業務自動化

整骨院の施術記録をn8nで自動集約、月末レセプト作成を半日から30分に短縮

医療・介護 の業務自動化レシピ
業種医療・介護
ツールn8n
難易度★★☆ 中
設定時間約 120 分

整骨院の施術記録をn8nで集約し、レセプト作成の手作業を減らす方法を解説します。Google Sheetsとの連携、月次の集計、最終確認までを順に紹介し、料金や提出期限、患者情報の安全な扱いも確認します。

📖 読了目安: 約12分 | 対象: 整骨院・接骨院の経営者、施術管理者 | 難易度: 中級

📋 この記事のポイント

編集長の見解 — n8nは、整骨院の定型的な集計作業を見直す選択肢です。ただし、レセプトの内容確認や提出判断まで自動化するものではありません。まずはテストデータで流れを検証し、院内の責任者が最終確認する運用から始めるのが現実的です。


🏥 整骨院のレセプト業務の課題

なぜ月末レセプト業務は時間がかかるのか

整骨院のレセプトは、療養費支給申請書を作成する業務です。紙のカルテや記録システムから、患者ごとの施術日、回数、金額を確認して転記します。

患者数が多い院では、確認と集計に時間がかかります。作業時間は院の規模や記録方法で変わりますが、以下は導入前の試算例です。

作業内容所要時間の目安発生頻度
施術記録の収集・確認60〜90分毎月
施術回数・金額の集計90〜120分毎月
帳票への転記60〜90分毎月
点検・修正30〜60分毎月
合計約4〜6時間

手作業による転記ミス

手作業では、施術日や回数の入力間違いが起きる可能性があります。金額の桁や患者情報の取り違えにも注意が必要です。

不備があると、保険者から照会や差し戻しを受けることがあります。自動化後も、作成データを人が確認する工程は残してください。

⚠️ 注意 — 自動集計は、入力データの誤りを自動で正せるとは限りません。保険請求の内容は、院内の責任者や担当者が確認してから提出します。

提出期限は保険者ごとに確認する

療養費支給申請書の提出期限は、保険者や提出先の運用で異なる場合があります。「毎月10日まで」と案内されるケースもありますが、全国一律の期限とは限りません。

提出前に、国民健康保険団体連合会、加入する保険者、都道府県などの公式資料を確認してください。提出先から個別に案内を受けている場合は、その案内を優先します。

期限を過ぎた場合の扱いや支払い時期も、保険者によって異なります。自動化では、提出期限を固定値として扱わず、院が利用する提出先の情報を基準に設定しましょう。

次のセクションでは、n8nで記録を集約する全体像を示します。


🔧 n8nで実現する自動化の全体像

施術記録を取り込む方法

n8nへの取り込み方法は、記録システムの機能に応じて選びます。

データソース連携方法難易度
APIを提供するシステムHTTP Requestノードで取得中級
Google Sheetsで管理する記録Google Sheetsノードで取得初級
紙や専用アプリCSV出力後にGoogle Sheetsへ取り込み初級〜中級

Google Sheetsノードを使うには、Googleアカウントの認証設定が必要です。n8n公式のGoogle Sheetsノード説明を確認し、OAuth認証の設定と権限範囲を確認してください。

n8n公式ドキュメント: Google Sheetsノード

ワークフローの流れ

n8nでは、ノードと呼ばれる処理単位をつないでワークフローを作ります。レセプト関連の集計は、次の流れで設計できます。

n8n レセプト関連データの集約フロー
スケジュール起動

提出先の運用に合わせて処理を開始します。

データ取得

Google SheetsやAPIから施術記録を取得します。

データ整形

患者IDを基準に対象月の記録を整理します。

ファイル生成

院内確認用のCSVやExcelファイルを作成します。

保存・通知

権限を設定した保存先に記録し、担当者へ通知します。

導入前後の作業時間

導入前の中央値を5時間、導入後を30分とした場合、削減率は次の計算になります。

導入前後の月間業務時間
導入前(手作業)
  • 記録を確認(約90分)
  • 患者ごとに集計(約120分)
  • 帳票へ転記(約90分)
  • 点検・修正(約60分)
  • 合計: 約4〜6時間
導入後(自動集計)
  • データ取得・集計は自動
  • 院内確認を実施
  • 提出用データを確認
  • 人の作業は約30分
  • 合計: 約30分

