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Sarashina SB Intuitions 国産LLM 日本語精度と商用利用の判断基準

Sarashina (Sarashina2 / Sarashina2.2 シリーズ) のレビュー — AI ツールカテゴリ
評価⭐ 3.3 / 5
提供元SB Intuitions株式会社 (ソフトバンク株式会社 100% 子会社)
カテゴリ国産大規模言語モデル (LLM) / 日本語特化 AI

「国産の大規模言語モデル (LLM) は日本語に強いらしいが、自社で使えるのか」。ソフトバンク子会社SB Intuitionsが開発する「Sarashina」について、無料で試せる部分と、契約が必要で料金が非公開な部分を編集部が切り分け、中小企業がどう判断すべきかを整理しました。

読了時間の目安: 約 7 分 / 中小企業の経営者・情報システム担当者向け

この記事のポイント

編集長の見解 (Mira): Sarashinaを「国産だから中小企業も使える」と一括りにするのは早計です。実態は、エンジニアが自社サーバーで無料検証できる小型モデルと、料金非公開で企業向けの商用API・大型モデルという、性格の異なる2つの提供形態が同じブランドに同居しています。本稿ではこの2層を切り分け、自社がどちらに該当するかを判断できるよう整理します。

SB Intuitionsとは何か — ソフトバンクの国産LLM専業子会社

SB Intuitions株式会社は、ソフトバンク株式会社が100%出資する子会社です。2023年3月に準備会社として設立され、同年8月に本格始動しました。資本金は1億5,000万円で、事業の柱は「日本語に特化した国産の大規模言語モデル (LLM) の研究開発」と「生成AIサービスの開発・提供」です。

海外製の汎用モデルではなく、日本語データを中心に学習させた「自前のLLM」を持つことを目的とした、いわゆる国産AI・ソブリンAI(自国主権AI)の文脈に位置づけられる企業です。開発した国産大規模言語モデル群の名称が「Sarashina(さらしな)」です。

⚠️ 編集部の警告: SB Intuitionsはソフトバンク本体のAI事業戦略の一部であり、Sarashinaの提供形態は現時点で「企業向け・研究者向け」が中心です。中小企業が単独で気軽に契約できる自己申込型のプランは、記事執筆時点で確認できていません。

Sarashinaにどんなモデルがあり、どこまでが無料で使えるのかを次のセクションで具体的に見ます。

Sarashinaのモデルラインアップ — 無料の小型版から企業向け大型版まで

Sarashinaは単一のモデルではなく、サイズと用途が異なる複数のモデル群で構成されています。Hugging Face上の公式アカウントで公開されているものだけでも、次のような系統があります。

モデル系統主なサイズ用途ライセンス
Sarashina1〜65B汎用の文章生成・対話独自非商用ライセンス
Sarashina2 (無印)7B / 13B / 70B汎用の文章生成・対話独自非商用ライセンス
Sarashina2-8x70B混合エキスパート(MoE)構成大規模な文章生成・対話独自非商用ライセンス
Sarashina2.1 / 2.20.5B / 1B / 3B軽量な対話・指示応答一部MITライセンス
Sarashina2.2-Vision3B / 8B画像を読み取って回答する画像認識(Vision)独自非商用ライセンス
Sarashina2.2-OCR4B画像・文書からの文字認識(OCR)独自非商用ライセンス
Sarashina2.2-TTS0.8B音声合成(TTS)独自非商用ライセンス
Sarashina-Embedding-v21B文章埋め込み(検索・類似度計算)独自非商用ライセンス

(Hugging Face公式ページの公開情報を編集部が整理。サイズ・ライセンスは変更される場合があるため、最新情報は必ず公式ページで確認してください。)

💡 編集部のヒント: 表内で「MITライセンス」と明記されているのは、Sarashina2.2-3B-instruct-v0.1 など一部の小型・指示応答モデルのみです。同じ「Sarashina2.2」という名前でも、Vision・OCR・TTSといった派生モデルは独自の非商用ライセンスで提供されているため、モデルごとにライセンスファイルを個別に確認する必要があります。

