業務自動化

介護施設の見学予約をZapierで自動管理 — 予約情報を施設スタッフへ自動通知し、リマインドも自動化するレシピ

介護・福祉 の業務自動化レシピ
業種介護・福祉
ツールZapier
難易度★☆☆ 易
設定時間約 30 分

介護施設の見学予約をZapierで自動管理

介護施設の見学予約は、電話対応、紙や表計算ソフトへの転記、前日の連絡など、細かな作業が重なります。本記事では、GoogleフォームとZapierを使い、スタッフ通知、共有カレンダーへの登録、前日リマインドを約30分で設定する方法を紹介します。ITに不慣れなスタッフでも運用しやすい構成です。

読了時間: 約 12 分

この記事のポイント

編集長の見解
介護施設では、見学予約の受付や前日の連絡が、入居者対応と並行して発生します。定型作業を仕組みに任せると、スタッフの確認負担を抑えやすくなります。本記事では、無料プランから試せる範囲を示し、施設の規模に合わせて無理なく導入できる方法を編集部が整理しました。


介護施設の見学予約管理で起きがちな3つの問題

見学予約の管理は、受付後にも複数の作業が発生します。編集部が2026年5月〜7月に5施設へ行った訪問・オンラインヒアリングで確認した課題を、3つに整理します。

問題1: 電話予約の情報を紙や表計算ソフトへ転記する手間

見学予約を電話で受ける施設では、氏名、連絡先、希望日時、人数、要望などを記録します。受話器を置いた後、メモを台帳へ転記する作業も必要です。

この作業には、次のリスクがあります。

電話対応そのものは残っても、その後の転記は自動化の対象にできます。

問題2: スタッフ間の情報共有不足による対応漏れ

予約情報を紙の台帳や個人のファイルで管理すると、共有カレンダーへの反映が遅れます。次のような事態につながる可能性があります。

施設全体で予約状況を共有できる状態が、対応漏れを減らす土台になります。

問題3: リマインドを忘れて無断キャンセルにつながる

見学予約の連絡は、実施前日に行う運用が一般的です。しかし、繁忙期や担当者の休みには、連絡が後回しになることがあります。

リマインド漏れは、次の影響につながる可能性があります。

担当者の記憶だけに頼らず、決まった手順で連絡する仕組みが必要です。

失敗しがちなパターン
「前日に電話する」というルールだけでは、担当者の休みや繁忙期に漏れが起きます。自動化では、人の注意力だけに頼らず、予約情報と連絡日を仕組みに登録することが重要です。

次は、これらの課題をZapierで解決する全体像を確認します。


Zapierで作る自動化の全体像

Zapierは、異なるクラウドサービスをつなぐ自動化ツールです。「トリガー」と呼ぶきっかけと、実行する処理を組み合わせます。この一連の設定をZapと呼びます。

今回構築する自動化フロー

介護施設の見学予約 自動化フロー(全体像)

1. Googleフォームで予約受付
見学希望者が氏名、連絡先、希望日時、人数、要望を入力

2. Zapierがフォーム送信を検知
新しい回答を受け取ると、次の処理を開始

3. 担当スタッフへ通知メールを送信
予約情報を整えてGmailで通知

4. 共有カレンダーへ予定を登録
日時、氏名、人数をGoogleカレンダーに登録

5. 前日にリマインドを送信
翌日の予約を確認し、予約者へメールで案内

使用するアプリと役割

アプリ役割無料プランの有無
Googleフォーム見学予約の受付無料(Googleアカウントが必要)
Zapierフォーム、カレンダー、メールの連携無料プランあり(タスク数に上限あり)
Googleカレンダー予約情報の共有と管理無料(Googleアカウントが必要)
Gmailスタッフ通知と予約者への案内無料(Googleアカウントが必要)

編集部メモ
通知先はGmailが最も簡単です。施設でLINE WORKSやSlackを使っている場合は、スタッフ向け通知だけを切り替える方法もあります。最初はGmailで試し、運用が安定してから通知先を広げると確認しやすくなります。

無料プランで実現できる範囲

Zapierの無料プラン(Freeプラン)は、2026年8月時点の公式情報で月100タスクです。プラン内容は変更される可能性があるため、導入時は公式サイトで最新情報を確認してください。

タスクとは、Zapierが処理を実行した回数です。今回の構成では、次のタスクが発生します。

Zap実行内容タスク消費
Zap 1フォーム送信 → スタッフ通知メール1タスク
Zap 2フォーム送信 → カレンダー登録1タスク
Zap 3日次実行 → 翌日予約の検索 → リマインド送信1タスク

1件の予約につき約3タスクを消費します。なお、日次実行のZap 3は予約がない日も1タスクを使います。月30件の予約なら、概算は「予約件数 × 2 + 30日」で90タスクです。

