業務自動化

北海道の旅館・ホテルの食材発注を自動化!Zapierで宿泊数に応じた発注書を自動作成するレシピ

宿泊業 の業務自動化レシピ
業種宿泊業
ツールZapier
難易度★★☆ 中
設定時間約 45 分

北海道の旅館・ホテルでは、予約数の変動に合わせた食材発注が毎日の負担になりがちです。ZapierとGoogleスプレッドシートを連携し、宿泊人数の集計から発注書の作成までを効率化する方法を紹介します。中小規模の施設でも始めやすい手順と費用、確認すべき注意点をまとめました。

読了時間: 約12分 / 難易度: 中級 / 対象: 北海道の旅館・ホテルの経営者・支配人・仕入れ担当者

編集長の見解: 発注自動化は、食材費を機械的に削る仕組みではありません。予約数を基準に発注量を計算し、担当者が最終確認できる状態を作る取り組みです。既存の予約システムと表計算ソフトを活用できれば、大規模なシステム投資を避けながら始められます。

北海道の旅館・ホテルにおける食材発注の課題

北海道の旅館・ホテルは、夏の観光シーズンや冬のスキーシーズンに、宿泊数が大きく変動します。予約数に合わせて食材を発注するには、担当者の経験と手作業による集計が必要です。

特に地方の宿泊施設では、仕入れ先が限られる場合があります。必要な量を確保しながら、余分な在庫を抱えない調整が求められます。

発注量が多すぎると、廃棄ロスが増えます。少なすぎると、提供メニューの変更や追加仕入れが必要になります。

さらに、調理スタッフや接客スタッフが発注を兼務する施設も少なくありません。毎日発生する発注業務は、予約数や天候によって内容が変わるため、単純な定型作業にしにくい点も課題です。

そこで、宿泊予約データを発注量の計算に活用します。Zapierを使えば、予約情報をGoogleスプレッドシートへ送り、発注書の作成までを効率化できます。

編集部メモ: 自動化の対象は、まず発注書の下書き作成に絞ると安全です。仕入れ先への送信まで自動化する場合は、誤送信を防ぐ確認工程を残してください。

次のセクションでは、宿泊数を基準に発注量を考える理由を整理します。

宿泊数に応じた発注が重要な理由

宿泊数に応じた食材発注は、食材費だけでなく食品ロスやサービス品質にも関係します。夕食と朝食が付くプランでは、宿泊人数と食材使用量に一定の関係が生まれます。

例えば、1泊2食付きプランが中心の旅館では、魚介類や肉類、乳製品、卵などの使用量が宿泊人数に応じて変わります。食材ごとの「1人あたり使用量」を記録しておけば、発注量の基準を作れます。

一方で、直前のキャンセルや追加予約には注意が必要です。週末は満室でも、平日は宿泊数が半分以下になることがあります。

基本的な計算式は次の通りです。

注意: この計算は発注の基準値です。季節、イベント、天候、料理内容によって必要量は変わります。自動作成された発注書は、担当者が確認してから送信してください。

発注量の計算を表計算に任せることで、毎日の集計や転記の負担を減らせます。次は、Zapierを使うメリットと費用を確認します。

Zapierを活用するメリットと費用

Zapierは、異なるWebサービスをつないで業務を自動化するサービスです。プログラミングを使わず、きっかけとなる「トリガー」と、その後の処理を設定します。

北海道の中小規模の旅館・ホテルでは、次のような使い方が考えられます。

既存の予約システムやGoogleスプレッドシートを使えば、新しい専用システムを開発せずに始められます。ただし、予約システムがZapierに対応しているか、事前の確認が必要です。

料金の目安

Zapierの料金や機能は変更される可能性があります。契約前に公式サイトで最新情報を確認してください。

プラン費用の目安向いている使い方編集部の評価
無料¥0 / 月少ない件数で基本動作を試す小規模な検証向け
有料プラン月額 $19.99〜の例複数ステップや条件分岐を使う運用範囲に応じて検討

無料プランで利用できるタスク数やステップ数は、契約時期やプランによって異なります。1日1回程度の発注書作成でも、予約データの件数や処理内容によって消費量が変わるため、利用状況を確認してください。

有料プランを使う場合も、月額 ¥100,000 以下の範囲で導入できるケースがあります。為替レートや契約条件によって円換算額が変わるため、予算には余裕を持たせましょう。

始め方のヒント: 最初は発注書の下書き作成だけを自動化し、1〜2週間、手作業の結果と照合します。計算が安定した後に、通知や仕入れ先ごとの振り分けを追加すると、導入時の混乱を抑えられます。

