業務自動化

旅館の宿泊者台帳を自動生成 — 予約メールの内容をZapierで顧客管理システムに自動登録するレシピ

宿泊業(旅館・民宿) の業務自動化レシピ
業種宿泊業(旅館・民宿)
ツールZapier
難易度★★☆ 中
設定時間約 45 分

旅館・民宿では、予約メールを宿泊者台帳へ転記する作業が毎日発生します。本記事では、Zapierで予約メールを読み取り、Googleスプレッドシートへ登録する方法を解説します。設定時間、料金、個人情報の管理まで、経営者が導入を判断する材料を整理します。

読了時間: 約 12 分

📌 この記事のポイント

編集長の見解
予約メールの転記は、旅館・民宿の現場で繰り返し発生する作業です。自動化すれば入力時間を減らせますが、登録内容の確認と個人情報の管理は残ります。まずは少ない予約件数で試し、手入力との照合を続けながら運用範囲を広げる方法が現実的です。


🏨 旅館の宿泊者台帳作成、何が課題か

予約メールの手入力によるミスと時間コスト

旅館・民宿の予約は、電話、公式サイト、楽天トラベル、じゃらん、Booking.comなど、複数の窓口から入ります。各窓口から届く予約確認メールを確認し、氏名、住所、連絡先、宿泊日、人数、プラン名などを台帳へ入力します。

この作業には、次の問題があります。

反復作業が増えると、従業員の負担も大きくなります。チェックイン時の予約内容の確認にも影響するため、入力と照合の手順を見直す価値があります。

台帳の二重管理・情報の散在

台帳の管理方法にも違いがあります。

管理方法メリット注意点編集部の評価
紙の台帳誰でも扱いやすい検索や保管に手間がかかる小規模運用向け
Excel / Googleスプレッドシート検索・並べ替えができる入力や権限管理が必要少人数の開始方法として現実的
予約サイトの管理画面予約情報が自動で入るサイトごとに情報が分かれる補助的に利用
自社の顧客管理システム情報をまとめて管理できる費用と導入作業が必要件数が多い施設向け

情報が複数の場所にあると、予約元の確認に時間がかかります。予約サイトの管理画面と自社台帳で内容が異なる場合は、照合ルールも必要です。

繁忙期のチェックイン業務の混乱

ゴールデンウィーク、お盆、年末年始などは、チェックインが集中します。フロントでは、電話対応、荷物の預かり、客室案内、支払い処理などを同時に行います。

台帳への反映が遅れると、予約内容の確認にも時間がかかります。自動登録を導入する場合も、チェックイン前に担当者が確認する手順を残しましょう。

⚠️ 現場で起こりがちな失敗
予約メールの転記漏れがあると、当日に予約を確認できない場合があります。自動化は入力漏れの抑制に役立ちますが、登録後の確認まで含めて運用を設計する必要があります。

次のセクションでは、予約メールから台帳へ登録する仕組みを確認します。


⚙️ Zapierで実現する自動登録の仕組み

予約メールを起点にした自動処理の全体像

Zapierは、複数のクラウドサービスをつなぐ自動化サービスです。「予約メールが届いたら」といった出来事を起点に、別のサービスで処理を実行できます。

今回のレシピでは、次の流れを作ります。

宿泊者台帳 自動登録の全体フロー
① 予約メールを受信

Gmail / Outlookに予約確認メールが届く

② Zapierがメールを検知

新しいメールを見つけ、本文を取得する

③ 本文から項目を抽出

氏名、宿泊日、人数、プラン名などを抽出する

④ Googleスプレッドシートへ登録

台帳へ新しい行として追加する

⑤ 担当者へ通知

登録結果をメールなどで知らせる(任意)

この流れなら、予約メールの受信後に台帳へ登録できます。ただし、抽出結果の確認と、変更・キャンセルの処理は別途設計が必要です。

必要なツール

ツール役割必要なプラン編集部の評価
Zapier自動処理の中心無料プランから開始可能少件数なら試しやすい
GmailまたはOutlook予約メールの受信利用中のアカウント既存環境を活用
Googleスプレッドシート台帳の保存先Googleアカウント少人数で共有しやすい

Googleスプレッドシートは、スマートフォンやタブレットからも確認できます。フロントで使う場合は、端末の画面ロックとアカウント管理も設定してください。

💡 編集部のアドバイス
最初は氏名、宿泊日、人数、予約番号など、確認に必要な項目だけを登録しましょう。項目を絞るとテストしやすく、入力ミスの発見もしやすくなります。