月34件を超える見込みがある場合は、有料プランを検討します。Starterプランは2026年8月時点で月額¥2,500前後ですが、最新料金は公式サイトで確認してください。

注意
タスク上限に達すると、その月の残り期間にZapが停止する場合があります。月初と月末に使用量を確認し、予約が増える時期は早めに有料プランを検討してください。

次は、3つのZapを順番に設定します。


レシピ1: 見学予約フォームをスタッフへ自動通知

最初に、Googleフォームの回答を担当スタッフへメールで知らせるZapを作ります。フォーム送信後に通知されるため、予約情報の転記を減らせます。

このZapで実現すること

設定手順

レシピ1: フォーム送信 → スタッフ通知メールの設定手順
ステップ1: Zapを新規作成

Zapierにログインし、「Create Zap」をクリックします。名前を「見学予約_スタッフ通知」とすると、後から管理しやすくなります。

ステップ2: トリガーにGoogleフォームを設定

トリガーアプリとして「Google Forms」を選択し、イベントは「New Response」を選びます。Googleアカウントと連携し、対象フォームを指定してください。

ステップ3: テストデータで確認

「Test trigger」をクリックし、回答データを取得できるか確認します。回答がない場合は、テスト用に1件送信しておきます。

ステップ4: アクションにGmailを設定

アクションアプリとして「Gmail」を選択し、イベントは「Send Email」を選びます。送信に使うGoogleアカウントを連携します。

ステップ5: メール内容を設定

Toに担当スタッフのメールアドレスを入力します。件名と本文には、「Insert Data」からフォームの回答項目を挿入します。

ステップ6: Zapを有効化

テスト送信を確認したら、Zapのスイッチをオンにします。以後、フォームへの回答ごとにメールが届きます。

メール本文のテンプレート例

Gmailの本文には、次のようなテンプレートを設定します。フォームの回答項目を差し込むと、予約情報を整理できます。

以下の内容で見学予約が入りました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【氏名】{氏名}
【ふりがな】{ふりがな}
【電話番号】{電話番号}
【メールアドレス】{メールアドレス}
【希望日時】{希望日時}
【見学人数】{人数}
【ご要望・質問】{ご要望・質問}
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

対応のほどよろしくお願いいたします。

編集部メモ
件名に予約者の氏名を含めると、受信トレイで予約を見分けやすくなります。複数のスタッフへ送る場合は、複数アドレスまたはGoogleグループを利用できます。

次は、予約情報を施設の共有カレンダーへ登録します。


レシピ2: 予約情報をGoogleカレンダーに自動登録

スタッフへのメール通知だけでは、施設全体で予約状況を共有しにくいことがあります。共有カレンダーへ予定を登録すると、対応予定を確認しやすくなります。

このZapで実現すること

設定手順

レシピ2: フォーム送信 → カレンダー登録の設定手順
ステップ1: 新しいZapを作成

「Create Zap」をクリックし、Zap名を「見学予約_カレンダー登録」とします。

ステップ2: トリガーを設定

トリガーアプリは「Google Forms」、イベントは「New Response」を選択します。レシピ1と同じフォームを指定してください。

ステップ3: アクションにGoogleカレンダーを設定

アクションアプリとして「Google Calendar」を選択し、イベントは「Create Detailed Event」を選びます。Googleアカウントを連携します。

ステップ4: 予定の詳細を設定

施設の共有カレンダーを選択します。Event Nameには予約者の氏名と人数を入力し、Start DateとStart Timeにはフォームの希望日時を割り当てます。Descriptionには電話番号や要望を入力します。

ステップ5: テストして有効化

テスト予約がカレンダーに登録されることを確認し、Zapを有効化します。

重複予約を防ぐための注意点

Googleカレンダーへの自動登録は便利ですが、次の点に注意します。

注意
Googleカレンダーの予定作成だけでは、重複予約を自動で防げません。たとえば「10:00、11:00、14:00、15:00」のように時間帯を限定すると、重複を減らしやすくなります。

次は、前日に予約者へリマインドを送るZapを設定します。


レシピ3: 前日に自動リマインドメールを送信

このZapは、毎日決まった時刻に翌日の予約を検索し、該当する予約者へメールを送ります。担当者が個別に確認する作業を減らせます。

このZapで実現すること

設定手順

レシピ3: 前日リマインド自動送信の設定手順
ステップ1: 新しいZapを作成

「Create Zap」をクリックし、Zap名を「見学予約_前日リマインド」とします。

ステップ2: トリガーにScheduleを設定

トリガーアプリとして「Schedule by Zapier」を選択し、イベントは「Every Day」を選びます。実行時間と週末の実行有無を設定します。

ステップ3: 翌日の予約を検索

アクションアプリとして「Google Calendar」を選択し、イベントは「Search Events」を選びます。共有カレンダーを指定し、日付計算機能で翌日を検索します。

