Together AI オープンソースLLM推論 中小企業が自社AIを月¥5,000で動かす手順
「ChatGPT の月額は払っているが、自社データに合わせた専用AIまでは手が出ない」。そう感じている中小企業に選択肢を広げるのが Together AI です。Llama など公開されたオープンソースの大規模言語モデル (LLM) を、サーバーを自前で持たずに従量課金で使えるクラウドサービスで、使い方次第では月¥5,000程度の予算でも本番投入できます。本稿では料金の実態と導入手順を編集部が整理しました。
この記事のポイント
- Together AI はオープンソースAIモデルを「サーバー管理なし・従量課金」で使えるクラウドサービス
- 最安モデルは100万トークンあたり¥10前後、主力モデルでも¥156程度と、少量利用なら月¥1,000未満で試せる
- 社内FAQボットなど現実的な利用量であれば、月¥5,000以内で本番運用できる試算になる
- 自社データでの追加学習 (ファインチューニング) に対応し、業界特化のAIを作れる
- ただし英語中心の管理画面とAPI連携の知識が前提で、ChatGPTのようにすぐ使える完成品ではない
- 専有GPUを24時間借りる使い方は中小企業予算を超えやすく、まずは従量課金のサーバーレス推論から始めるのが現実的
編集長の見解 (Mira): Together AI を「安く自社AIが持てるサービス」とだけ捉えると導入後に戸惑います。実態は、Llama などのオープンソースモデルを”間借り”する形の従量課金クラウドAPIであり、自前サーバーを持つ「完全自社ホスティング」ではありません。それでも、ChatGPT のような月額固定契約に比べて使った分だけ払う設計のため、利用量が読める業務 (社内FAQ、定型文書のドラフト作成など) であれば、月¥5,000前後の現実的な予算で専用AIを動かせます。本稿では「何にいくらかかるか」を具体的な利用シナリオで示します。
Together AI とは何か — オープンソースLLMの”間借り”サービス
Together AI は、2022年創業の Together Computer, Inc. (米カリフォルニア) が運営するAI基盤クラウドです。Meta の Llama、Alibaba の Qwen、DeepSeek などオープンソースで公開されている大規模言語モデル (LLM) を、自社でサーバーを構築せずにAPI経由で呼び出せる「サーバーレス推論」を主力サービスとしています。
中小企業が押さえておくべき性格は次の3つです。
- サーバーレス推論: 100種類以上のオープンソースモデルを、使った分だけ従量課金で呼び出せる (メインの使い方)
- ファインチューニング: 自社データを追加学習させ、業界特有の言い回しに対応したモデルを作れる
- 専有GPUクラスタ: H100やB200といった高性能GPUを時間単位・月単位で借り切れる (本格的なスケールアップ向け)
ChatGPT や Claude のような「完成された会話AI」を契約するのとは違い、Together AI は「AIモデルを動かす土台」を提供するインフラサービスです。自社のシステムやチャットボットに組み込んで初めて価値が出る点に注意してください。
⚠️ 編集部の警告: 「自社AI」という言葉から、自社サーバーに完全に閉じた環境を想像すると誤解します。Together AI はクラウド上の共有インフラでモデルを動かすサービスであり、機密情報を一切外部に出したくない場合はローカル実行の Ollama など別の選択肢を検討すべきです。用途によって使い分けることが重要です。
次のセクションで、実際にいくらかかるのかを具体的な数字で見ていきます。
料金 — サーバーレス推論はどれくらい安いか
Together AI の料金は「モデルの規模」によって100万トークン (文字・単語の処理単位) あたりの単価が大きく変わります。為替は編集部で1ドル約¥150として換算しています。
用途別に整理すると、次のような棲み分けになります。
| モデル区分 | 100万トークンあたりの目安 | 主な用途 | 中小企業への向き |
|---|---|---|---|
| 最安クラス (Gemma 3n 等) | 約¥9〜18 | 定型的な分類・簡単な応答 | ◎ 大量処理の入口に最適 |