次のセクションでは、導入効果を小規模な旅館の例で試算します。

編集部による導入効果の試算

ここでは、客室数30室の北海道の旅館を想定します。以下は編集部による試算であり、実際の効果は施設の規模や業務手順によって変わります。

試算の前提条件

項目導入前導入後削減効果
発注書作成時間1日45分、月約22時間1日10分、月約5時間月約17時間
発注ミスによる損失月平均2回、約 ¥16,000月平均0.5回、約 ¥4,000月約 ¥12,000
仕入れ先との連絡時間1日15分、月約7時間1日5分、月約2時間月約5時間

この試算では、月約22時間の業務時間を減らせる計算です。時給 ¥1,200 で換算すると、人件費相当額は月約 ¥26,400 になります。

年間では、単純計算で約 ¥316,800 です。ただし、これは作業時間と食品ロスが同じ割合で減ると仮定した試算であり、効果を保証するものではありません。

注意: 予約システムがZapierと連携できない場合は、メールやGoogleスプレッドシートを経由する追加作業が必要です。導入後の最初の1週間は、発注書と実際の必要量を毎日照合してください。

試算値を自施設に当てはめるには、現在の発注時間、ミスによる損失、Zapierの利用料金を記録することから始めます。次は、導入前に用意するツールとデータを確認します。

必要なツールと準備

食材発注の自動化には、次のツールと準備が必要です。

Zapierのアカウント設定

Zapierのアカウントは、公式サイトで作成できます。メールアドレスなどを使って登録し、利用するプランを選びます。

無料プランで使えるタスク数やステップ数は、時期によって変わる場合があります。発注業務では、予約データの取得、計算、行の追加、通知など、処理数が増えるほどタスクを消費します。

条件分岐や複数の通知を使う場合は、有料プランが必要になることがあります。契約前に、必要な機能と月額費用を確認してください。

宿泊予約システムとの連携方法

宿泊予約システムとの連携方法は、サービスによって異なります。主な方法は次の3つです。

  1. 直接連携: Zapierの連携アプリとして提供されているサービスを接続する
  2. Webhook経由: 予約情報をZapierへ送信する
  3. メール経由: 予約確認メールから必要な情報を取り込む

サービス名や連携可否は変更される可能性があります。特定の予約サービスが対応していると断定せず、Zapierのアプリ一覧と各サービスの公式情報を確認してください。

予約サイトから届くメールを使う場合は、件名や本文の形式が変わると処理が止まることがあります。重要な予約情報を扱うため、個人情報の取り扱いとアクセス権限も確認しましょう。

食材在庫管理表の準備

発注量を計算するには、食材ごとの在庫状況を管理する表が必要です。最初は主要な10〜20品目に絞り、Googleスプレッドシートで作成します。

項目内容入力例
食材名管理する食材の名称真鱈
単位kg、g、個、パックなどkg
現在庫現在の在庫量12kg
安全在庫欠品を避けるための予備量3kg
1人あたり使用量宿泊者1人分の基準量120g
発注先と納期納品までの日数と仕入れ先道内青果、1日

この表をZapierから参照し、発注量を計算します。納品後に在庫を更新する場合は、更新処理を別の自動化として作成すると管理しやすくなります。

ポイント: 最初から全食材を管理する必要はありません。毎日発注する魚介類、野菜、肉類から始め、運用が安定してから調味料や缶詰を追加します。

準備が整ったら、発注書の下書きを作る自動化を設定します。

Zapierの設定手順

ここでは、宿泊予約データを取得し、Googleスプレッドシートに発注書の行を追加する例を紹介します。予約システムによって画面名や利用できる機能は異なるため、表示内容は公式ヘルプも確認してください。

重要: いきなり仕入れ先へ自動送信せず、まずはGoogleスプレッドシートへの下書き作成までにします。計算と在庫の反映を確認してから、通知や送信を追加してください。

食材発注の自動化を設定する手順

宿泊予約データの入口を決める

Zapierで新しい自動化を作成し、予約システムの直接連携、Webhook、メールのいずれかを選びます。テストデータで宿泊人数、チェックイン日、プラン名を取得できるか確認します。

