業務自動化

建設現場の資材発注をZapierで自動化 — 在庫管理システムから発注書を自動生成するレシピ

建設業 の業務自動化レシピ
業種建設業
ツールZapier
難易度★★☆ 中
設定時間約 90 分

建設現場では、在庫確認や発注書の作成に手間がかかります。Zapierを使えば、在庫管理表の更新を起点に、発注書の下書きや履歴記録を自動化できます。本記事では、Google Sheetsを使った安全な導入手順と、料金・タスク数を確認する方法を紹介します。

読了時間: 約 12 分

💡 この記事のポイント

  • 在庫管理表から発注書を作る流れを理解できる
  • 発注前に人が確認する設定で誤発注を防げる
  • Google Sheetsを使った具体的なレシピを試せる
  • Zapierの最新料金とタスク数を確認する方法が分かる
  • 複数現場を管理するシート設計の考え方を学べる

📝 編集長の見解

Zapierは、少人数の建設会社が定型的な事務作業を見直す際に役立つ選択肢です。ただし、発注をいきなり無人化するのは避けましょう。まずは発注書の下書きと通知から始め、担当者の確認後に送信する運用が現実的です。


🏗️ 建設現場の資材発注が抱える課題

建設現場では、電話、FAX、表計算ソフトなどを組み合わせて発注を管理することがあります。会社や現場によって運用は異なりますが、情報が分散すると確認に手間がかかります。

発注情報の分散による属人化

現場監督や事務担当者が、仕入れ先への連絡と発注履歴の記録を別々に行うと、次の問題が起こりやすくなります。

発注漏れと過剰発注のリスク

発注点を明確にしないまま目視で在庫を確認すると、発注の判断が担当者の経験に偏ることがあります。発注漏れは納期に影響し、過剰発注は保管費や資金の滞留につながります。

自動化では、在庫数だけでなく、納期、使用量、発注済み数量も確認することが重要です。

現場監督の事務負担

発注に必要な情報の転記や書類作成が多いと、現場監督が本来の工程管理や安全管理に使える時間が減ります。所要時間は現場の規模や運用で異なるため、まずは自社で 1 週間の作業時間を記録してください。

⚠️ 放置するとどうなるか

発注情報の分散を放置すると、確認漏れや二重発注に気づくまでの時間が延びます。自動化はこれらを自動的に解決するものではありません。発注前の確認者と、異常時の連絡方法を先に決めておきましょう。

自社の作業時間とミスの発生箇所を把握したら、次に自動化の範囲を決めます。


🔄 Zapierで実現する発注補助の仕組み

Zapierは、異なるクラウドサービスをつなぎ、定型作業を自動化するサービスです。自動化の一連の流れは「Zap」と呼ばれます。

基本的な仕組み

このレシピでは、次の流れを作ります。

  1. 起点: 在庫管理表の行が更新される
  2. 条件確認: 在庫数が発注点を下回るか確認する
  3. 書類作成: 発注書の下書きを作る
  4. 通知: 担当者へ確認を依頼する
  5. 記録: 発注候補を履歴シートに残す

仕入れ先へ自動送信する場合は、金額や資材の種類に応じた承認条件を設けてください。

在庫管理システムの選択肢

システム特徴月額費用の目安編集部の評価
Google Sheets無料で始めやすい無料小規模現場の試行向け
Excel(OneDrive経由)既存の表を活用しやすい契約内容による既存環境を活かしたい会社向け
Zoho Inventory在庫管理機能がまとまっている公式料金を確認管理機能を重視する会社向け
kintone自社向けに画面を調整しやすい公式料金を確認複数現場の管理向け

Zapierとの連携可否や必要な機能は変更されることがあります。導入前に、各サービスの公式ページで対応アプリと料金を確認してください。

💡 編集部のおすすめ

初めて試す会社は、Google Sheetsで発注候補を作るところから始めると安全です。実際の発注は担当者が確認し、問題がなければメールや別の発注サービスで送信します。

