Sakana AI 無料のSakana Chatは使えるが法人向けMarlinは月15万円から
Sakana AIは東京発の「フロンティアAI研究企業」です。中小企業がそのまま使える業務用クラウドサービス(SaaS)ではありませんが、無料チャット「Sakana Chat」だけは個人事業主・経営者でも今日から触れます。編集部は公式サイトの情報をもとに、主要な製品(Chat・Translate・Marlin・Fugu)のうち何が実際に使えて、何がまだ手が届かないのかを正直に整理しました。
この記事のポイント
- Sakana AIは2023年7月設立の東京発AI研究企業。2025年11月のシリーズBで企業価値は約4,320億円に達した
- 中小企業・個人事業主が今すぐ無料で使えるのは「Sakana Chat」と、その翻訳機能「Sakana Translate」。日本語特化モデル「Namazu」を搭載し、チャットは登録不要で利用できる
- 法人向け自律リサーチ「Sakana Marlin」は月額¥150,000〜と本格的な法人予算が必要だが、都度払い(¥9,800/回)なら単発利用が可能
- 開発者向けAPI「Sakana Fugu」は月$20(約¥3,240)から始められるが、OpenAI互換APIを扱えるエンジニアの存在が前提
- 「Sakana AI=中小企業向け業務ツール」ではない。研究企業としての実力と、実際に使える製品の範囲を分けて理解することが重要
編集長の見解 (Mira / AI経営ラボ)
Sakana AIは「日本発のAI企業」として大きく報じられますが、実態は大規模言語モデル(LLM)の研究と、金融・防衛など大企業・官公庁向けソリューションを主軸とする会社です。中小企業の経営者が実務でそのまま使えるプロダクトは、現時点では無料の「Sakana Chat」とその翻訳機能「Sakana Translate」に限られると編集部は判断します。「国産AIだから中小企業に優しい」という先入観だけで期待を膨らませず、まずは無料のSakana Chatを試し、法人向けMarlin・Fugu APIは自社の予算とIT体制に照らして検討する、という段階的な向き合い方をおすすめします。
Sakana AIとは — 東京発、研究特化のAI企業
Sakana AI株式会社は、2023年7月に David Ha 氏(CEO)、伊藤錬 氏(会長)、Llion Jones 氏(CTO)の3名によって設立された、東京・麻布台ヒルズに本社を置くAI研究企業です。公式サイト(sakana.ai)は自社を「Tokyo-based Frontier AI R&D company(東京発のフロンティアAI研究開発企業)」と定義し、「Building Frontier AI in Japan(日本でフロンティアAIを創る)」を掲げています。
2025年11月にはシリーズBラウンドで約320億円(2億ドル)を調達したと公式発表しており、調達後の企業価値は約4,320億円(27億ドル)に達しました。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、Khosla Ventures、New Enterprise Associates、Google、三菱電機など国内外の大手が出資しており、これまでの累計調達額は約660億円に上ります(出典: Sakana AI シリーズB発表)。半導体大手のNVIDIAは、2024年9月のシリーズAラウンドの出資者として名を連ねています。
研究面では「The AI Scientist」や「Darwin Gödel Machine」といった、AI自身が研究や自己改善を行う仕組みの開発で知られています。次のセクションでは、この研究企業が実際にユーザー向けに提供している製品を整理します。
4つの製品を編集部が整理 — Chat・Translate・Marlin・Fugu
Sakana AIが一般に公開している製品は、性格の異なる4つに分かれます。**「誰向けか」「いくらか」「中小企業に現実的か」**を軸に、編集部が公式サイトの情報を表にまとめました。
| 製品 | 対象読者 | 料金(公式サイトより) | 中小企業への適合度 |
|---|---|---|---|
| Sakana Chat | 個人・誰でも | 無料(登録不要) | ★★★★★ 今すぐ使える |
| Sakana Translate | 個人・誰でも | 無料(要アカウント登録) | ★★★★★ 海外取引に有効 |
| Sakana Marlin | 法人・組織の意思決定者 | 都度払い¥9,800/回、Pro月¥150,000〜 | ★★☆☆☆ 予算次第 |
| Sakana Fugu | 開発者・エンジニア | API従量課金、月$20(約¥3,240)〜 | ★★★☆☆ 技術者が必要 |
※ 為替は 1 ドル = 162 円 (2026 年 7 月時点) で編集部が概算。最新の正確な金額は各製品の公式ページで確認してください。
表の通り、中小企業がプログラミングなしでそのまま使えるのはSakana ChatとSakana Translateの2つです。次のセクションから、それぞれの製品を詳しく見ていきます。