導入前の中央値を5時間とした試算では、削減率は90%

この数字は導入効果の保証ではありません。患者数、入力方法、確認範囲によって実際の時間は変わります。

編集部メモ — 自動化の目的は、確認作業をなくすことではありません。転記や集計を減らし、担当者が内容確認に集中できる状態を作ることです。

次のセクションでは、Google Sheetsからデータを取得する設定を紹介します。


⚙️ ステップ1: 施術記録の取得と整形

Google Sheetsを使う前提

ここでは、施術記録をGoogle Sheetsに保存する構成で進めます。記録システムからCSVを出力できる場合は、CSVを確認してからシートへ取り込んでください。

例として、次の列を用意します。

患者情報を扱うため、共有範囲は必要な担当者だけに限定します。テスト時は、実在患者ではなく匿名化したデータを使ってください。

Google Sheetsノードの設定

Google Sheetsからのデータ取得手順

ステップ1: OAuth認証を準備

Googleアカウントをn8nに接続します。求められる権限を確認し、業務に必要な範囲だけを許可します。

ステップ2: Schedule Triggerを追加

Schedule Triggerを追加し、提出先の締切に間に合う日時を設定します。毎月1日に固定する前に、保険者の案内を確認してください。

ステップ3: Google Sheetsノードを追加

Google SheetsノードでReadまたはGet Sheet Dataを選び、対象のスプレッドシートとシートを指定します。

ステップ4: 取得結果を確認

テスト実行し、患者ID、施術日、回数、金額が正しく取得できるか確認します。実在患者のデータは、テスト環境で使用しないでください。

データを整形する

取得したデータは、対象月や患者IDを確認してから集計します。主な確認項目は次のとおりです。

  1. 日付形式の統一 — 施術日を同じ形式で扱う
  2. 患者IDの確認 — 氏名だけでなく、院内で定めたIDを基準にする
  3. 金額の型の確認 — 数値と文字列を混在させない
  4. 対象月の限定 — 前月や翌月の記録を混ぜない

Codeノードを使う場合は、院内の帳票仕様と保険者の案内に合わせて処理内容を確認してください。以下は集計ロジックの一例です。実際の提出書類を自動作成する前に、専門担当者による検証が必要です。

const records = $input.all();
const aggregated = {};

for (const record of records) {
  const patientId = record.json.patientId;
  const amount = Number(record.json.amount || 0);

  if (!aggregated[patientId]) {
    aggregated[patientId] = {
      patientId,
      patientName: record.json.patientName,
      visitCount: 0,
      totalAmount: 0,
      firstVisitDate: record.json.visitDate,
      lastVisitDate: record.json.visitDate
    };
  }

  aggregated[patientId].visitCount += 1;
  aggregated[patientId].totalAmount += amount;

  if (record.json.visitDate < aggregated[patientId].firstVisitDate) {
    aggregated[patientId].firstVisitDate = record.json.visitDate;
  }

  if (record.json.visitDate > aggregated[patientId].lastVisitDate) {
    aggregated[patientId].lastVisitDate = record.json.visitDate;
  }
}

return Object.values(aggregated).map(item => ({ json: item }));

💡 ヒント — Codeノードが難しい場合は、利用中のn8nのバージョンで使える集計ノードを確認してください。どの方法でも、集計結果を元データと照合するテストは省略しないでください。

API連携を使う場合

記録システムにAPIがある場合は、HTTP Requestノードでデータを取得できます。APIの利用規約、認証方式、取得できる項目をシステム提供企業に確認してください。