このライセンスの違いが、商用利用できるかどうかを分ける最も重要なポイントです。次のセクションで詳しく見ます。

ライセンスの壁 — 「無料で商用利用できる」のは一部だけ

Sarashinaを検討する上で最も注意すべきなのが、モデルごとにライセンスが異なる点です。

Sarashinaの2つの利用パターン
パターンA: オープンウェイト小型モデル
  • Hugging Faceから無料ダウンロード
  • MITライセンスなら商用利用も無料
  • GPU環境と運用の技術知識が前提
パターンB: 大型モデル・商用API
  • 独自の非商用ライセンスが標準
  • 商用利用はSB Intuitionsへ個別契約
  • 料金は記事執筆時点で非公開

技術者がいない事業者はまずパターンBの問い合わせから検討することになる

具体的には、次の2つが両立しています。

⚠️ 失敗パターン: 「Sarashinaはオープンウェイトだから無料で商用利用できる」と思い込み、大型モデルを社内システムに組み込んでから非商用ライセンスに気づく、というのが典型的な失敗です。モデルをダウンロードする前に、必ず各モデルページのライセンスファイルを確認してください。

無料で試せる範囲と契約が必要な範囲を理解した上で、次は日本語の精度がどの程度なのかを見ていきます。

日本語の精度 — 公式ベンチマークで見る強み

SB Intuitionsは自社の技術ブログで、独自の評価ツール「flexeval」を使い、複数の日本語読解・質問応答データセット(AI王、JCommonsenseQA、JEMHopQA、NIILC-QA、JSQuAD)で他の国産モデルと比較した結果を公開しています。

モデル (パラメータ規模)平均スコア比較対象
Sarashina2-7B70.12Swallow-7b-plus: 67.99 / calm2-7b: 54.36
Sarashina2-13B76.20Swallow-13b: 73.77 / nekomata-14b: 71.95
Sarashina1-65B74.16Swallow-70b: 82.40 (Swallowが上回る)

(出典: SB Intuitions技術ブログ 2024年7月26日付。測定条件・時期がモデルごとに異なるため、数値は参考値として扱ってください。)

7B・13Bクラスでは同規模の比較対象より高いスコアが出ている一方、70Bクラスでは他社の国産モデルが上回る結果も出ています。「Sarashinaなら常に最高精度」とは言い切れず、サイズと用途に応じた比較が必要です。

💡 編集部のヒント: ベンチマークのスコアだけで判断せず、自社が扱う文章(問い合わせ対応、社内文書要約など)に近いサンプルで実際に試してから採用を判断することをおすすめします。特にMITライセンスの小型モデルは無料で検証できるため、契約前のお試しに向いています。

精度がわかったところで、実際にソフトバンクグループ以外でどう使われているのかを次に見ます。

実際の活用事例 — 現時点はソフトバンクグループと官公庁が中心

Sarashinaの活用実績として公式に確認できるのは、記事執筆時点では次の事例です。

⚠️ 編集部の警告: 上記はいずれもソフトバンクグループまたは官公庁の事例で、中小企業・個人事業主による導入事例は記事執筆時点で確認できていません。「他の中小企業も使っている」と早合点せず、自社が先行事例のない段階で検討することを前提にしてください。