| 主力クラス (Llama 3.3 70B) | 約¥156 | 社内FAQ、文書ドラフト作成 | ◎ 業務利用の基準線 |
| 高性能クラス (DeepSeek V4 Pro等) | 約¥261〜522 | 複雑な分析・高精度が必要な業務 | △ 用途を絞って利用 |
💡 編集部のヒント: 100万トークンは、日本語の目安でおおむね原稿用紙500〜700枚分の文章量に相当します。1回の問い合わせが数百字程度の社内チャットボットなら、月間利用でも100万トークンに届かないケースが多く、体感より費用は小さくなりがちです。
料金の仕組みが分かったところで、実際に月¥5,000の予算でどこまで動かせるのか、具体的なシナリオで試算します。
月¥5,000で自社AIを動かす具体シナリオ
編集部で、中小企業によくある「社内FAQ・問い合わせ対応チャットボット」を想定した試算をしました。あくまで編集部のシミュレーションであり、実際の請求額はモデル選択や会話の長さで変動します。
前提条件:
- モデル: Llama 3.3 70B Instruct Turbo (主力クラス、100万トークンあたり約¥156)
- 利用規模: 従業員・取引先からの問い合わせ 1日あたり約500件
- 1件あたりの処理量: 社内資料を読み込ませた上でのやり取りのため、入出力合計で約1,500トークン
この前提で計算すると、月間の処理量は「500件 × 1,500トークン × 30日 ≒ 2,250万トークン」となり、月額費用は「2,250万トークン ÷ 100万 × ¥156 ≒ 約¥3,510」という試算になります。ここに、たまに行うファインチューニングの検証費用 (1件最低課金 約¥600) や、想定外の利用増加分を見込んでも、月¥5,000程度の予算感に収まる計算です。
- 月額: 1人¥3,750 × 5人 ≒ ¥18,750
- 利用制限: 人数分の固定契約
- 月額: 利用量に応じて ≒ ¥3,500前後
- 利用制限: 従量課金・全社共有窓口として運用
人数課金ではなく処理量課金にすることで、少人数チームの社内ボット用途ではコストを抑えやすい (編集部のシミュレーション)
⚠️ 編集部の警告: この試算は「利用量が事前に読める」ことが前提です。問い合わせ件数が急増したり、1回のやり取りが長文化したりすると、従量課金の性質上、費用も比例して増えます。運用開始後1〜2週間は利用量をこまめに確認し、想定を超えそうであれば上限アラートやモデルの見直しを行ってください。
金額感がつかめたところで、実際にどう始めるかの手順を見ていきます。
導入手順 — アカウント作成からAPI連携まで
Together AI の導入は、大きく分けて4つのステップで進みます。エンジニアがいない場合は、まず①②までを担当者が試し、③以降はIT導入支援企業や外部エンジニアに依頼する進め方も現実的です。
⚠️ 失敗パターン: 「安いから」とテスト段階で高性能モデル (DeepSeek V4 Pro等) を選び、そのまま本番投入して費用が膨らむのは、単価差から見て起こりやすい失敗です。最安クラス (100万トークン約¥9) と高性能クラス (同¥261〜522) では単価が20倍以上開くため、モデル選定を誤ると請求額は桁違いになります。まずは最安クラスか主力クラスのモデルで要件を満たせるか検証し、精度が足りない場合のみ上位モデルへ段階的に切り替えるのが安全です。
導入手順が分かったところで、他の選択肢と比較しながら「自社に向くかどうか」を判断する材料を整理します。
Ollama・OpenAI API との違い — どれを選ぶべきか
自社AIを月¥5,000規模で持ちたい場合、Together AI 以外にもいくつか選択肢があります。目的別に比較しました。
| 選択肢 | 月額の目安 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| Together AI (本稿) | 従量課金・月¥3,000〜5,000目安 | サーバー管理不要、オープンソースモデルを幅広く選べる | 利用量が読める社内ボット、コストを抑えたい場合 |
| Ollama (自社PC実行) | ¥0 (ハードウェア・電気代別) | 完全ローカル実行、機密情報を外部送信しない | 機密性を最優先したい場合 |
