業務自動化

旅館・ホテルの予約情報をZapierで自動集約!顧客管理システムへの登録を自動化するレシピ

宿泊業・旅館・ホテル の業務自動化レシピ
業種宿泊業・旅館・ホテル
ツールZapier
難易度★★☆ 中
設定時間約 120 分

楽天トラベル、じゃらん、Booking.comなど、複数の予約サイトから届く情報を顧客台帳へ転記していませんか? Zapierで予約通知メールを検知し、氏名や宿泊日を台帳へ登録する流れを作れます。この記事では、中小規模の旅館・ホテルが約2時間で試せる設定方法と、料金、個人情報の扱いを紹介します。

読了時間: 約18分 | 設定時間: 約2時間

📌 この記事のポイント

編集長の見解: 中小規模の旅館・ホテルでは、予約情報の転記を特定の担当者に頼ると、休暇や繁忙期に負担が偏ります。Zapierは、予約通知メールを台帳へ転記する作業を減らす選択肢です。ただし、メール形式や料金体系は変わる可能性があります。まずは予約件数の多いサイトを 1 つ選び、テスト後に範囲を広げる進め方が現実的です。


なぜ予約情報の手入力が問題なのか

旅館・ホテルでは、複数の予約サイトを使うことがあります。サイトごとに通知メールの形式や管理画面が異なるため、予約情報を確認して台帳へ移す作業が発生します。

予約情報がバラバラに届く現状

予約サイト通知方法の例情報の形式
じゃらんメール、管理画面日本語の定型メール
楽天トラベルメール、管理画面日本語の定型メール
Booking.comメール、管理画面英語の定型メール
Agodaメール、管理画面英語の定型メール
自社サイトメール、フォーム自社フォーマット

担当者は各サイトの通知を確認し、必要な項目を顧客台帳へ入力します。予約が入るたびに作業が発生するため、件数が増えるほど負担も増えます。

手入力による転記ミス・二重登録・漏れのリスク

手入力では、次のような入力ミスが起こり得ます。

失敗パターン: 転記ミスは、入力直後に見つからないことがあります。チェックイン前に予約番号と宿泊日を照合する確認手順を設け、問題が起きた場合に早く気づける状態を作りましょう。

繁忙期の対応遅れが顧客対応に影響する

ゴールデンウィークやお盆、年末年始は、予約と問い合わせが重なりやすい時期です。フロント担当者が接客と入力を同時に行うと、予約確認や台帳更新が遅れる場合があります。

入力作業を減らせれば、担当者はチェックイン対応や問い合わせへの回答に時間を回せます。自動化後も、登録内容を確認する担当者は必要です。

工数と人件費の試算

次の試算は、予約 1 件の入力に 5 分、月 30 件の予約がある場合を想定しています。

項目時間の目安
1 件あたりの入力時間約 5 分
月間予約件数30 件
台帳への入力時間2.5 時間
繁忙期の関連作業を含む時間約 30 時間
想定時給¥1,200

台帳への入力だけなら、5 分 × 30 件で月 2.5 時間です。予約サイトの確認や修正対応を含め、繁忙期に月 30 時間かかる場合は、時給 ¥1,200 で月 ¥36,000、年間約 ¥430,000 相当になります。実際の削減幅は、予約件数や確認方法によって変わります。

編集部の試算: この金額は人件費の試算であり、Zapier導入後の削減額を保証するものではありません。導入前に 1 週間の作業時間を記録し、自施設の数字で判断してください。

この試算を基に、次は Zapier で予約通知を台帳へ移す仕組みを確認します。


Zapierで実現する自動化の全体像

Zapierは、異なるサービスをつなぐ自動化ツールです。予約通知メールを検知し、本文の情報を顧客台帳へ登録する流れを作れます。

自動化の仕組み

自動化は、次の 3 つの要素で構成します。

  1. トリガー: 予約通知メールを検知する
  2. 処理: メール本文から予約情報を抜き出し、形式を整える
  3. アクション: 顧客管理システムや表計算シートへ登録する
予約情報の自動集約フロー
トリガー

予約サイトから通知メールが届く(Gmail / Outlookなど)

抽出

メール本文から氏名・宿泊日・人数・部屋タイプを抽出

整形

顧客台帳の項目に合わせてデータを整える

登録

顧客台帳へ新しい行または顧客情報を登録

通知

登録完了を担当者へ通知(必要な場合)

