: 予約リマインドや簡単な確認連絡を自動で架電
- 記録: 通話内容をテキスト化し、要点を後から確認できる
ボイスエージェントの選び方全体を俯瞰したい方は、AI音声ツールの比較記事もあわせてご覧ください。次のセクションでは、多くの人がつまずく「料金の仕組み」を分解します。
💰 料金の仕組み — 3 つの費用が積み上がる
Retell AI の料金でいちばん誤解されやすいのが、「1 分 ¥11 から」という表示だけを見て予算を組んでしまう点です。実際の通話コストは、次の 3 つ(+任意の追加機能)を足し合わせた金額になります。
| 費用の内訳 | 役割 | 目安(1 分あたり・¥150/$ 換算) |
|---|---|---|
| 音声エンジン | 声を合成し会話を成立させる基盤 | 約 ¥11($0.07)〜 |
| LLM(AIの頭脳) | 応答内容を考える大規模言語モデル | 約 ¥1(安価モデル)〜 ¥12(高性能) |
| 電話回線 | 公衆電話網への接続 | 約 ¥2($0.015、国により変動) |
| (任意)品質向上 | ノイズ除去・知識参照など | 各 +¥1 前後 |
つまり、安価なLLMを選んだ最小構成なら 1 分 ¥11〜¥15 程度、高性能な大規模言語モデル(LLM)と高品質音声を組み合わせると 1 分 ¥40 超まで上がります。公式は実運用の目安を 1 分 $0.13〜$0.31(約 ¥20〜¥46)としています。
編集部のヒント
まずは安価なLLM(例: 軽量モデル)と標準音声で始め、聞き取り精度に不満が出た箇所だけ上位モデルへ切り替えるのが費用対効果の高い進め方です。全通話を高性能モデルにする必要はありません。
月額の固定費はほぼ発生せず、代わりに電話番号の維持費(1 番号 約 ¥300/月)などが実費でかかります。次に、実際に月いくらになるのかを編集部の試算で示します。
月額コストの試算 — 通話量別のシミュレーション
以下は、1 分あたりの実効単価を「標準構成の目安 ¥20」として、1 件あたり平均 3 分で計算した編集部のシミュレーションです。実際の金額は構成・通話時間・為替で変動します。
月 100 件規模なら、月 ¥6,000 台から一次対応を自動化できる計算です。パート 1 名を数時間ぶん電話番に充てる人件費と比べれば、取りこぼし削減の効果しだいで十分に見合う水準といえます。
- 小さく始めやすい: 通話がなければ費用も発生しない従量課金
- 上限管理が要る: 通話量が読めない業種は、上位LLM多用で単価が跳ねる点に注意
- 為替の影響: ドル建てのため、円安が進むと実質コストは上がる
次のセクションでは、導入前後で電話まわりの負担がどう変わるかを整理します。
導入前後で何が変わるか
- 営業中は電話のたびに作業が中断
- 昼休み・営業時間外は取りこぼし
- 折り返し先のメモが散在
- 誰が何を聞いたか属人化
- 定型の用件はAIが応対・記録
- 24 時間、用件の聞き取りが可能
- 通話内容が自動でテキスト化
- 人は判断が要る件だけに集中
AIは一次対応と記録、人は判断——という分業が現実的な着地点です。
ここで大切なのは、電話をすべてAIに任せることではありません。クレームや個別事情の相談など、判断が要る用件は必ず人へつなぐ設計にしておくことが、顧客満足を落とさない前提になります。
編集部の警告 ①
日本語の聞き取りには当たり外れがあります。金額・日時・氏名など聞き間違いが致命傷になる情報は、AIに復唱・確認させる、または人へ引き継ぐフローを必ず組み込んでください。「全部AI任せ」は事故のもとです。
編集部の警告 ②
録音・AI応対を行う場合は、通話冒頭での案内など、事業者としての適切な告知を検討してください。個人情報の取り扱いは自社のプライバシーポリシーと整合させる必要があります。導入前に運用ルールを決めておきましょう。
電話の後工程(予約台帳への転記など)まで自動化したい場合は、予約受付の自動化レシピのような連携も検討に値します。次は、実際に使い始めるまでの手順です。
導入ステップ — 無料クレジットで試すまで
いきなり本番の電話番号につなぐ必要はありません。まずは $10 の無料クレジット(約 ¥1,500 相当)の範囲で、自社のよくある問い合わせを試すのが安全です。