事例を踏まえて、実際に中小企業が試すとしたらどんな手順になるかを次に整理します。

中小企業が試す場合の手順

技術者がいる事業者を想定し、無料のオープンウェイト小型モデルを検証する手順を示します。

Sarashina オープンウェイト版を検証する手順
1. モデルを選ぶ
Hugging Face公式ページで、自社の用途(対話・要約・OCR等)に合うサイズのモデルを確認します。まずは小型の指示応答モデルから始めます。
2. ライセンスを確認
モデルページのライセンスファイルを開き、MITライセンス(商用利用可)か、独自の非商用ライセンス(商用利用は個別契約が必要)かを必ず確認します。
3. 実行環境を用意
モデルのサイズに応じたGPU環境が必要です。社内にGPUサーバーがなければ、クラウドのGPUインスタンスを時間単位で借りる方法もあります。
4. 自社データで動作検証
実際の問い合わせ文や社内文書のサンプルを使い、精度・応答速度・運用の手間を確認します。個人情報の取り扱いは社内ルールに従ってください。
5. 商用化を判断
MITライセンスの範囲内であればそのまま業務利用できます。非商用ライセンスのモデルや、より大きなモデルが必要な場合は、SB Intuitionsまたはソフトバンクの窓口に商用利用を問い合わせます。

技術者がいない事業者は、まず社外のIT顧問やシステム開発会社に相談しながら進めるか、Ollamaでのローカルモデル実行のようなハードルの低い選択肢から国産LLMに触れてみるのも一案です。次に、他の国産LLMとの比較を整理します。

他の国産LLMとの比較 — 目的別にどれを検討すべきか

中小企業が国産の大規模言語モデル(LLM)を検討する際、Sarashina以外にも選択肢があります。

目的Sarashinaの位置づけ比較検討したい選択肢
無料で自社検証したい小型モデルがMITライセンスで無料Ollamaでのローカルモデル実行
法人向けの契約窓口が明確なものが良い商用APIはあるが料金非公開ELYZA Works with KDDI (月1,078円/人〜の料金を公表)
ビジネス文書作成に強い国産モデルを比較したいベンチマーク重視、文書生成特化ではないPreferred Networks PLaMo (トークン課金の料金を公表)

編集部の結論: 技術者がいて無料でまず試したい事業者は、SarashinaのMITライセンス小型モデルから検証を始める価値があります。一方、料金が明確な国産LLMを予算内で今すぐ導入したい事業者は、料金を公表しているELYZAやPLaMoを先に比較検討する方が現実的です。Sarashinaの商用API・大型モデルは、料金が公開され次第、改めて中小企業向けの選択肢として評価します。

自社がどちらのタイプかを見極めた上で、次のよくある質問もあわせて確認してください。

よくある質問

Q. Sarashinaは無料で使えますか。 一部の小型モデル (例: Sarashina2.2-3B-instruct-v0.1) はMITライセンスで無料公開されており、商用利用も可能です。ただし7B以上の大型モデルや商用APIは、契約や個別問い合わせが必要です。

Q. 中小企業でもSarashina APIを契約できますか。 記事執筆時点で、料金は非公開で、確認できる導入事例もソフトバンクグループや官公庁が中心です。中小企業向けの自己申込プランがあるかは公式サイトへの問い合わせが必要です。

Q. プログラミングの知識は必要ですか。 オープンウェイトモデルを自社で実行する場合は、GPU環境の用意とモデル運用の技術知識が前提になります。商用APIを契約する場合は、API連携の実装知識が必要です。

出典・参考情報

Mira / AI経営ラボ 編集長

もっと深く学ぶための関連書籍

国産の大規模言語モデル(LLM)を業務に活かす鍵は、モデル単体の精度よりも「自社のどの業務に、どのライセンス条件で組み込めるか」の見極めです。LLMの仕組みや自社導入の考え方を書籍で押さえておくと、サービス提供企業との商談や社内説明がスムーズになります。

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料金プラン

プラン 料金 (JPY) 請求
オープンウェイト小型モデル (Sarashina2.2-3B-instruct-v0.1 等・MIT ライセンス、自社サーバーで実行) ¥0 月額
オープンウェイト中大型モデル (Sarashina2 7B/13B/70B 等・独自非商用ライセンス、商用利用は個別契約) ¥0 買い切り
Sarashina API (Chat Completion / Embeddings・要問い合わせ、金額非公開) ¥0 買い切り

👍 メリット

👎 デメリット