必要なツール構成

ツール役割月額費用の目安
Zapierサービス間の自動化無料〜 69 ドル以上
Gmail / Outlook予約通知メールの受信無料〜
顧客管理システム顧客情報の保管無料〜
Google スプレッドシート顧客台帳の代替無料〜

代表的な連携先には、HubSpot、Zoho CRM、Salesforce、Google スプレッドシートがあります。料金や連携できる機能は契約内容と時期によって異なるため、導入前に各公式サイトで確認してください。

💡 予算を抑えたい場合: まずは Google スプレッドシートで予約台帳を作り、Zapier の Free プランで動作を確認する方法があります。顧客情報の保管要件を確認したうえで、本格的な顧客管理システムへの移行を検討しましょう。

Zapierの料金とタスク数

以下は、Sakura確認時点の料金情報です。ドル円相場、請求条件、プラン内容は変更される可能性があります。

プラン月額費用の目安タスク数の目安想定用途
Free0 ドル100 タスク動作確認
Professional19.99 ドル〜750 タスク〜小規模施設
Team49 ドル〜2,000 タスク〜中規模施設
Company69 ドル〜20,000 タスク〜複数施設の管理

Professional は約 ¥3,000〜、Team は約 ¥7,400〜、Company は約 ¥10,400〜の目安です。実際の請求額は為替、税、契約期間などで変わります。

月 30 件の予約で、予約 1 件につき「メール検知」「台帳登録」の 2 タスクを使うなら、単純計算で月 60 タスクです。追加の整形や通知を含めると必要数は増えます。Free の月 100 タスクは、1 件 1 タスクの単純な構成なら予約 100 件までが上限の目安ですが、複数ステップでは予約 100 件を処理できません。

注意: Zapierのタスクは、フロー内のアクション実行数などに応じて消費されます。予約件数だけで判断せず、テストを含む実行履歴を確認してプランを選びましょう。

料金とタスク数を確認したら、実際の設定を 5 ステップで進めます。


具体的な設定手順

設定時間の目安は約 2 時間です。予約通知の形式や台帳の項目数によって変わります。

Zapierで予約情報の自動集約を設定する5ステップ
ステップ 1: Zapierアカウントとメールの設定

Zapierに登録し、予約通知を受信する Gmail または Outlook を連携します。

ステップ 2: 新しいZapとトリガーの設定

Gmailの新着メール検索を選び、予約通知だけを対象にします。

ステップ 3: メール本文から予約情報を抽出

Formatterの Text 機能で、氏名・宿泊日・人数・部屋タイプを抜き出します。

ステップ 4: 顧客台帳への登録設定

HubSpot、Zoho CRM、または Google スプレッドシートへ項目を割り当てます。

ステップ 5: テストと動作確認

テストメールを使い、登録内容とエラー通知を確認します。

ステップ 1: Zapierアカウントとメールの設定

Zapierの公式サイト(https://zapier.com/)でアカウントを作成します。Gmailを使う場合は、Google アカウントでログインできます。

アカウント作成後、予約通知を受信するメールを連携します。

  1. Zapierのダッシュボードで「設定」を開く
  2. 「接続済みアカウント」から Gmail を選ぶ
  3. 予約通知を受信するアカウントでログインする
  4. 表示された権限を確認し、許可する

💡 予約専用メールアドレス: 予約通知専用のメールアドレスを用意すると、対象メールを絞りやすくなります。通常の業務メールと分ける場合は、社内の管理者と権限や保存期間を決めてください。

ステップ 2: 新しいZapとトリガーの設定

Zapierのダッシュボードから「Create Zap」を開きます。

  1. アプリに Gmail を選ぶ
  2. 「New Email Matching Search」を選ぶ
  3. Gmail アカウントを接続する
  4. 送信元や件名などの検索条件を設定する

検索条件の例:

送信元アドレスは予約サイトの公式案内で確認してください。メールアドレスは変更される場合があります。

ステップ 3: メール本文から予約情報を抽出

Formatter の Text 機能を使い、メール本文から必要な項目を抽出します。

  1. 「+」ボタンで Formatter を追加する
  2. 「Text」を選ぶ
  3. 「Extract Pattern」を選ぶ
  4. メール形式に合わせてパターンを設定する
抽出する情報パターン例
氏名お名前[::] (.+)
チェックイン日チェックイン[::] (\d{4}/\d{1,2}/\d{1,2})
宿泊人数人数[::] (\d+)名
部屋タイプ部屋タイプ[::] (.+)