自動発注フロー全体像

資材発注の補助フロー
1. 在庫管理表を更新

現場の在庫数、発注点、納期などを入力します。

2. 発注条件を確認

在庫数が発注点を下回る行だけを抽出します。

3. 発注書の下書きを作成

Google Docsのテンプレートに資材情報を差し込みます。

4. 担当者へ通知

発注内容と書類へのリンクをメールなどで通知します。

5. 確認後に送信・記録

担当者が確認し、送信後に発注履歴へ記録します。

Zapierの料金とタスク数

Zapierの料金、無料利用枠、タスク数、機能は変更される可能性があります。記事公開時点の具体的な金額やタスク数を固定して案内するのではなく、導入前に Zapier公式料金ページ を確認してください。

確認項目確認する内容判断のポイント
料金月払い・年払いの金額為替や契約期間を含めて確認する
利用枠月間タスク数想定実行回数より余裕を持たせる
機能複数ステップ、フィルターなど作りたいZapに必要か確認する
更新条件超過時の扱いや変更条件自動更新と上限到達時の動作を確認する
導入前に確認する料金区分
無料プラン
¥0
公式料金ページで利用枠と機能を確認
有料プラン
¥0
必要なタスク数と機能を公式料金ページで確認

⚠️ 古い料金情報を使わない

Zapierのプラン名、料金、無料利用枠は更新されることがあります。無料プランのタスク数や、Professional・Teamなどの料金を過去の情報で断定しないでください。契約画面に表示される金額と利用枠を確認し、自社の月間実行回数と照らし合わせます。

料金を確認したら、次は発注候補を作る具体的な設定に進みます。


📋 具体的なレシピ:在庫表から発注書の下書きを作る

ここでは、Google Sheetsを在庫管理表として使い、Google Docsで発注書の下書きを作成します。仕入れ先への送信は、担当者の確認後に行う前提です。

レシピの概要

  1. 起点: Google Sheetsの対象行を検知する
  2. 条件: 在庫数が発注点を下回る行だけを対象にする
  3. 書類作成: Google Docsのテンプレートへ情報を差し込む
  4. 通知: 担当者へ確認を依頼する
  5. 記録: 発注候補または発注済みの状態を記録する

準備するもの

在庫管理表の設計

資材コード資材名現在庫数発注点仕入れ先仕入れ先メールリードタイム(日)
C-001セメント150100株式会社A建材order@a-kenzai.co.jp3
R-001鉄筋D168050株式会社B鉄鋼order@b-tekko.co.jp5
W-001型枠用合板200120株式会社C木材order@c-mokuzai.co.jp2

実運用では、現場名、発注済み数量、発注状態、最終更新日も加えると確認しやすくなります。

💡 シート設計のポイント

資材コードと発注状態を設けると、同じ資材の二重処理を防ぎやすくなります。発注状態は「未確認」「確認済み」「送信済み」「取消」など、少数の選択肢に限定してください。

ステップバイステップ設定手順

Zapier設定手順(所要時間:約 90 分)
ステップ 1:新しいZapを作成

Zapierで「Create Zap」を選び、「在庫発注候補」などの名前を付けます。

ステップ 2:起点を設定

Google Sheetsを選び、利用できるイベントから、運用に合う行の追加・更新イベントを選択します。表示されるイベント名は変更される可能性があるため、画面の説明も確認してください。