宿泊人数と食材情報を整理する

Googleスプレッドシートに、宿泊人数、食材名、1人あたり使用量、現在庫、安全在庫、発注先を用意します。入力単位はgやkgなどに統一します。

発注量を計算する

Formatter by ZapierのMathなどを使い、必要量と発注量を計算します。計算結果がマイナスになる場合は、発注量を0にする処理も設定します。

発注書の下書きを作る

Google Sheetsの行追加機能で、発注日、納品希望日、食材名、数量、単位、発注先を記録します。最初は自動送信せず、担当者が内容を確認します。

テスト後に通知を追加する

1週間程度、予約データと発注量を照合します。問題がなければ、支配人や調理責任者へのメール通知を追加します。

宿泊予約データのトリガー設定

直接連携できる場合は、Zapierで次の項目を設定します。

  1. Zapierにログインし、「Create Zap」を選択する
  2. 予約システムをトリガーアプリに指定する
  3. 新規予約や予約更新など、利用するイベントを選ぶ
  4. 予約システムのアカウントを接続する
  5. テストデータを取得し、内容を確認する

予約データでは、次の項目を確認します。

予約更新で同じ予約が複数回取り込まれる場合は、予約番号を重複判定に使います。確定済みの予約だけを処理する条件も有効です。

発注量の計算と発注書の作成

予約情報を取得したら、Formatter by ZapierのMathなどで計算します。

食材ごとの基本計算は次の通りです。

実際の使用量は、料理内容や施設の盛り付け量によって異なります。自施設の実績を基に数値を設定してください。

Googleスプレッドシートには、次の列を用意します。

数量から現在庫を引き、安全在庫を加える場合は、次の式を使います。

発注量 = 必要量 − 現在庫 + 安全在庫量

発注量が0未満になる場合は、0として扱います。仕入れ単位が箱やパックの場合は、切り上げ処理も必要です。

条件分岐による発注量の調整

宿泊人数に応じて発注量を変える場合は、FilterやPathsなどの機能を使います。

例えば、次のような条件を設定できます。

条件分岐機能の利用条件は、Zapierのプランによって異なります。契約前に公式の料金表を確認してください。

発注書のフォーマット整備

Googleスプレッドシートの発注書には、次の項目を用意します。

発注日納品希望日食材名数量単位単価金額
2026/06/202026/06/21真鱈15kg¥1,200¥18,000
2026/06/202026/06/21帆立10kg¥2,500¥25,000
2026/06/202026/06/21玉ねぎ8kg¥300¥2,400

発注番号、予約番号、確認者も加えると、後から履歴を追いやすくなります。発注状況は「下書き」「確認済み」「送信済み」などに分けます。

次のセクションでは、実際の運用で担当者がどのように確認するかを見ていきます。

実際の運用イメージ

旭川市の温泉旅館を想定した例

客室25室の温泉旅館で、朝の発注業務を自動化する例です。経営者は、支配人が確認しやすい仕組みを作り、仕入れ先への送信は確認後に行います。

朝の発注業務の流れ

予約データを取得

午前8時に前日分の予約情報を取り込みます。

必要量を計算

宿泊人数と食材別の使用量を基に計算します。

発注書を作成

Googleスプレッドシートに下書きを記録します。

担当者が確認

支配人や調理責任者が、天候や献立を確認します。

仕入れ先へ送信

確認後、メールやFAXなどで発注します。

予約データの取得から確認通知までを自動化します。

導入前に45分かかっていた作業を、導入後は発注書の確認を含めて10〜15分に抑えることを目指します。実際の時間は、予約件数や仕入れ先の数によって変わります。

発注書の自動生成例

2026年6月20日発注、6月21日納品

宿泊予約: 38人、1泊2食付きプラン

食材名1人あたり使用量必要量現在庫発注量単位仕入れ先
真鱈(切り身)120g4,560g1,200g3,500gg道内水産店
帆立(貝柱)80g3,040g800g2,300gg道内水産店
玉ねぎ100g3,800g1,500g2,300gg道内青果店
じゃがいも150g5,700g2,000g3,700gg道内青果店
にんじん50g1,900g800g1,100gg道内青果店
米(北海道産)100g3,800g1,000g2,800gg地域の米穀店

