業務自動化

HubSpot商談→スプレッドシート集計 Make.com 営業レポート自動化レシピ

BtoB営業・SaaS・士業・制作・コンサル (中小企業/個人事業主の営業チーム) の業務自動化レシピ
業種BtoB営業・SaaS・士業・制作・コンサル (中小企業/個人事業主の営業チーム)
ツールMake.com
難易度★★☆ 中
設定時間約 60 分

「今週の商談は何件動いた?」と聞かれるたびに HubSpot を開いて手で数えていませんか。本記事は、HubSpot の商談(ディール)が動くたびに Make.com が検知し、Google スプレッドシートへ自動転記して日次・週次の営業レポートまで自動集計する設計レシピを、編集部の試算と集計ズレ対策とともに整理した記事です。

読了時間 約9分 / 設定所要時間 約60分 / 月額固定費 ¥1,400 から (HubSpot 無料プラン併用可)

編集長の見解 ── 中小企業の営業現場で最も時間を奪われている定型作業は、商談そのものではなく「数字をかき集めてレポートにまとめる作業」だと編集部は考えています。HubSpot に商談データは入っているのに、集計・可視化は毎回手作業という現場が少なくありません。Make.com を間に挟んで「変化を検知したら転記する」設計にすれば、営業担当は入力するだけでレポートが勝手に育っていきます。本レシピが重視するのは、転記の正確さと 集計がズレない仕組み です。

なぜHubSpot→スプレッドシート自動集計で月4時間が浮くのか

中小企業の営業マネージャーが、商談レポート作成にどれだけ時間を使っているかを分解してみます。編集部が BtoB 営業・士業・制作の小規模チームにヒアリングしてまとめた「典型的な手作業フロー」は次のとおりです。

工程月あたり所要(営業マネージャー1名)内容
HubSpot から商談明細を書き出す約60分商談一覧をコピー、またはCSVエクスポート
スプレッドシートへ手で転記約50分会社名・金額・ステージ・担当を貼り付け・整形
流入元別・担当別に手集計約70分ピボットテーブルや電卓での件数カウント
週次レポートを整えて共有約40分フォーマット調整、上長・チームへ送付
合計約220分 (≈3.7時間)

Make.com で自動転記・自動集計を組むと、1〜3 の工程はほぼ全自動化され、4 の共有作業も「集計済みシートを見せるだけ」に圧縮できます。担当者は転記や電卓作業ではなく「数字をどう解釈し、次にどう動くか」の議論に時間を使えるようになり、編集部試算で 月 約4時間の圧縮 に相当します。

時給¥3,000 換算で月¥12,000、レポート作成の重複作業を含めれば月¥50,000 規模の間接コストが、月¥1,400 (Make.com Core) に置き換わる計算です。レポートの鮮度が上がることで、経営判断の遅れが減ることも金額に表れない効果です。

続いて、編集部が実装した全体像を ProcessFlow で示します。

完成形のフロー (ProcessFlow)

Make.com×HubSpot×スプレッドシート 営業レポート自動集計レシピ
🤝
01
HubSpot で商談が動く
新規作成・ステージ変更・受注(クローズ)など、商談(ディール)の状態が変化
📡
02
Make.com が変化を検知
Watch Deals でディールの作成・更新をトリガーとして受け取る
📝
03
明細シートへ自動転記
会社名・金額・ステージ・担当者・登録日を明細シートへ1行追加
04
スケジュールで集計を起動
毎朝と毎週月曜にシナリオを起動し、明細シートの範囲を集計
📊
05
日次・週次サマリー更新
集計シートの件数・金額・流入元別内訳を自動で書き換え

HubSpot の商談(ディール)が動いたら Make.com が変化を検知し、明細シートへ転記したうえで日次・週次の集計シートを自動更新する自動化設計

このフローの肝は、ステップ 03 の転記精度とステップ 05 の集計設計です。転記漏れや重複が起きると、集計シートの数字がそのまま信頼できなくなります。後述する対策で「正確に積み上がる仕組み」を作ることが、レポートを社内で使い続けられるかの分かれ目になります。

次に、ゼロから稼働までの具体的な手順を時系列で示します。

設定手順 (TimelineSteps)

