NTT tsuzumi 2 — 1GPUで動く日本語特化LLM、中小企業は従量課金でオンプレAI導入を検証
tsuzumi は NTT が自社開発した「軽量・日本語特化の純国産LLM」です。パラメータ数を6億〜70億に抑え、単一GPUでも動く設計のため、社内データを外部に出さないオンプレミス運用がしやすいのが特徴です。ただし料金は基本的に個別見積もり制で、公開されているのはAzure経由の従量課金という入口だけ。編集部が公式情報で仕組みと注意点を整理しました。
この記事のポイント
- tsuzumi は パラメータ数6億〜70億の軽量設計。単一GPUでも動作し、学習・チューニングのコストと計算資源を抑えられる(NTT公式)
- 2025年10月には後継の 「tsuzumi 2」 が登場し、金融・自治体・医療分野の知識を強化。低コストでのオンプレ/プライベートクラウド運用を継承
- 2024年11月から Azure MaaS(従量課金) での提供が開始され、月額固定費なしで少量からの検証が可能
- 一方で 本格導入(オンプレ専用環境・業界アダプターチューニング)の料金は個別見積もり制。公式サイトに金額表はない
- 用意されているのは コンタクトセンター支援 / 議事録・マニュアル作成 / IT運用支援 の3ソリューション。ゼロから作らず既存メニューに乗れる
編集長の見解 (Mira / AI経営ラボ)
tsuzumi は「社内の書類やお客様データを外部のクラウドAIに送りたくない」と感じている中小企業に向いた選択肢だと編集部は考えます。単一GPUで動く軽量設計は、大手クラウドLLMをオンプレで動かすより現実的なハードルです。ただし正直に言うと、料金がすべて個別見積もり制という点は、ChatGPTやLindy AIのように「クレジットカードを登録してすぐ試す」感覚のツールではありません。まずはAzure MaaSの従量課金で小さく検証し、手応えを確認してからNTTグループの窓口に本番導入の見積もりを取る、という二段階の付き合い方が現実的です。
tsuzumi とは — 軽量・1GPUで動く純国産の日本語特化LLM
tsuzumi は NTT が「フルスクラッチでゼロから開発した」と説明する国産LLMです。NTT研究開発部門の公式ページによれば、世界クラスの日本語処理性能を、コンパクトなパラメータサイズで実現することをコンセプトにしています(NTT R&D公式)。
商用サービスは2024年3月25日にNTTコミュニケーションズ・NTTデータから開始され、その後NTT東日本・NTT西日本など NTTグループ各社へ順次拡大しました(NTT STORY公式ブログ)。
パラメータを絞った設計思想
一般的な大規模言語モデル(LLM)がパラメータ数を増やして性能を追う中、tsuzumi は 6億〜70億パラメータ という軽量設計を選びました。この設計により、学習・チューニングに必要な計算資源や費用を抑え、単一GPUやCPUでも高性能な推論を実行できます。
2025年10月20日には後継モデル 「tsuzumi 2」 の提供が開始されました。NTTの発表によると、主要業務の性能はより大きな主力モデルに匹敵する水準を保ちながら、コスト効率で優位性を持たせた設計です。金融・医療・自治体分野の知識を強化しつつ、単一GPUで動く効率性は tsuzumi から継承しています(NTTニュースリリース)。
編集部のヒント — 「軽量」の意味を正しく理解する
tsuzumi の「軽量」は、ChatGPTのような数千億パラメータ級モデルと比べた相対的な話です。単一GPUで動くとはいえ、業務用GPUサーバーの調達・運用は必要になります。「無料で自社PCに入れて終わり」ではなく、クラウドGPU利用料や構築工数を含めた総コストで検討するのが編集部の推奨です。
次のセクションでは、公式情報だけで分かった料金の実態を整理します。
料金体系 — 本格導入は個別見積もり、検証はAzureの従量課金から
編集部が公式サイト・ニュースリリースを確認した範囲では、tsuzumi の料金は 固定の料金表として公開されていません。公開されている入口は Azure MaaS(Model as a Service。AIモデルをクラウド経由で必要な分だけ使う従量課金の提供形態) だけです。NTTデータの製品ページでも「利用料金やサービスの詳細情報は Microsoft社のAzure Marketplace上のカタログ情報をご覧ください」という案内にとどまっています(NTTデータ公式)。
現時点で公式情報から確認できる料金の入口は、次の3通りです。
| 導入形態 | 課金方式 | 中小企業からの見え方 |
|---|---|---|
| Azure MaaS (従量課金) | 入力・出力トークン数に応じた従量課金。月額固定費なし | 少量利用ならAzure利用料の範囲で検証可能、単価は非公開 |
| オンプレミス/プライベートクラウド専用導入 | 個別見積もり | NTTグループ各社(NTTコミュニケーションズ・NTTデータ等)への問い合わせが必須 |
| 業界特化アダプターチューニング | 個別見積もり | 金融・自治体・医療・製造業向けに知識を追加学習、費用は案件ごとに変動 |