ステップ 3:条件を設定

Filter機能で、現在庫数が発注点を下回り、発注状態が「未確認」の行だけを対象にします。

ステップ 4:発注書の下書きを作成

Google Docsのテンプレートへ資材名、数量、納期、仕入れ先などを差し込みます。

ステップ 5:確認依頼を通知

メールなどで担当者へ通知します。通知には、資材名、数量、仕入れ先、発注書へのリンクを含めます。

ステップ 6:履歴を記録

発注候補または確認済みの情報を履歴シートへ記録します。送信前後の状態を区別してください。

ステップ 7:テストして有効化

少量のテストデータで動作を確認し、問題がなければ有効化します。

発注書テンプレートの作成

Google Docsのテンプレートには、次のような項目を用意します。

【発注書】

発注日:{発注日}
発注番号:{発注番号}

仕入れ先:{仕入れ先名}
ご担当者様

下記の通り、資材をご発注いたします。

資材コード:{資材コード}
資材名:{資材名}
数量:{発注数量}
単位:{単位}
納期:{納期}

備考:{備考}

株式会社〇〇建設
現場名:{現場名}
担当者:{担当者名}
連絡先:{連絡先}

⚠️ 波括弧のエスケープに注意

Zapierの差込フィールドを本文中に表示する場合は、{発注日} のようにHTMLエンティティへ置き換えます。コンポーネントの設定に使う波括弧は、MDXの式として記述してください。

発注数量の計算

発注数量は、次の考え方で計算します。

発注数量 = (1日あたりの使用量 × リードタイム)+安全在庫-現在庫数

発注数量が 0 以下になる場合は、発注しない条件を設定します。Formatterの計算機能を使う場合は、単位と小数点の扱いをテストしてください。

💡 安全在庫の考え方

安全在庫は、納期のばらつきや急な追加需要に備えるための在庫です。固定で「何日分」と決めず、過去の使用量、納期の実績、資材の重要度を見て設定してください。最初は仮の値で始め、棚卸しや納品実績をもとに見直します。

発注数量を決めたら、次に発注点と承認条件を調整します。


🎯 発注漏れ・過剰発注を防ぐ設定

自動化は、入力された情報をもとに処理します。発注点や重複防止の条件を定期的に見直してください。

基準値(発注点)の設定方法

発注点は、次の式を出発点にできます。

発注点 = (1日あたりの使用量 × リードタイム)+安全在庫
資材名1日あたりの使用量リードタイム安全在庫発注点
セメント30 袋3 日20 袋110 袋
鉄筋D1610 本5 日15 本65 本
型枠用合板40 枚2 日30 枚110 枚

表の数値は説明用の例です。実際の設定では、資材ごとの使用量と納期実績を使ってください。

⚠️ リードタイムの変動に注意

繁忙期や天候、仕入れ先の状況により、納期は変動します。納期の実績を記録し、発注点を定期的に見直しましょう。重要資材は、発注前の確認を省略しない運用が安全です。

複数現場を管理するシート設計

複数現場を管理する場合は、次のどちらかを選びます。

方法 1:1 つのシートに現場名を追加

現場名資材コード資材名現在庫数発注点仕入れ先
A現場C-001セメント150100株式会社A建材
B現場C-001セメント80100株式会社A建材

方法 2:現場ごとにシートを分ける

💡 複数現場の管理方法

現場数が少ない場合は、1 つのシートに現場名を追加する方法が管理しやすいでしょう。現場ごとに担当者や仕入れ先が大きく異なる場合は、シートを分ける方法も検討できます。

承認フローを挟む場合の注意点

高額な発注や初めての仕入れ先への発注では、担当者の承認を挟みます。

承認結果と送信日時を記録すると、後から経緯を確認できます。

エラー時の通知設定

Zapierのエラー通知機能を使い、処理が止まった場合に担当者へ知らせます。通知先は、次の条件を満たすアドレスにしてください。

異常通知だけでなく、発注書の作成件数も定期的に確認しましょう。

自動化の条件を整えたら、次に導入時の失敗を防ぐ確認項目を見ていきます。


⚠️ 編集部の警告:自動化で失敗しないために

自動化は、確認手順とセットで運用します。

失敗パターン 1:在庫管理表の入力ミス

入力ミスは、そのまま発注ミスにつながります。

失敗パターン 2:仕入れ先情報の更新漏れ

仕入れ先の担当者やメールアドレスが変わると、発注書が届かないことがあります。重要な発注では、送信後に受領確認を取る運用を決めてください。

失敗パターン 3:タスク利用枠の確認漏れ

Zapierのタスク数は、プランと処理内容によって確認が必要です。トリガー、アクション、検索、分岐などの各ステップが、どのように利用枠へ反映されるかは、Zapier公式ヘルプと契約中のプランで確認してください。