| OpenAI API | 従量課金・モデルにより変動 | GPT系の高い日本語精度、エコシステムが豊富 | 精度最優先で予算に余裕がある場合 |
| Groq | 従量課金・応答速度重視 | 推論速度が非常に速い専用ハードウェア | リアルタイム性が重要な用途 |
💡 編集部のヒント: 機密情報を扱う業務では、まず Ollama のような完全ローカル実行を検討し、外部送信しても問題ないデータ (公開資料の要約、一般的な問い合わせ対応等) から Together AI のようなクラウドAPIを使い始めるという棲み分けが、多くの中小企業にとって現実的です。Claude API など他社クラウドAPIとの比較もあわせてご覧ください。
最後に、この記事全体の要点と、導入前に確認すべきポイントをまとめます。
よくある質問
Q. プログラミング経験がなくても使えますか? A. APIキーの発行やダッシュボード操作自体は難しくありませんが、社内システムに組み込むにはAPI連携の実装が必要です。社内にエンジニアがいない場合は、外部のIT導入支援企業への依頼を検討してください。
Q. 無料で試せますか? A. 公式サイトでは「無料で始める」導線が用意されていますが、本稿執筆時点で具体的な無料クレジット額は公式ページに明記されていません。契約前に公式サイトの最新情報を必ず確認してください。
Q. 補助金は使えますか? A. Together AI 自体への補助金制度は確認できていませんが、IT導入補助金など生成AI活用を対象とした制度の対象になり得るかは、申請時に認定支援機関に個別確認することをおすすめします。
編集長の見解 (Mira): Together AI の魅力は「使った分だけ払う」設計にあります。月額固定のAIサービスを何本も契約するより、利用量が読める1つの業務に絞ってTogether AIを試す方が、中小企業にとってはコスト管理がしやすいはずです。まずは社内FAQなど失敗しても影響が小さい業務から、月¥5,000程度の予算で試してみることをおすすめします。
Together AI 公式の料金ページを見る → ※ PR・アフィリエイトリンクを含みます
出典・参考情報
Mira / AI経営ラボ 編集長
料金プラン
| プラン | 料金 (JPY) | 請求 |
|---|---|---|
| サーバーレス推論 最安モデル Gemma 3n E4B Instruct (入力 100万トークンあたり) | ¥9 | 買い切り |
| サーバーレス推論 Llama 3.3 70B Instruct Turbo (入出力とも100万トークンあたり) | ¥156 | 買い切り |
| ファインチューニング (100万トークンあたり・1件最低課金 約¥600) | ¥72 | 買い切り |
| 専有GPUクラスタ H100 オンデマンド (1時間あたり) | ¥824 | 買い切り |
👍 メリット
- Llama・Qwen・DeepSeek など100種類以上のオープンソースAIをサーバー管理なしでAPI一発利用でき、従量課金で月¥1,000未満から本番投入できる
- 最安モデルは100万トークンあたり¥10前後、主力のLlama 3.3 70Bでも100万トークン¥156程度と、月額固定制より使った分だけ支払う設計
- 自社データでのファインチューニング (追加学習) に対応し、業界特有の言い回しや社内用語を学習させたAIを作れる
- オープンソースの大規模言語モデル (LLM) を使うためベンダーロックインが弱く、将来的に自前サーバーへの移行や他社API乗り換えの選択肢を残せる
- バッチ処理で最大50%割引、キャッシュ入力の割引など、コストを抑える仕組みが複数用意されている
👎 デメリット
- 管理画面・ドキュメントは英語中心で、日本語サポートは実質ない
- ChatGPTのようにすぐ使える完成品チャットではなく、モデル選びとAPI連携にIT担当者の基礎知識が要る
- 従量課金のため、利用量が想定を超えると請求額が急増するリスクがあり、上限アラート設定などの運用ルールが必要
- 本格的な専有GPUクラスタ (H100等) は1時間¥800台からで、24時間稼働させ続けると中小企業の予算を超えやすい
- 外部知識を参照する仕組み (RAG) やプロンプト設計を自社で継続的に保守する工数が発生する