※ 具体的な金額は編集部の調査時点でも非公開でした。最新の料金は必ずNTTデータ公式サイトまたはAzure Marketplace上の案内で確認してください。
NTTデータの公式発表では、Azure上でのtsuzumi 2提供について「初期投資を抑えて生成AIの検証を実施することが可能になります」と明記されています(NTTデータ公式ニュース)。つまり、本番導入の予算を確定する前に、Azure経由でPoC(概念実証)だけ小さく回すという使い方は公式にも想定されている、と編集部は読み取りました。
編集部の警告 — 「オンプレ = 安い」と思い込んで見積もりを飛ばさない
単一GPUで動く軽量設計は、大手クラウドLLMをフルスクラッチでオンプレ化するより低コストになりやすいのは事実です。しかし、GPUサーバーの調達費、既存システムとの連携構築費、業界アダプターチューニングの追加費用は個別見積もりで変動します。ROI(投資対効果)を社内で説明する立場の担当者は、Azure MaaSでの検証結果を持って必ずNTTグループ窓口に概算見積もりを依頼してから予算を確定してください。
次のセクションでは、NTTが用意している3つの実務ソリューションを見ていきます。
3つの活用ソリューション — ゼロから作らず既存メニューに乗る
NTTは tsuzumi を使った3つのソリューションを既に用意しています。中小企業が自社でLLMをゼロから活用方法を設計する必要はなく、まずはこの3メニューのどれに当てはまるかで検討できます(NTT STORY公式ブログ)。
- CXソリューション: コンタクトセンター向けの「オペレーター支援」と「バーチャルコンシェルジュ」。応対中の回答候補提示や、通話後の要約・記録作成(アフターコールワーク)を自動化
- EXソリューション: 議事録作成・要約、業務マニュアル作成など社内業務の効率化。製造業・金融・自治体など業界知識を学習させたモデルで、自社独自の業務知識に基づいた回答が可能
- IT運用サポートソリューション: NTTのサイバー防御ノウハウを活用したセキュリティ運用支援
- 応対中に自分でマニュアルやFAQを検索
- 通話後に要約・記録を手入力で作成
- 新人はマニュアル参照に慣れるまで時間がかかる
- 蓄積データから回答候補をリアルタイム提示
- 通話要約・記録の下書きを自動生成
- 常時参照できるため新人が独り立ちするまでの期間が短縮
NTT公式の説明をもとに編集部が整理。実際の削減時間は自社の運用体制・データ整備状況に依存します
具体的な行動シナリオ: 例えば従業員80名の製造業で「社内の設備マニュアルと過去のトラブル対応記録を検索しやすくしたい」という課題があるとします。この場合、経営者はまずEXソリューション(マニュアル検索・要約)の枠組みで、Azure MaaS経由の少量検証を情シス担当か外部の開発会社に依頼し、実際の検索精度を確認してから、NTTグループへ本番導入の見積もりを依頼する、という進め方が現実的です。
次のセクションでは、他の国産LLMと比べたtsuzumiの立ち位置を整理します。
競合の国産LLMとの比較 — 料金の透明性で見ると
「日本語に強い国産LLMを検討したい」場合、tsuzumi 以外にも候補があります。編集部がこれまで検証した国産LLM3製品と、料金の見える化という観点で比較しました。
| 比較軸 | tsuzumi 2 (NTT) | ELYZA Works | KARAKURI LM | NEC cotomi |
|---|---|---|---|---|
| 料金の公開度 | 非公開・個別見積もり | 一部公開(月1,078円/人〜) | 要問い合わせ中心 | 要問い合わせ中心 |
| 軽量・オンプレ対応 | ◎ 単一GPUで動作 | △ クラウド中心 | △ クラウド中心 | ○ 対応あり |
| 業界特化チューニング | ◎ 金融・自治体・医療・製造 | △ 限定的 | ○ 対応あり | ◎ 社内文書検索に強み |
| セルフサーブ検証のしやすさ | ○ Azure MaaSで可能 | △ 無料デモ終了 | △ 個別デモ中心 | △ 個別デモ中心 |
| 編集部評価 (中小企業視点) | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
※ 各社の詳細は編集部の個別記事(ELYZA / KARAKURI LM / NEC cotomi)でも解説しています。料金は変動するため必ず最新の公式情報を確認してください。
編集部の結論は、「社内データを外に出したくない」かつ「単一GPUでの低コスト運用を優先したい」なら tsuzumi、「価格の透明性を優先したい」なら一部料金が公開されているELYZA、「社内文書検索の精度を優先したい」ならNEC cotomiが比較検討の軸になる、という整理です。次のセクションでは、実際に検討を進める手順を示します。
導入検討ステップ — 経営者が担当者に渡せる4ステップ
編集部のヒント — 補助金の活用も視野に入れる
オンプレAI導入や業務システムのクラウド化には、IT導入補助金が対象になり得るケースがあります。tsuzumi導入の見積もりを取る段階で、補助金の対象要件も同時に確認しておくと、本番導入時の予算組みがスムーズです。詳細はIT導入補助金2026解説で確認してください。
ここまでの内容を踏まえ、最後に経営者・担当者からよく聞かれる疑問に編集部が答えます。