中小企業がまず触れるべきは無料の「Sakana Chat」
Sakana Chatは、Sakana AIが開発した日本語特化モデル「Namazu」を搭載したチャットサービスで、2026年3月24日に無料公開されました。公式サイト(sakana.ai/namazu-alpha)によると、Namazuは DeepSeek-V3.1-Terminus・Llama-3.1-405B・gpt-oss-120B という、重みが公開されたフロンティア級モデル(オープンウェイトモデル)をベースに、日本語・日本文化に合わせた追加学習(ポストトレーニング)を行ったモデル群です。
Namazuの狙い — 「回答拒否」を減らし中立性を高める
公式発表では、Namazuの狙いを次の3点としています。
- 推論・知識・コーディングのベンチマークでベースモデルとほぼ同等の性能を維持する
- 政治・歴史など政治的に敏感な話題での中立性と事実精度を改善する
- 敏感な質問への回答拒否率を、ベースモデル(DeepSeek-V3.1-Terminus)の72%からほぼ0%に低減する
海外製の大規模言語モデル(LLM)は、日本特有の政治・歴史の文脈を扱う際に回答を避けたり不自然な応答をすることがあります。Namazuはこの課題への「日本版の答え」として設計されている点が、他の海外AIチャットとの違いです。
編集部のヒント — こんな場面でSakana Chatが候補になる
「DeepSeek(中国拠点)にデータを送るのは避けたいが、無料で試せる高性能AIチャットが欲しい」「ChatGPT無料版で断られた日本の政治・歴史がらみの質問を、別の視点でも聞いてみたい」——こうした場面で、無料・登録不要のSakana Chatは試す価値があります。ただし本格的な業務利用では、記事末尾のFAQでも触れるデータの保存場所やログの扱いを、契約前に自社で確認してください。
Sakana Chatの始め方
アカウント登録は必須ではなく、まず質問を送るだけで応答が返ってきます。
次のセクションでは、そのSakana Chatに2026年7月に加わった無料の翻訳機能「Sakana Translate」を見ていきます。
無料の翻訳機能「Sakana Translate」— 海外取引のある中小企業に
2026年7月6日、Sakana ChatにSakana Translateという翻訳機能が追加されました。公式発表(sakana.ai/translate-release)によると、Namazuシリーズを使って日本語・英語・中国語の双方向翻訳に対応し、料金は無料(アカウント登録のみ必要)です。
用意されているのは次の3つのモードです。
- 翻訳: 約5,000文字までのメール・書類・記事をリアルタイム表示で訳す
- 添削: 自分で書いた英文・中文の下書きを自然な表現に直し、変更箇所を差分で見せる
- 質疑: 訳文について「この言い回しは失礼か」などを追加で質問できる
編集部のヒント — 海外の取引先に送るメールの下書きに
中小企業の実務でいちばん効くのは添削モードです。自分で書いた英文メールをそのまま貼り付ければ、不自然な表現を直したうえで変更箇所を示してくれます。敬語やビジネス上の距離感の再現を狙って設計されている点が、汎用の翻訳ツールとの違いです。無料かつ登録のみで試せるため、海外の仕入先・販売先とやり取りのある事業者は費用対効果の検討が不要なレベルで導入できます。
なお現時点では自社システムに組み込むためのAPIは提供されておらず、あくまでブラウザ上で使うWebアプリです。次のセクションでは、法人向けの自律リサーチエージェント「Sakana Marlin」が中小企業にとって現実的かどうかを、料金とセットで検証します。
法人向け「Sakana Marlin」— 中小企業に現実的か
Sakana Marlinは、最大8時間の自律的な推論を行い、仮説検証・Web調査・矛盾の解消を経て「専門家レベルの戦略レポート」を作成する法人向けリサーチエージェントです。公式サイト(sakana.ai/marlin)は、これを「法人・組織・個人事業主などが事業活動に使うための企業向けサービス」と位置づけています。
利用方法はシンプルで、marlin.sakana.ai 上でリサーチしたいテーマを指定すると、Marlinが人手を介さず調査を進め、戦略オプション付きのレポートを出力します。
料金プラン
Enterpriseプランは要問い合わせのカスタム料金です。支払いはStripe経由のクレジットカード決済で、日本の適格請求書(インボイス)にも対応しています。
編集部の警告 — Marlinを「普段使いの業務ツール」として月額契約する前に
Pro(月¥150,000)・Team(月¥400,000)は、一般的な中小企業のAI関連予算(月数万円〜10万円程度)を大きく超えます。「毎月使い倒す」前提で契約するのはリスクが高く、まずは都度払い(100クレジット=¥9,800)で、新規事業の市場調査や競合分析など「年に数回の重い意思決定」に絞って試すのが現実的です。月額契約は、実際に複数の案件で継続利用する見込みが立ってから検討してください。