⚠️ タスク数は実測する

「1 回の発注で何タスク」と一律に決めず、テスト用のZapを動かして利用状況を確認してください。実行履歴とプラン画面を照合し、月間の想定発注数に余裕があるか判断します。古い料金表や過去の記事の数値を、そのまま使わないことが重要です。

失敗パターン 4:テスト運用をしない

いきなり仕入れ先へ送信すると、誤発注につながります。まずは発注書の下書き作成と担当者への通知だけで試し、送信前に次の項目を確認してください。

💡 小さく試す手順

まず 1 現場、数種類の資材、少数の担当者で 1〜2 週間試します。作業時間、修正件数、通知漏れを記録し、継続する価値があるか判断してください。

テストで問題がなければ、現場数と資材の種類を段階的に増やします。


❓ よくある質問(FAQ)

Q1. Zapierの無料プランで足りるか?

A. 実際に必要な利用枠は、Zapのステップ数、実行頻度、契約プランで変わります。まずは発注書の下書き作成と通知だけでテストし、Zapierの料金ページと利用状況画面を確認してください。無料枠に収まるかは、想定する実行回数をもとに判断します。

Q2. 在庫管理システムは何を使えばいいか?

A. 初めて試す場合は、Google Sheetsが候補になります。すでにExcelを使っている場合は、OneDriveなどの連携方法を確認してください。複数現場や承認履歴を厳密に管理する場合は、クラウド在庫管理ツールや業務アプリも比較しましょう。

Q3. 仕入れ先がFAX対応のみの場合どうするか?

A. まず、仕入れ先がメールで受け付けられるか確認します。FAXが必要な場合は、Zapierの 連携アプリ一覧 で、契約地域と利用時点に対応するFAX送信サービスを確認してください。Fax.Plusなどの特定サービスが利用できると断定せず、公式の連携ページと料金を確認してから採用します。

💡 FAX対応の仕入れ先への対応

FAX送信を自動化する場合でも、初回は送信結果を確認してください。誤送信を防ぐため、仕入れ先の番号と発注内容を担当者が確認する手順を残します。

Q4. 複数現場を管理する場合の設定方法は?

A. 1 つのシートに現場名の列を追加する方法と、現場ごとにシートを分ける方法があります。現場数、担当者、仕入れ先、承認方法を比較し、管理しやすい方を選んでください。

Q5. 発注書のフォーマットはカスタマイズできるか?

A. はい。Google Docsのテンプレートに、発注番号、納期、備考などの項目を追加できます。差込フィールドを使う場合は、サービスの現行仕様を確認し、テストデータで表示を確認してください。

Q6. 発注履歴はどのように管理すればいいか?

A. 発注日、資材名、数量、仕入れ先、発注状態、担当者、送信日時を履歴シートに記録します。月ごとに発注量や金額を確認すると、在庫管理と仕入れ先との調整に活用できます。

次に、料金や連携仕様を確認するための公式情報をまとめます。


📚 出典・参考情報

料金、利用枠、連携アプリ、各アクションの扱いは変更される場合があります。公開前と導入前に、公式情報を再確認してください。

📝 編集長のまとめ

建設現場の資材発注は、在庫表から発注書の下書きと通知を自動化するだけでも、転記作業を減らせます。まずは 1 現場で試し、発注前の確認、エラー通知、利用枠の確認を組み込みましょう。自動化を目的にせず、発注ミスと事務負担を減らせるかを記録しながら改善することが大切です。


Mira / AI経営ラボ 編集長