API連携の基本手順

ステップ1: HTTP Requestノードを追加

HTTP Requestノードを追加し、システムの仕様に合わせてGETなどのメソッドを選びます。

ステップ2: 認証情報を設定

APIキーなどを設定します。認証情報を本文やログに直接書かないでください。

ステップ3: 取得項目を確認

患者ID、施術日、回数、金額などが正しく返るか、匿名化したテストデータで確認します。

ステップ4: エラー処理を追加

通信失敗や空データを検知し、担当者へ通知する分岐を追加します。

次のセクションでは、集計結果を保存し、担当者が確認する流れを説明します。


📅 ステップ2: 集計とレポート生成

実行日時を決める

Schedule Triggerは、提出期限に間に合う日時へ設定します。毎月1日が適切とは限らないため、記録の確定日と提出先の期限を確認してください。

自動実行後に担当者が確認できる時間も確保します。初回は自動送信をせず、院内確認用のファイルだけを作成する方法が安全です。

スケジュール設定の確認手順

ステップ1: 提出先の期限を確認

国民健康保険団体連合会や利用する保険者の公式案内を確認します。10日が目安として示されていても、院の提出先の期限を優先します。

ステップ2: 確認時間を確保

自動処理の後に、担当者が内容を確認できる日数を設定します。

ステップ3: タイムゾーンを確認

実行環境のタイムゾーンがAsia/Tokyoになっているか確認します。

ステップ4: 初回は手動で検証

テストデータで実行し、元データと集計結果が一致するか確認してから有効化します。

CSVやExcelで確認用ファイルを作る

n8nでは、集約データを確認用のCSVやExcelファイルにできます。提出書類の形式は保険者や利用システムの仕様に従ってください。

形式主な用途注意点
CSV軽量なデータ受け渡し文字コードと列順を確認
Excel院内確認や複数シート数式や書式を確認
指定様式正式な提出様式と入力要件を確認

ファイル名には年月を含めます。たとえば 2026-09_レセプト確認用.csv のようにすると、過去データを追跡しやすくなります。

⚠️ 警告 — 自動生成ファイルをそのまま提出用の完成品と扱わないでください。指定様式、必要項目、記載内容を担当者が確認し、提出先の要件に合うことを確かめます。

保存と通知

確認用ファイルを保存する場合は、アクセス権を設定したGoogle Driveなどを利用します。メール添付は誤送信のリスクがあるため、患者情報を含むファイルを送る場合は院内規程を確認してください。

通知本文には、患者名や詳細な施術内容を必要以上に含めません。保存先へのリンク、対象月、確認期限など、必要最小限の情報にします。

次のセクションでは、導入時に起きやすい問題と対策を整理します。


⚠️ 自動化で失敗しないための注意点

データ形式を統一する

日付、患者ID、金額の形式が異なると、集計結果がずれる可能性があります。

問題回避策
日付形式の違い2026/9/12026-09-01入力形式を統一
患者情報の揺れIDの欠落や重複患者マスタを確認
金額の型違い数値と文字列の混在数値形式に統一
空白セル必須項目が未入力入力時の確認欄を追加

自動化前に、過去データを少量抽出してテストします。いきなり全患者分を処理しないことが重要です。

人による最終確認を残す

自動化後も、次の項目を担当者が確認します。

確認の原則 — 自動化するのは転記や集計です。保険請求の妥当性を判断する工程は、院内の担当者が担います。

よくあるトラブルと対策

以下は、整骨院の導入事例を統計的に調査した結果ではありません。n8n、Google Sheets、CSV連携で一般に起こり得るトラブルを、実務上の注意点として整理したものです。

月をまたぐデータが混ざる

実行時点で前月の入力が完了していないと、集計対象が不足する可能性があります。記録の確定日を決め、対象月を条件で限定してください。

Google Sheetsの権限エラーが起きる

OAuth認証のアカウントやシートの共有設定が適切でないと、取得に失敗します。認証に使うアカウントを決め、不要な共有設定を避けてください。

ファイル名が重複する

年月を含まない固定名では、過去ファイルを追跡しにくくなります。保存先の権限とファイル名の規則を先に決めます。

文字コードで表示が崩れる

CSVを表計算ソフトで開くと、文字コードによって表示が崩れる場合があります。提出先や院内で使うソフトの指定を確認し、テストファイルで表示を確認してください。

次のセクションでは、料金と実行回数を確認します。


💰 料金と実行回数

n8nの料金は公式ページで確認する

n8nの料金、プラン、実行回数は変更される可能性があります。無料利用の条件や有料プランの価格を記事の固定情報だけで判断せず、導入前に公式料金ページを確認してください。

n8n公式料金ページ

n8nでは、契約形態によって実行回数の数え方が異なる場合があります。ワークフローを月1回起動しても、取得、整形、保存などの処理量を含む契約上のカウント方法は、利用プランの説明で確認してください。

中小規模の整骨院での確認項目

確認項目確認内容
無料利用の条件無料版の提供形態と上限
実行回数ワークフローや処理の数え方
有料プラン月額、年額、通貨、機能
保存先クラウド版か自院管理か
サポート問い合わせやバックアップの範囲

料金を確認するときは、月1回のレセプト処理だけでなく、テスト実行、エラー時の再実行、他業務への利用も含めて見積もります。無料枠に収まるかは、実際のワークフローを少量のテストデータで動かして確認してください。

💡 料金の見方 — 無料という表示だけで患者情報の運用を始めないでください。料金、データ保存場所、バックアップ、アクセス管理をまとめて比較することが大切です。

次のセクションでは、よくある導入上の疑問に答えます。


❓ よくある質問

Q1. n8nを無料で使えますか?