具体的な活用シナリオとしては、個人事業主や小規模法人の経営者が、新規参入を検討する市場について1回¥9,800で深掘りリサーチを依頼する、という使い方が現実的な入口になります。次のセクションでは、開発者向けAPI「Sakana Fugu」を見ていきます。
開発者向け「Sakana Fugu」— エンジニアがいれば月¥3,240から検討可
Sakana Fuguは、単一のモデルではなく**複数のAIモデルを指揮者のように束ねて動かす仕組み(マルチエージェント・オーケストレーション)**です。公式サイト(sakana.ai/fugu)によると、OpenAI互換のAPIとして提供されており、既存のAPIクライアントの接続先をFuguに向けるだけで、開発用ライブラリ(SDK)の入れ替えなしに利用できます。
対象はソフトウェアエンジニア、研究者、セキュリティ担当者など「複雑な多段階タスクを本番環境で処理したい開発者・法人」です。経営者が単独で扱うものではなく、社内または委託先にエンジニアがいることが前提になります。
料金体系(サブスクリプション)
| プラン | 月額 | 内容 |
|---|---|---|
| Standard | $20(約¥3,240) | 日常的な軽い利用向けの基本枠 |
| Pro | $100(約¥16,200) | Standardの10倍の利用枠 |
| Max | $200(約¥32,400) | Standardの20倍の利用枠 |
従量課金(Pay-as-you-go)も選択でき、Fugu Ultra(高度な推論向け)は入力$5・出力$30(100万トークンあたり)、Fugu Cyber(セキュリティ特化)は入力$6・出力$36という料金設定です(いずれも公式サイト記載、2026年時点)。なおEU/EEA地域では、EUの個人データ保護規則(GDPR)への対応中のため、まだ提供されていません。
編集部の警告 — 「AI活用したい」だけでFuguに手を出さない
Fuguは料金だけ見ると月$20(約¥3,240)からと手頃ですが、実態はOpenAI互換APIを組み込んで使う開発者向けサービスです。自社にAPI連携ができるエンジニアがいない場合、Fugu単体を契約しても宝の持ち腐れになります。「AIを業務に組み込みたい」という要望であれば、まずは既存のノーコード自動化ツール(Zapierなど)や、Sakana Chatのような完成されたチャットサービスから検討するのが現実的です。
次のセクションでは、Sakana Chatと海外の主要AIチャットサービスを比較します。
Sakana Chat vs 海外AIチャット — 何が違うのか
「無料で使えるAIチャット」という土俵で見た場合、Sakana ChatはChatGPTやClaude、Perplexityの無料版と比較されることになります。編集部が整理した比較が以下です。
| 比較軸 | Sakana Chat | ChatGPT(無料版) | Claude(無料版) | DeepSeek(API) |
|---|---|---|---|---|
| 開発元の拠点 | 日本(東京) | 米国 | 米国 | 中国 |
| 料金 | 無料 | 無料(利用制限あり) | 無料(利用制限あり) | API従量課金 |
| 日本語・国内文脈への最適化 | ◎ Namazuで特化 | ○ 汎用的に対応 | ○ 汎用的に対応 | △ 中国語・英語中心 |
| Web検索(リアルタイム情報) | ✅ 標準搭載 | ✅ 標準搭載 | △ 一部機能 | ✅ 実装依存 |
| アカウント登録 | 不要(基本利用) | 必要 | 必要 | 必要(API利用) |
| アクセス地域 | 日本国内が前提 | 世界中 | 世界中 | 世界中(API) |
Sakana Chatの強みは「日本語・日本の文脈への最適化」と「登録不要で今すぐ使える手軽さ」です。一方、海外AI大手のような多言語対応や周辺サービスの広がり(エコシステム)では、ChatGPTやClaudeに一日の長があります。用途によって使い分けるのが現実的で、たとえば海外向け英文メールの下書きはChatGPT PlusやClaude Pro、日本の政治・社会的な文脈を含む調べものはSakana Chat、といった住み分けが考えられます。低コストでAPIを組み込みたい開発者はDeepSeek V3、深い調査を1つのツールにまとめたいならPerplexity Proも比較検討先になります。
編集長の見解 — 「国産だから優位」という単純化はしない
Sakana Chatは無料で日本語に強いという明確な利点がありますが、Namazu自体が海外の公開モデル(DeepSeek-V3.1-Terminus・Llama-3.1・gpt-oss-120B)をベースにした「日本語仕様への後処理」であることも事実です。ゼロから作った独自基盤モデルではない点は、経営者として理解した上で活用するのが誠実な向き合い方だと編集部は考えます。
最後に、ここまでの内容で読者から寄せられやすい疑問を、編集部がFAQ形式でまとめます。
よくある質問 (FAQ)
Q. 個人事業主でもSakana Chatを使えますか? A. 使えます。アカウント登録なしで質問を送信でき、日本国内からのアクセスであれば追加の契約や審査は不要です。