Zapierの設定手順

Zapierの基本設定手順

ステップ1: Zapierアカウントを作成

Zapier公式サイトでアカウントを作成します。Googleアカウントでの登録も可能です。

ステップ2: 新しいZapを作成

ダッシュボードから「Create Zap」を選び、自動処理を作成します。

ステップ3: トリガーを設定

GmailまたはOutlookを選び、「New Email Matching Search」を設定します。

ステップ4: アクションを設定

Google Sheetsを選び、「Create Spreadsheet Row」を設定します。

ステップ5: テストして有効化

テストで登録内容を確認し、問題がなければZapを有効にします。

メール本文から項目を抽出する方法

「New Email Matching Search」を使うと、件名や本文などの条件で対象メールを絞れます。例えば、件名に「ご予約確認」を含むメールだけを処理する設定です。

抽出方法は、メール形式によって選びます。

方法1: 形式が一定のメールから抽出する

予約サイトから届くメールの形式が一定なら、正規表現を使えます。正規表現は、文字の並び方を指定して必要な部分を探す方法です。ZapierのFormatterで、本文から一致する文字列を抽出します。

方法2: メール全体を保存する

メール形式が異なる場合は、件名、本文、送信者をそのまま保存する方法もあります。スタッフが内容を確認し、必要な項目を補う運用です。

編集長の見解
自動抽出の精度は、メール形式に左右されます。最初から全項目の自動化を目指さず、予約番号や宿泊日など、確認しやすい項目から始めると運用しやすくなります。

次のセクションでは、旅館・民宿の現場で導入する具体的な手順を説明します。


🛠️ 導入ステップ

設定作業の目安は45分です。実際のメールでテストする時間も含め、運用開始までは1〜2日程度を見込むとよいでしょう。

ステップ1: Zapierアカウント作成と連携設定

次の順で進めます。

  1. Zapier公式サイトにアクセスし、「Sign up」を選ぶ
  2. Googleアカウントまたはメールアドレスで登録する
  3. ダッシュボードで「Create Zap」を選ぶ

続いて、GmailとGoogleスプレッドシートを接続します。「Connect a new account」を選び、各サービスの認証画面で連携を許可してください。

ステップ2: 予約メールのトリガー設定

トリガーは、次のように設定します。

  1. トリガーアプリに「Gmail」を選ぶ
  2. トリガーイベントに「New Email Matching Search」を選ぶ
  3. 件名や送信元で検索条件を設定する
  4. Gmailアカウントを接続する
設定項目推奨値備考
Search Query件名や送信者で絞り込む例: subject:(ご予約確認) from:(@rakuten.co.jp)
FolderInbox受信トレイを指定
Mark as Readオン同じメールの再処理を防ぎやすい

⚠️ トリガー設定の注意点
条件を絞りすぎると、必要なメールを見落とします。反対に、条件が広すぎると関係のないメールも処理されます。テスト用メールで確認し、条件を少しずつ調整してください。

ステップ3: データ抽出ルールの設定

予約メールから台帳に必要な情報を抽出します。ZapierのFormatterを使う場合は、実際のメールをサンプルにしてテストします。

氏名の抽出例

「お名前:山田 太郎」という形式なら、次の正規表現を使えます。

お名前[::]\s*(.+)

宿泊日の抽出例

「ご宿泊日:2026年8月15日」という形式なら、次のように指定します。

ご宿泊日[::]\s*(\d{4})年(\d{1,2})月(\d{1,2})日

人数の抽出例

「ご宿泊人数:2名」という形式なら、次のように指定します。

ご宿泊人数[::]\s*(\d+)名

💡 編集部のアドバイス
正規表現が難しい場合は、メール本文をそのまま保存する構成から始めましょう。運用後に必要性が高い項目だけを抽出すると、設定の負担を抑えられます。

ステップ4: Googleスプレッドシートへの登録テスト

次の手順で登録先を設定します。

  1. アクションアプリに「Google Sheets」を選ぶ
  2. アクションイベントに「Create Spreadsheet Row」を選ぶ
  3. Googleアカウントを接続する
  4. スプレッドシートとワークシートを選ぶ
  5. 各列へ抽出データを対応付ける
列名データ内容
受信日時メールの受信日時2026/08/01 10:30
予約サイト送信元のメールアドレスrakuten.co.jp
予約番号予約メールの番号ABC123
氏名抽出した氏名山田 太郎
宿泊日抽出した宿泊日2026/08/15
人数抽出した人数2
プラン名抽出したプラン名スタンダードプラン
ステータス予約状況予約
メール本文確認用のメール全文省略

テスト後は、登録された値を元メールと照合します。確認が済んだらZapを有効にしてください。

ステップ5: 運用開始と確認

Zapを有効にした後は、次の手順で確認します。

  1. テスト用メールを送信、または過去の予約メールを転送する
  2. 新しい行が追加されたか確認する
  3. 抽出データを元メールと照合する
  4. 誤りがあれば条件や抽出ルールを修正する

編集長の見解
導入直後は、少なくとも1週間、登録結果を手作業で確認しましょう。メール形式の違いや変更通知を把握してから、確認頻度を調整する方法が安全です。

次のセクションでは、導入後に起こりやすい問題と、その対策を紹介します。


⚠️ 編集部の警告(失敗パターン)