利用できる無料版やセルフホスト版の条件は、時期と提供形態で異なります。料金ページで、無料利用の対象、実行回数、保存機能、サポート範囲を確認してください。

レセプト業務は月1回でも、テストや再実行が発生します。ワークフロー内の処理が契約上どのように数えられるかを確認し、実測した使用量と照合しましょう。

Q2. プログラミング知識がなくても導入できますか?

基本的なノード設定は、画面上の操作で進められます。ただし、患者情報の扱い、エラー処理、集計結果の確認には業務知識が必要です。

Codeノードを使う処理は、担当者だけでなく、レセプト業務に詳しい人とも確認してください。初回は匿名化データで検証します。

Q3. Google Sheets連携に必要なものは?

GoogleアカウントのOAuth認証が必要です。n8nの認証画面で許可する権限を確認し、対象シートの共有範囲も限定してください。

設定の詳細は、次の公式ドキュメントを参照します。

n8n公式ドキュメント: Google Sheets認証

Q4. APIがないシステムでも使えますか?

CSV出力に対応していれば、CSVをGoogle Sheetsへ取り込む方法があります。CSV出力も難しい場合は、記録システムの提供企業に連携方法を確認してください。

Google Formsなどを入力手段にする場合は、入力項目と患者情報の管理方法を先に検討します。既存の記録方法を変更するため、スタッフへの説明も必要です。

Q5. レセプトの提出期限はいつですか?

提出期限は、保険者や提出先によって異なります。「毎月10日まで」が一般的な案内として使われる場合もありますが、院の提出先で確認してください。

国民健康保険団体連合会、保険者、都道府県などの公式資料を確認し、締切だけでなく受付方法や不備時の扱いも把握します。

Q6. 患者情報の安全性をどう確保しますか?

n8nのクラウド版とセルフホスト版では、確認すべき責任範囲が異なります。クラウド版では提供企業のデータ保護、保存場所、契約条件を確認し、セルフホスト版では自院側で更新、公開範囲、バックアップを管理します。

共通して、次の対策を設定します。

患者情報は個人情報保護法などの対象になり得ます。利用するサービスの契約、院内規程、委託先との取り決めを確認し、不明点は個人情報保護や医療事務に詳しい専門家へ相談してください。

次のセクションでは、公式情報と導入手順をまとめます。


📚 参考情報と導入の進め方

公式情報

リソース内容編集部の評価
n8n公式ドキュメントノード、認証、設定の説明導入前に確認
Google Sheetsノードシート連携の設定必読
n8n公式料金ページ料金とプラン申込前に確認
n8n公式ワークフロー参考テンプレート構成の参考

整骨院の経営者が試す具体例

たとえば、月末に経営者がレセプト担当者と30分の確認時間を設ける運用です。n8nは前月の施術記録を集約し、担当者は患者数、施術回数、金額、対象月を確認します。

確認後、担当者が提出先の様式に合わせて提出します。最初の数か月は、従来の集計結果と自動集計結果を並べて比較すると、差異を見つけやすくなります。

導入ロードマップ

導入までのロードマップ

ステップ1: 業務フローを整理(所要: 1日)

記録の確定日、提出先、確認担当者、現在の作業時間を整理します。

ステップ2: テスト用データを準備(所要: 1日)

実在患者を特定できないデータを作り、列構成と集計条件を確認します。

ステップ3: n8nとGoogle Sheetsを接続(所要: 1〜2日)

OAuth認証、共有権限、保存場所を確認し、公式ドキュメントに沿って設定します。

ステップ4: 自動集計を検証(所要: 2〜3日)

従来の集計結果と比較し、欠落、重複、金額差がないか確認します。

ステップ5: 院内確認後に運用開始(所要: 1か月)

初月は自動生成後に人が全件確認し、提出先の要件に合うことを確かめます。

編集長のまとめ — n8nは、整骨院の記録集約や集計を効率化する選択肢です。料金と実行回数は公式情報で確認し、提出期限は利用する保険者に照会してください。患者情報を扱うため、匿名化したテスト、権限管理、暗号化、監査記録、担当者による最終確認をそろえてから本番運用へ進みましょう。

Mira / AI経営ラボ 編集長