Q. Sakana AIは法人契約が必須ですか? A. Sakana ChatとSakana Translateは個人でも無料で利用できます。Sakana Marlinは公式に「法人・個人事業主が事業活動に使う企業向けサービス」と位置づけられていますが、都度払いプランは個人事業主でも申し込める料金設計です。Sakana Fuguは開発者向けAPIで、法人・個人を問わずAPIキーを発行して利用します。
Q. データはどこに保存されますか? A. Sakana AIは「ソブリンAI(データやシステムが国内インフラで完結するAI)」の開発を掲げていますが、各製品のデータ保存場所・保持期間の詳細は、契約前に公式サイトのプライバシーポリシーや利用規約で必ず確認してください。編集部が確認した公開情報だけでは、機密情報の取り扱いを断定できません。
Q. ChatGPTやClaudeの代わりになりますか? A. 完全な代替にはなりません。Sakana Chatは日本語・国内文脈への最適化という強みがありますが、エコシステムの広さ(拡張機能・多言語対応・ビジネス向け機能)ではChatGPT PlusやClaude Proに分があります。用途に応じた併用が現実的です。
Q. Sakana Marlin・Fuguは中小企業でも導入できますか? A. 予算次第です。Marlinは都度払い(¥9,800/回)なら単発利用が可能ですが、月額契約(¥150,000〜)は多くの中小企業の予算を超えます。Fuguは月$20(約¥3,240)からですが、API連携ができるエンジニアがいることが前提です。どちらも「今すぐ全社導入」ではなく、限定的なユースケースから試すことを編集部は推奨します。
出典・参考情報
- Sakana AI 公式サイト
- Sakana AI 会社概要(公式)
- Sakana AI シリーズB資金調達発表(公式)
- Sakana AI Namazu / Sakana Chat 発表(公式)
- Sakana Translate 提供開始のお知らせ(公式)
- Sakana Marlin 製品ページ(公式)
- Sakana Fugu 製品ページ(公式)
- Sakana Chat(公式サービス)
関連記事
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- ChatGPT Plus 評判・料金・使い方
- Claude Pro 評判・料金・使い方
- Perplexity Pro 評判・料金・使い方
Mira / AI経営ラボ 編集長 編集部は中小企業の経営判断に資するツール評価を、公式情報源と一次資料をもとに継続的に更新しています。料金・機能は2026年7月時点の確認値であり、最新情報はリンク先公式ページでご確認ください。
もっと深く学ぶための関連書籍
Sakana AIのように「日本語・日本の文脈に最適化されたAI」が今後どう業務に組み込まれていくかを考える上では、国産AIの技術動向と経営インパクトを整理した書籍で全体像をつかんでおくと、個別サービスの評価がぶれにくくなります。
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料金プラン
| プラン | 料金 (JPY) | 請求 |
|---|---|---|
| Sakana Chat (個人向け・無料) | ¥0 | 月額 |
| Sakana Fugu Standard (開発者向けAPI) | ¥3,240 | 月額 |
| Sakana Marlin Pro (法人向け戦略リサーチ) | ¥150,000 | 月額 |
| Sakana Marlin Team | ¥400,000 | 月額 |
👍 メリット
- 無料チャット「Sakana Chat」はアカウント登録なしで今日から使え、日本語特化モデル「Namazu」を搭載している
- 翻訳機能「Sakana Translate」が2026年7月に追加され、日本語・英語・中国語の双方向翻訳と添削が無料で使える
- 三菱UFJフィナンシャル・グループやGoogle、Khosla Venturesなど国内外の大手が出資するシリーズBを2025年11月に完了し、経営基盤の裏付けがある
- Namazuは政治・歴史など海外モデルが回答を拒否しがちな話題でも中立的な回答を狙って設計されている
- 法人向け自律リサーチ「Sakana Marlin」は都度払い(¥98/クレジット)があり、月額契約なしで1回分から試せる
- 開発者向けAPI「Sakana Fugu」はOpenAI互換で、既存コードのエンドポイント変更だけで乗り換えられる
👎 デメリット
- 会社の主軸は研究・法人向けソリューションで、中小企業向けの業務用クラウドサービス(会計・顧客管理との連携など)は提供していない
- Sakana Chatは日本国内からのアクセスが前提で、海外拠点や出張中の利用は制限される場合がある
- Sakana Marlinの月額プランはPro ¥150,000/Team ¥400,000からで、多くの中小企業の月次AI予算を超える
- Sakana Fugu(API)は非エンジニアの経営者が単独で導入するのは難しく、開発者の関与が前提になる