メール本文の表記がサイトごとに異なる場合は、サイトごとに Zap を分けると管理しやすくなります。

注意: 予約サイトがメール形式を変更すると、抽出パターンが合わなくなる場合があります。週 1 回を目安に実行履歴を確認し、エラー時の修正担当者を決めておきましょう。

ステップ 4: 顧客管理システムへの登録設定

抽出した情報を顧客管理システムまたは Google スプレッドシートへ登録します。

  1. 「+」ボタンでアクションを追加する
  2. 登録先を選ぶ
  3. 「Create Contact」または「Create Record」を選ぶ
  4. 各項目に抽出データを割り当てる
台帳の項目登録するデータ
氏名抽出した氏名
チェックイン日抽出した日付
宿泊人数抽出した人数
部屋タイプ抽出した部屋タイプ
予約サイト固定値または抽出値
予約番号抽出した予約番号

予約番号を保存すると、重複登録の確認に役立ちます。既存データとの照合方法は、使う顧客管理システムの機能を確認してください。

💡 表計算シートで始める場合: 1 行目に項目名を設定し、予約番号を必須列にすると確認しやすくなります。個人情報を扱うため、共有範囲と編集権限は必要な担当者に限定してください。

ステップ 5: テストと動作確認

設定後は、実際の予約に影響しないテストメールで確認します。

  1. Zapの画面で「Test」を選ぶ
  2. テスト用の予約メールを送信する
  3. 台帳へ正しく登録されるか確認する
  4. エラーがあれば内容を確認して修正する

確認する項目は次のとおりです。

失敗パターン: 「メールが見つからない」場合は、送信元や件名の条件が厳しすぎる可能性があります。テスト時だけ条件を緩め、対象メールが取得できるか確認してください。

設定が終わったら、次は小規模施設での使い方を具体的に確認します。


経営者・事業主がこの自動化をどう使うか

この仕組みは、予約情報を一つの台帳で確認したい旅館・ホテルに向いています。予約の受付や在庫調整そのものを自動化するものではありません。

具体的なシナリオ: 従業員 3 名の旅館

従業員 3 名の旅館が、じゃらん、楽天トラベル、自社サイトを使っているとします。経営者は、まず予約件数の多い 1 サイトを選び、通知メールから Google スプレッドシートへ登録する Zap を作成します。

導入前の例:

導入後の例:

導入前後の月間工数比較
導入前(手作業)
  • 予約サイトの確認: 月 22.5 時間
  • 顧客台帳への入力: 1 件 5 分 × 月 30 件 = 月 2.5 時間
  • 転記ミスの修正対応: 月 5 時間
  • 合計: 月 30 時間
導入後(Zapier自動化)
  • 通知の自動検知と登録: 月 30 件
  • スプレッドシートの確認: 1 日 1 回・5 分
  • 例外処理の確認: 月 2 件・各 10 分
  • 合計: 約 2.8 時間

約 27 時間削減の試算。実際の結果は運用条件で変わります。

フロント業務に時間を回す

転記作業が減ると、フロント担当者はチェックイン対応や問い合わせ対応に時間を回しやすくなります。ただし、自動登録されたデータを確認する手順は残してください。

自動化の目的は、入力作業をなくすことではなく、確認しやすい状態を作ることです。

顧客データを今後の接客に活用する

予約情報を蓄積すると、同意や利用目的の範囲内で、次のような接客に活用できます。

活用例内容確認事項
季節の案内過去の宿泊時期に合わせて案内配信への同意
好みの記録食事の希望やアレルギーを記録正確性と閲覧権限
記念日対応記念日に関する情報を記録利用目的の明示
再訪問への案内過去の利用者へ案内配信停止への対応

編集長の見解: 顧客台帳は、保存するだけでなく接客に活かすための基盤です。まずは予約番号、氏名、宿泊日など必要な項目に絞り、確認と更新が続けられる運用を作りましょう。

次は、導入後に起こりやすい問題と、事前に決めておきたい対策を確認します。


編集部の警告(失敗パターン)

自動化には、メール形式の変更や登録先の制限など、手作業とは異なる注意点があります。導入前に担当者と復旧方法を決めておきましょう。

失敗パターン 1: メール形式の変更で自動化が止まる

予約サイトのメール形式が変わると、抽出パターンが合わなくなる場合があります。

回避策:

失敗パターン 2: 顧客管理システムの連携制限

顧客管理システムによっては、Zapierとの連携機能や API の利用条件が異なります。APIは、サービス同士がデータをやり取りするための接続窓口です。

回避策:

失敗パターン 3: 個人情報の扱い

予約情報には、氏名、連絡先、宿泊日などが含まれます。Zapierを経由して送る場合は、個人情報保護法、予約サイトの規約、Zapierと登録先の契約条件を確認してください。法令への対応は、施設の規模や取り扱う情報によって異なるため、必要に応じて専門家へ相談します。

回避策:

重要な注意点: クレジットカード情報やパスポート番号など、予約台帳に不要な情報は転送しないでください。個人情報の取り扱いは、最新の法令、各サービスの規約、契約内容を確認して判断しましょう。

失敗パターン 4: 最初から複数サイトを自動化する

複数サイトを同時に設定すると、エラーの原因を特定しにくくなります。

回避策:


導入ステップと費用の目安

導入期間は 1〜2 週間を目安にします。担当者の確認時間や予約メールの形式によって前後します。

導入までのタイムライン(1〜2週間)
1日目: 現状分析

予約サイト、予約件数、入力時間、現在の台帳を確認します。

2〜3日目: ツール選定

Zapierのプランと、顧客管理システムまたはスプレッドシートを選びます。

4〜5日目: Zapierの設定

通知メール、抽出、登録の設定を行います。

6日目: テスト運用

テストメールで登録内容とエラー通知を確認します。

7〜14日目: 本番運用と調整

1 つの予約サイトで運用し、問題がなければ対象を追加します。

費用の目安

項目費用の目安
Zapier Free¥0(月 100 タスク)
Zapier Professional約 ¥3,000〜(月 750 タスク〜)
Google スプレッドシート¥0(Google アカウントがある場合)
HubSpot 無料プラン¥0
Zoho CRM約 ¥2,000〜
Salesforce約 ¥3,000〜

料金は為替、税、契約期間、プラン変更により変わります。Salesforceは機能が豊富な一方、施設の規模によっては設定や運用の負担が大きくなる可能性があります。

💡 初期費用を抑える方法: 予約件数が月 30 件で、1 件あたりの処理が 2 タスク程度なら、Free の 100 タスクに収まる可能性があります。追加処理やテストで消費するため、実行履歴を確認してから有料プランを判断しましょう。

顧客管理システムの選定ポイント

システム月額費用の目安Zapier連携向いている施設
HubSpot無料〜連携可まず顧客情報を管理したい施設
Zoho CRM約 ¥2,000〜連携可低コストで機能を増やしたい施設
Salesforce約 ¥3,000〜連携可複数担当者で管理する施設
Google スプレッドシート無料連携可小規模に試したい施設

連携可否や料金は変更される場合があります。契約前に、Zapierと各サービスの公式情報を確認してください。

費用と導入期間を把握できたら、最後に運用中の疑問を確認します。


よくある質問(FAQ)

Q1: 予約サイトがメール通知に対応していない場合は?

まず、予約サイトの施設向け管理画面や公式サポートで、通知機能と連携方法を確認してください。

APIを使う方法もありますが、APIは技術知識や利用申請が必要な場合があります。管理画面を自動取得する方法は、利用規約に抵触する可能性があるため、許可を得ずに行わないでください。

Q2: 顧客管理システムがZapierと連携していない場合は?

Webhooksで API にデータを送れる場合があります。ただし、接続先の仕様確認や設定が必要です。

小規模施設では、Google スプレッドシートを一時的な台帳として使い、手動で顧客管理システムへ移す方法もあります。移行時は重複や権限を確認してください。

Q3: 個人情報の取り扱いで注意すべきことは?

次の項目を確認してください。

Q4: 自動化が止まった場合の検知方法は?

Zapierの実行履歴とエラーログを週 1 回確認します。エラー通知を設定し、担当者が対応できる体制も作ってください。

予約件数が多い施設では、台帳の登録件数と予約サイトの件数を定期的に照合すると、登録漏れに気づきやすくなります。

Q5: Zapierの無料プランで足りますか?

Free は月 100 タスクです。1 件 1 タスクの単純な構成なら、月 100 件までが上限の目安になります。

一方、メール検知、情報抽出、台帳登録、通知など複数の処理を行うと、予約 1 件あたりのタスク数が増えます。月 30 件の予約でも、構成によっては 100 タスクを超えるため、実行履歴で確認してください。


出典・参考情報


Mira / AI経営ラボ 編集長

本記事は、中小企業・個人事業主の経営者を対象に、予約情報の自動集約による業務効率化を解説したものです。記載の料金や機能は変更される場合があります。導入前に各公式サイトで最新情報と利用条件を確認してください。