いきなり全着信を任せず、「営業時間外の一次受けだけ」から始めると、失敗しても影響が小さく済みます。次に、他のボイスエージェントとの違いを整理します。
競合との違い — どんな事業者に向くか
Retell AI は「開発者が細かく作り込める従量課金型」です。すぐ使えるパッケージ性より、柔軟なカスタマイズと低い初期コストを重視する事業者に向きます。
| 観点 | Retell AI | 一般的な予約特化SaaS | 自動音声(IVR) |
|---|---|---|---|
| 料金体系 | 従量課金(月固定ほぼなし) | 月額固定が多い | 電話設備に準拠 |
| 会話の自然さ | 自然言語で応対 | サービスにより差 | プッシュ操作中心 |
| 初期の手間 | 設定にIT知識が要る | 比較的容易 | 設備側の設定 |
| 編集部の評価 | 小さく試したい事業者に◎ | 予約業務が主なら候補 | 定型案内のみなら十分 |
音声そのものの品質を重視するなら、音声合成に強みを持つElevenLabs の解説や、対話フローを画面上で組み立てるVoiceflow の解説も比較検討の材料になります。
編集部の結論
Retell AI は「電話の取りこぼしを、月数千円規模から減らしたい」中小企業・個人事業主にとって、費用対効果を試しやすい選択肢です。ただし成否は初期設定と、人への引き継ぎ設計にかかっています。まず無料クレジットで、自社の 3 パターンを検証してから判断してください。
よくある質問
Q. 電話番だけのために人を雇うほどではないが、取りこぼしは減らしたい。向いていますか? A. まさに想定される使い方です。営業時間外や取り込み中だけAIに一次受けさせ、用件を記録しておく運用から始められます。
Q. 日本語はどの程度使えますか? A. 定型的な用件は実用的ですが、聞き取りには当たり外れがあります。金額・日時・氏名の確認は復唱させる、重要な相談は人へ回す設計が前提です。
Q. 想定より高くなりませんか? A. 高性能なLLMを多用すると単価が上がります。まず安価な構成で試し、通話量に上限の目安を持っておくと予算管理しやすくなります。
出典・参考情報
- Retell AI 公式サイト: https://www.retellai.com/
- Retell AI 料金ページ: https://www.retellai.com/pricing
- Retell AI 公式ドキュメント: https://docs.retellai.com/
本記事の料金は編集時点の公式情報に基づく概算で、¥150/$ で換算しています。実際の金額は構成・通話時間・為替・公式の改定により変動します。導入前に必ず公式の最新料金をご確認ください。試算部分は編集部のシミュレーションです。
Mira / AI経営ラボ 編集長
料金プラン
| プラン | 料金 (JPY) | 請求 |
|---|---|---|
| 初回無料クレジット($10 相当・約 ¥1,500) | ¥1,500 | 買い切り |
| 実効単価(1 分・標準構成の目安) | ¥20 | 買い切り |
| 電話番号 維持費(1 番号) | ¥300 | 月額 |
| 追加同時通話(1 回線ぶん) | ¥1,200 | 月額 |
👍 メリット
- 電話の一次対応をAIに任せられ、営業時間外や取り込み中の取りこぼしを減らせる
- $10 の無料クレジット(約 ¥1,500 相当)があり、契約前に自社シナリオで通話品質を試せる
- 月額固定費がほぼ不要で、話した分だけの従量課金。小さく始めやすい
- 音声・LLM・電話回線を組み合わせて選べ、用途に応じてコストを調整できる
- 20 回線までの同時通話が無料で、少人数の店舗・事務所なら追加費用なしで回せる
👎 デメリット
- 管理画面や公式ドキュメントは英語中心で、初期設定に一定のITリテラシーが要る
- 実効単価は構成しだいで 1 分 ¥11〜¥46 と幅があり、事前の試算が欠かせない
- 高品質な音声やLLMを選ぶと単価が上がり、通話量が多いと月額がかさむ
- 日本語の聞き取り・言い回しには当たり外れがあり、重要な用件は人へ引き継ぐ設計が前提
- 料金が米ドル建てのため、為替変動でコストが上下する