よくある質問 (FAQ)
Q. 個人事業主や小規模事業者でも検討できますか? A. 検討自体はできますが、tsuzumiは法人向けの問い合わせ・見積もり前提の商流です。ChatGPTのようにその場で登録して使えるクラウドサービス(SaaS)ではないため、まずはAzure MaaSでの少量検証から始め、本番導入が必要な規模かどうかを見極めることを編集部は推奨します。
Q. 料金はどのくらいかかりますか? A. 公式情報からは具体的な金額が公開されていません。Azure MaaS経由の従量課金(トークン単位)であれば月額固定費はかかりませんが、単価自体も非公開です。オンプレ専用導入や業界アダプターチューニングは個別見積もりとなるため、NTTグループ各社への問い合わせが必要です。
Q. 本当に社内データを外に出さずに使えますか? A. NTT公式は tsuzumi 2 について、単一GPUで動作する設計により「低コストでオンプレミスやプライベートクラウドでの運用が可能」と説明しています。ただし実際の運用形態(完全オンプレ/プライベートクラウド/Azure MaaS)によってデータの取り扱いは変わるため、契約前に自社の情報セキュリティ規程と照らして確認してください。
Q. どんな業務に向いていますか? A. NTT公式が用意する3ソリューション(コンタクトセンターのオペレーター支援、議事録・マニュアル作成、IT運用支援)が中心です。これらに近い課題を抱える中小企業であれば、既存メニューをベースに検討しやすいと編集部は考えます。
出典・参考情報
- NTT R&D公式 — NTT版LLM「tsuzumi」
- NTT技術ジャーナル — NTT版LLM「tsuzumi」(パラメータ数 0.6B/7Bの解説)
- NTTニュースリリース — tsuzumi 2 提供開始 (2025年10月20日)
- NTT STORY公式ブログ — tsuzumi 商用開始 (2024年3月25日)
- NTT STORY公式ブログ — tsuzumiを活用した3つのソリューション
- NTTデータ公式 — tsuzumi 製品ページ
- NTTデータ公式ニュース — Azure上でtsuzumi(MaaS)提供開始 (2024年11月20日)
- NTTデータ公式ニュース — Azure上でtsuzumi 2提供開始 (2026年5月)
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Mira / AI経営ラボ 編集長 編集部は中小企業の経営判断に資するツール評価を、公式情報源と一次資料をもとに継続的に更新しています。料金・機能は調査時点(2026年7月)の確認値であり、最新情報はリンク先公式ページでご確認ください。
もっと深く学ぶための関連書籍
tsuzumiのようなオンプレ型・国産LLMを検討する前に、そもそも自社のどの業務データを社内に留めるべきか、AI活用の優先順位をどう設計するかという「業務とデータの棚卸し」ができていないと、せっかくの軽量LLMも宙に浮いた設備投資で終わってしまいます。生成AI導入の判断軸を体系的に学んでおくと、tsuzumiのような選択肢を自社のIT戦略の中で正しく位置づけられます。
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料金プラン
| プラン | 料金 (JPY) | 請求 |
|---|---|---|
| Azure MaaS (従量課金・トークン単位、単価非公開) | ¥0 | 買い切り |
| オンプレミス / プライベートクラウド専用導入 (個別見積もり) | ¥0 | 買い切り |
| 業界特化アダプターチューニング (個別見積もり) | ¥0 | 買い切り |
👍 メリット
- パラメータ数を6億〜70億に抑えた軽量設計で、単一GPUでも高性能な推論が可能(NTT公式)
- 日本語処理特化で開発された純国産LLMで、社内データを外部に出さないオンプレミス/プライベートクラウド運用ができる
- 2024年11月からAzure MaaSで従量課金(Pay-as-you-go)提供が始まり、月額固定費なしで少量から検証できる
- コンタクトセンターのオペレーター支援、議事録・マニュアル作成、IT運用支援という3つの実務ソリューションが既に用意されている
- 金融・自治体・医療・製造など業界知識を学習させるアダプターチューニングに対応し、自社業務知識に合わせられる
👎 デメリット
- 本格導入(オンプレ専用環境・業界アダプターチューニング)の料金は個別見積もり制で、公式サイトに金額が一切公開されていない
- Azure MaaSのトークン単価も非公開で、実際の月額コストを把握するにはAzureマーケットプレイスでの試算か問い合わせが必要
- ChatGPTのような個人向けセルフサーブ登録ではなく、NTTグループ各社への問い合わせを前提にした法人営業フロー
- オンプレ運用は低コストとはいえGPUサーバーや既存システムとの連携構築が必要で、情シス人材が乏しい零細企業には荷が重い
- 英語圏の周辺エコシステム(プラグイン・コミュニティ事例)はOpenAIやAnthropicと比べると薄く、情報収集は公式発表頼みになりやすい