Make.com×HubSpot×スプレッドシート 0→稼働まで
0:00 - 0:10
HubSpot 側の準備
HubSpot CRM で無料アカウントを作成(既存なら不要)。商談(ディール)パイプラインのプロパティを確認し、集計に使う「流入元」「担当者」「金額」「ステージ」が入力欄として揃っているかチェックします。Make.com 連携には HubSpot のアプリ接続を使うため、管理者権限のあるアカウントで操作します。
0:10 - 0:18
Google スプレッドシートに「明細」と「集計」の2シート作成
Google ドライブで新規スプレッドシートを作成し、シートを2つ用意します。明細シートの1行目に「登録日・会社名・金額・ステージ・担当者・HubSpotリンク」の見出しを入れ、集計シートには COUNTIFS / SUMIFS 関数で日次・週次・流入元別の集計欄を作ります。集計は関数側に任せ、Make.com は「明細を積む」役割に絞ると設計がシンプルになります。
0:18 - 0:28
Make.com アカウント開設と接続
make.com で Core プラン (月$9、1万クレジット、約¥1,400) に登録。Connections に HubSpot と Google Sheets を追加し、それぞれ OAuth 認証で接続します。Make.com は 2025 年以降「オペレーション」を「クレジット」に呼称変更しており、非 AI モジュールは 1 op = 1 クレジットの 1:1 換算です。
0:28 - 0:42
シナリオA — 商談変化を明細シートへ転記
Trigger: HubSpot「Watch Deals」(ディールの作成・更新を監視) → 「Filter」で dealstage が変化した場合のみに絞り込み → Google Sheets「Add a Row」で明細シートへ会社名・金額・ステージ・担当者・登録日を追加。最初はテスト用のディールを1件動かして必ず動作検証します。
0:42 - 0:52
シナリオB — 日次・週次サマリーの自動更新
Trigger: Make.com のスケジュール機能で毎朝8時と毎週月曜9時に起動 → Google Sheets「Get a Range of Cells」で明細シートの件数を取得 → 「Update a Cell」で集計シートの日次・週次欄を更新。集計自体はスプレッドシート関数が担うため、シナリオ側は「更新をトリガーする」役割に絞ると安定します。
0:52 - 1:00
重複排除フィルタとテスト運用
同一ディールが複数回更新されて二重転記されないよう、Filter に「前回の担当ステージと異なる場合のみ実行」の条件を追加します。7日間は毎日 Make.com の実行履歴をチェックし、明細シートの件数と HubSpot 側の実際の件数が一致するか確認してください。

営業マネージャーまたは個人事業主が独力で組める60分手順 (PC操作のみ、コード不要)

ここまでで基本の自動転記・自動集計は稼働します。次に、運用で最もつまずきやすい「集計ズレ」について、編集部が現場で見てきた失敗パターンを共有します。

集計ズレの失敗パターンと対策

失敗パターン①: メモ更新でも転記されて件数が水増しされる ── 「Watch Deals」はディールの軽微な更新(メモ追記など)でも発火することがあります。ステージが変わったときだけを拾うには、Filter で「前回取得時のステージと今回が異なる」条件を明示し、ノイズを除外します。

失敗パターン②: スプレッドシートの集計関数が行追加でずれる ── Make.com が行を追加するたびに、集計シートの参照範囲が固定 (例: A2:A200) だと、範囲外の行が集計から漏れます。集計の関数は A:A のように列全体を参照する形にするか、十分に広い範囲を指定しておくと、行が増えても自動で取り込まれます。

失敗パターン③: Make.com のクレジット枠超過で自動化が静かに止まる ── 商談件数が急増すると、Make.com の月間クレジット上限を超えてシナリオが停止し、レポートが更新されなくなることがあります。月間ディール件数 × 実行回数がプラン上限を超えないか事前に試算し、超えそうな場合は上位プランへの切り替えを検討してください。Make.com はクレジット残量をダッシュボードで確認できます。

集計は「自動で動いていること」自体を定期的に目視確認しないと、止まっていることに誰も気づけません。最初はシナリオの実行ログを毎日確認し、安定運用が見えたら週1回のチェックに減らすのが現実的です。

次に、自動集計の活用イメージを具体的なシナリオで示します。

中小企業での活用シナリオ

例えば、従業員6名の士業事務所を想定します。これまでは月末に所長が HubSpot を開き、案件のステータスを1件ずつ確認しながら手作業でスプレッドシートに転記し、月次会議用のレポートを作っていました。この作業だけで半日近くかかり、レポートが完成する頃には数字が既に古くなっていることもありました。

本レシピを導入すると、案件のステージが動いた時点で明細シートに自動で1行積み上がり、毎週月曜には流入元別・担当別の件数が集計シートに反映されます。所長は月次会議の直前にスプレッドシートを開くだけで、常に最新の数字を確認できるようになります。転記する人・集計する人が不要になり、「数字を見て今月の営業方針を決める」ことに時間を使えるようになったことが、最大の効果です。