自動化では、メール形式、予約変更、個人情報の管理に注意が必要です。

失敗パターン1: メール形式が複数ある

原因: 予約サイトごとにメールの形式が異なるためです。

:

対策:

失敗パターン2: 変更・キャンセルで二重登録になる

予約変更やキャンセルのメールを新規登録すると、同じ予約が複数行になることがあります。

対策:

⚠️ 二重登録を放置しない
同じ予約が複数行あると、部屋割りや人数の確認を誤る可能性があります。予約番号とステータスを使い、変更履歴も確認できる形にしましょう。

失敗パターン3: 個人情報の取り扱いが不十分

宿泊者台帳には、氏名、住所、電話番号、メールアドレスなどが含まれます。これらをZapierやGoogleスプレッドシートで扱う場合は、アクセス権限と委託先の管理が必要です。

個人情報保護法上、個人情報を検索できるように体系的に構成した台帳は、一定の要件を満たすと「個人情報データベース等」に該当します。台帳に含まれる情報や利用方法を確認し、自社の状況に応じて適切に管理してください。

対策:

⚠️ 法令と契約の確認が必要
個人情報を外部サービスで処理する場合は、個人情報保護委員会の資料と各サービスの規約・プライバシー情報を確認してください。必要な安全管理措置や委託先の監督方法は、事業者の規模や処理内容によって異なります。

次のセクションでは、料金、連携方法、導入時間についてよくある質問に答えます。


❓ よくある質問

Q1: 無料プランで使えますか?

Zapierの料金や機能は変更される可能性があるため、契約前に公式の料金ページで確認してください。無料プランのタスク数、Zapのステップ数、利用できるアプリや更新間隔は、時期やアカウント条件によって異なる場合があります。

予約件数が少ない施設では、無料プランで試せる可能性があります。ただし、予約メールの受信数だけでなく、抽出や登録などの処理回数も見積もってください。

Q2: 楽天トラベル、じゃらんなどと連携できますか?

予約サイトから届く予約確認メールを起点にする方法があります。予約サイト側に公式連携機能や利用条件がある場合は、先に確認してください。

メール形式はサイトごとに異なるため、サイトごとにZapを分けるか、本文全体を保存する運用が現実的です。

Q3: 自社システムへ直接登録できますか?

自社システムがAPIを公開していれば、Zapierから接続できる可能性があります。対応可否や追加費用は、システムのサービス提供企業へ確認してください。

APIがない場合は、Googleスプレッドシートを一時的な登録先にする方法があります。ただし、個人情報を扱うため、権限と保存期間を事前に決めましょう。

Q4: メールの抽出精度はどの程度ですか?

メール形式が一定なら、氏名、宿泊日、人数などを抽出しやすくなります。ただし、次のような場合は誤抽出の可能性があります。

実際のメールでテストし、登録後に元メールと照合してください。

Q5: 予約変更やキャンセルにはどう対応しますか?

予約番号をキーにして、該当行を更新する方法があります。Zapierの検索・更新アクションを使う場合は、変更通知とキャンセル通知で条件を分けてください。

件数が少ない場合は、通知を受けて担当者が台帳を確認する方法も選べます。自動更新だけに任せず、定期的な照合を組み合わせましょう。

Q6: 導入時間とコストはどの程度ですか?

設定作業は45分程度が目安です。実際のメールでのテストと調整を含めると、運用開始まで1〜2日程度を見込むとよいでしょう。

項目費用の考え方備考
Zapier料金ページで契約時点の金額を確認プラン・機能は変更される可能性があります
Googleスプレッドシート無料で利用できる場合があるGoogleアカウントが必要
Gmail / Outlook利用中の環境を使用契約内容を確認
設定作業自社作業なら追加費用なし外部委託は別途見積もり

まず無料または低コストの範囲で試し、処理回数と確認作業の負担を見て、有料プランの必要性を判断してください。


📚 出典・参考情報

料金や機能は更新される可能性があります。公開前と契約前に、各公式ページの最新情報を確認してください。

情報源本文との対応参照先
Zapier公式サイトZapierの料金、タスク、利用可能な機能、アプリ連携の確認料金ページヘルプセンター
Googleスプレッドシート公式ヘルプシートの作成、共有、権限設定、同時編集の確認Googleスプレッドシート ヘルプファイル共有のヘルプ
個人情報保護委員会個人情報データベース等の定義、安全管理措置、委託先管理の確認個人情報保護法ガイドライン個人情報保護法令和年版

編集部メモ
本記事はZapierの導入手順を紹介するもので、個人情報保護法への適合を保証するものではありません。個人情報を扱う範囲、保存期間、外部サービスへの委託方法については、自社の管理責任者や専門家にも確認してください。

Mira / AI経営ラボ 編集長