食材名や仕入れ先は例です。実際の発注では、自施設の献立、仕入れ単位、納品条件に合わせて変更してください。

在庫管理との連携

在庫管理と連携すると、発注量を次のように計算できます。

納品時に在庫を加算し、食事提供後に使用量を減算する処理も作れます。ただし、在庫の実数と表の数値がずれることがあるため、定期的な実地確認が必要です。

スタッフへの通知

発注書の作成後は、担当者ごとに必要な通知だけを送ります。

メールやSlackなど、施設で使っている連絡手段を選びます。宿泊者の氏名や食事対応などの情報を含める場合は、閲覧権限を限定してください。

運用の工夫: 仕入れ先ごとに発注書を分ける場合は、食材カテゴリで振り分けます。魚介類、野菜、肉類を別々に出力すると、仕入れ先が確認しやすくなります。

次は、連携エラーや重複発注を防ぐための確認項目です。

導入時の注意点

予約システムとの連携エラー

主な問題と対処法は次の通りです。

予約データの取得漏れ

予約システムの停止やメール形式の変更により、データを取得できない場合があります。Zapierの実行履歴を確認し、エラー時に手動で発注する手順を用意します。

項目名の不一致

予約システムとZapierで項目名が異なると、宿泊人数や日付が正しく取り込まれません。テストデータを使い、重要な項目を一つずつ確認してください。

重複した発注書

予約の更新で同じ予約が複数回処理される場合があります。予約番号を記録し、確定済みの予約だけを処理する条件を設定します。

発注書の形式を統一する

発注書には、次の項目をそろえます。

日付や数量の単位を統一すると、仕入れ先との確認がしやすくなります。金額は円表記に統一し、契約価格と一致しているか確認してください。

定期的なメンテナンス

自動化は、設定後も定期的な確認が必要です。

頻度確認内容担当者
毎日実行履歴と発注書のエラー仕入れ担当者
毎週発注量と実際の使用量の差調理責任者
毎月在庫表と単価表の更新支配人
季節の変わり目献立と計算式の見直し経営者・調理責任者

注意: 自動化は確認作業をなくすものではありません。予約システムやZapierに障害が起きても発注漏れを防げるよう、毎日の確認と手動発注の手順を残してください。

確認体制を決めたら、無料プランで小さく試し、実際の運用に合うかを判断します。

よくある質問

Zapierの無料プランで食材発注を自動化できますか?

基本的な発注書の下書き作成は、無料プランで試せる場合があります。ただし、利用できるタスク数やステップ数、条件分岐の可否はプランと契約時期によって異なります。

1日1回の処理でも、予約件数や計算、通知の数によって消費量が変わります。契約前に公式の料金表と利用上限を確認してください。

宿泊予約システムがZapierに対応していない場合はどうしますか?

次の方法を検討できます。

  1. メール経由: 予約確認メールを取り込む
  2. Googleスプレッドシート経由: 予約データを表に保存する
  3. Webhook経由: 予約システムから予約情報を送信する

メール形式が変わると処理が止まる可能性があるため、定期的にテストします。予約情報には個人情報が含まれる場合があるため、権限設定も確認してください。

発注量の計算式はどう設定しますか?

基本式は次の通りです。

発注量 = (宿泊人数 × 1人あたり使用量)− 現在庫 + 安全在庫量

食材ごとの使用量は、実際の献立と提供量を基に設定します。発注量が0未満の場合は0にし、箱やパック単位では必要な数量に切り上げます。

複数の仕入れ先へ発注書を送信できますか?

可能です。食材カテゴリや仕入れ先を条件にし、仕入れ先ごとに発注書を分けます。

ただし、最初から自動送信すると誤発注のリスクがあります。まずは発注書の下書きと担当者への通知までにし、確認後の送信をおすすめします。

食材の単価が変わった場合はどうしますか?

Googleスプレッドシートの単価表を更新します。金額の計算式が正しく設定されていれば、次回の発注書に新しい単価が反映されます。

更新後は、発注書の金額と仕入れ先の契約価格が一致するか確認してください。

導入後に発注量が適切でない場合はどうしますか?

次の項目を見直します。

設定変更後は、数日間、手作業の計算結果と照合してください。

まとめ

北海道の旅館・ホテルでは、ZapierとGoogleスプレッドシートを使い、宿泊人数に応じた発注書の作成を効率化できます。専用システムを新たに開発しなくても、既存の予約データと表計算ソフトを活用して始められます。

期待できる効果は次の通りです。

まずは主要な10〜20品目を対象にし、発注書の下書き作成から試してください。無料プランや月額費用を確認し、予約システムとの連携可否を確かめたうえで始めると安心です。

宿泊予約データには、個人情報や食事対応に関する情報が含まれる場合があります。アクセス権限を限定し、仕入れ先へ送る情報を必要最小限にしてください。

売上データとの連携や廃棄ロスの記録などは、基本運用が安定してから追加します。自動化した後も、毎日の発注確認と手動発注の手順は残してください。

編集長の見解: 中小規模の旅館・ホテルでは、大規模なシステム導入よりも、発注書の下書き作成のような小さな改善から始める方が運用しやすい場合があります。Zapierを使う場合も、計算、確認、送信の役割を分けることが重要です。自施設の予約数と発注時間を記録し、無理のない範囲で改善を進めてください。

Mira / AI経営ラボ 編集長