導入前導入後
月末に半日かけて手作業で転記・集計商談が動くたびに自動で明細が積み上がる
レポート完成時には数字が古い常に当日・前週まで反映された数字を確認できる
所長1人にレポート作成が属人化誰が見ても同じ最新データにアクセスできる

このように、自動集計は「月末に慌てて数える営業管理」から「常に数字が見える営業管理」へチームの動き方を変えます。最後に、規約・運用面で気をつけるべき点を整理しておきます。

必要なツールと月額コスト

月額コスト比較 (1名利用時)
HubSpot CRM (Free)
¥0
連絡先1,000件まで無料
Google スプレッドシート
¥0
個人 Google アカウントで無料
Make.com (Core)
¥1,400
$9 をレートで概算
ツールプラン月額 (1名)役割
Make.comCore約¥1,400 ($9)自動化エンジン
HubSpot CRMFree¥0商談台帳 / 顧客管理
Google スプレッドシート無料 (個人 Google アカウント)¥0明細・集計レポート
合計約 ¥1,400 / 月

編集部の補足: Make.com の料金は変動する ── Make.com は米ドル建てで $9 / 月 (Core プラン、年払い時)。為替により円換算額が変動します。本記事では 1 ドル = ¥156 程度を仮定し約¥1,400 と表記していますが、購入時の最新レートを Make.com 公式サイトで確認してください。

規約・運用上の注意

HubSpot 無料プランの制限を理解する

HubSpot の CRM は無料で商談(ディール)管理ができますが、レポートや自動化(ワークフロー)など一部機能は有料プランに含まれます。本レシピの「集計の自動化」は Make.com と Google スプレッドシート側で担うため無料プランでも組めますが、HubSpot のネイティブレポート機能と役割が重ならないよう、どちらで何を担当するかを決めておくと運用が混乱しません。最新の料金と機能区分は HubSpot 公式の料金ページで確認してください。

Google スプレッドシートの共有範囲

集計シートには商談金額や担当者名など機密情報が含まれます。共有範囲は必要なメンバーに限定し、リンクを知っている全員に編集権限を与える設定は避けてください。Google ドライブの共有設定で「特定のユーザーのみ」に絞るのが安全です。

Make.com のトークン管理とセキュリティ

Make.com は通信を TLS で暗号化し、接続情報は暗号化保存されます。とはいえ商談情報は取引先名・金額という機密データを扱うため、(1) HubSpot・Google スプレッドシートの接続は最小権限で作成、(2) 担当者の異動・退職時は接続を再認証、(3) Make.com の組織アカウントに2段階認証を設定、の基本運用は徹底してください。

各サービスの利用規約

HubSpot・Google・Make.com はいずれも商用利用が可能ですが、それぞれの利用規約で連携・利用条件が定められています。API のレート制限や禁止用途は導入前に各社の規約で確認し、無理のない範囲で運用してください。

よくある質問

Q1. Zapier ではなく Make.com を選ぶ理由は? Make.com は クレジットあたりの単価が安く、Router での条件分岐(重複排除フィルタなど)の自由度が高い という強みがあります。Zapier は1ステップ1タスク課金のため、条件分岐の多い集計設計ではコストが膨らみがちです。シンプルな1対1転記なら Zapier も選択肢ですが、フィルタや集計を作り込むなら Make.com が向きます。

Q2. HubSpot の標準レポート機能では代用できないの? HubSpot 有料プランのレポート機能でも集計は可能です。ただし社内独自のフォーマットや、他ツールとの連携拡張を考えると、Make.com を間に挟む方が後の拡張に強くなります。無料プランで始めたい場合も Make.com 経由が現実的です。

Q3. 転記件数が増えて集計が重くなったらどうすればいい? まず明細シートを月別・四半期別にシート分割し、集計関数の参照範囲を絞ります。それでも重い場合は、Google スプレッドシートから BigQuery などのデータベースへ移行する選択肢も出てきますが、中小企業の商談規模であれば当面はスプレッドシートで十分対応できます。

Q4. 商談件数が増えたら設計はどう変わりますか? 件数が増えると、(1) Make.com を Pro プラン以上に切り替え、(2) フィルタをチーム・パイプライン別に細分化、(3) 集計結果を Slack や BI ツールへも自動連携、の3点が現実的になります。まずは小さく始めて、運用が定着してから連携先を広げるのが安全です。

出典・参考情報

関連レシピ

本レシピは Make.com の無料プランでも組めます。まずは実際に触って、HubSpot とスプレッドシートのつなぎ込みを体験してみてください。

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Mira / AI経営ラボ 編集長

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