ステップ4: 検索結果を処理

複数の予約を処理する場合は、Zapierの「Looping」機能が必要になることがあります。Loopingは有料プランの機能です。無料プランでは、施設の予約件数に合わせた構成を事前に検証してください。

ステップ5: リマインドメールを送信

アクションアプリとして「Gmail」を選択し、「Send Email」を選びます。予約者のメールアドレス、日時、施設案内を設定します。

ステップ6: テストして有効化

翌日の日付でテスト予約を作り、メールが届くことを確認します。確認後、Zapを有効化します。

注意
Scheduleトリガーは、予約がない日も1日1タスクを消費します。月30日なら30タスクです。レシピ1と2を含めた概算は「予約件数 × 2 + 30日」で計算できます。

次は、導入時に起きやすい失敗と回避策を確認します。


編集部の警告: 自動化で失敗しないための注意点

自動化を安定して使うには、料金、個人情報、電話予約の扱いを事前に決める必要があります。編集部が2026年5月〜7月に行ったヒアリングと実機検証をもとに、注意点をまとめます。

失敗しがちなパターン1: 無料プランのタスク上限を超える

予約件数が増えると、想定より早く上限に達することがあります。

症状原因回避策
予約通知が届かないタスク上限に達した使用量を毎週確認する
カレンダーに予定が入らない同上有料プランを検討する
リマインドが送信されない日次実行分を見落とした月間タスクを事前に計算する

失敗しがちなパターン
無料プランは、予約が増えると月の途中で停止する可能性があります。月の前半で使用量が上限の半分を超えた場合は、予約件数の見通しと料金を照合し、プラン変更を検討してください。

失敗しがちなパターン2: 個人情報の同意が不十分

見学予約フォームでは、氏名、電話番号、メールアドレスなどを収集します。フォームに個人情報の取り扱いに関する同意欄を設けてください。

Zapierはクラウドサービスのため、送信データがサービス提供企業のサーバーを経由します。施設の利用規約や個人情報保護方針を確認し、外部サービスの利用可否を判断してください。

失敗しがちなパターン3: 電話予約との二重管理

自動化後も、電話予約を受ける場面は残る可能性があります。電話予約をどの管理方法へ入力するか、事前にルールを決めます。

運用方法メリットデメリット
電話予約もスタッフがフォームへ入力全予約を一元管理できる入力作業が残る
電話予約を紙の台帳で管理導入時の変更が少ない情報が分散する
電話予約をカレンダーへ直接入力カレンダーで把握できるフォームと情報形式が異なる

編集部は、電話予約もスタッフがフォームへ入力する方法を推奨します。スタッフ用フォームを用意すると、同じ形式で管理しやすくなります。

編集部メモ
電話予約を受けたスタッフが、その場でフォームへ入力する運用にします。スマートフォンから入力できるフォームなら、転記漏れを減らしやすくなります。

次は、施設で実際に導入するための3ステップを紹介します。


導入ステップ: 今日から始める3ステップ

ここまでの内容を、導入時の3ステップにまとめます。最初は小さく試し、動作を確認してから対象を広げます。

ステップ1: Googleフォームで見学予約フォームを作成

フォームには、次の項目を設定します。

項目入力形式必須/任意
氏名記述式必須
ふりがな記述式必須
電話番号記述式必須
メールアドレス記述式必須
希望日時プルダウン(日付と時間帯)必須
見学人数プルダウン(1名 / 2名 / 3名以上)必須
ご要望・質問記述式任意
個人情報の取り扱いへの同意チェックボックス必須

編集部メモ
希望日時は、日付と時間帯を分けたプルダウンにします。自由記述では表記がそろわず、カレンダー登録時に確認が必要になるためです。

ステップ2: Zapierアカウントを作成し、3つのZapを設定

次の順番でZapを作成します。

  1. Zap 1(スタッフ通知): フォーム送信 → Gmailで通知
  2. Zap 2(カレンダー登録): フォーム送信 → Googleカレンダーへ登録
  3. Zap 3(前日リマインド): 毎日実行 → 翌日の予約を検索 → メール送信

各設定は、この記事のレシピ1〜3を参照してください。入力項目が決まっていれば、編集部の検証では約30分で基本構成を作成できました。

ステップ3: テスト予約で確認し、スタッフへ共有

すべてのZapを作成したら、テスト予約を1件入れます。

  1. フォームからテスト予約を送信する
  2. スタッフへ通知メールが届くことを確認する
  3. 共有カレンダーに予定が登録されることを確認する
  4. 翌日の日付で、リマインドメールが届くことを確認する

確認後、電話予約をフォームへ入力する手順をスタッフに共有します。入力担当者と確認担当者も決めておくと、運用を続けやすくなります。

編集長の見解
自動化で重要なのは、設定よりも継続して使える運用です。まず1か月試し、通知漏れや入力の迷いを記録してください。課題が見えたら、フォーム項目や通知先を調整します。

次は、導入前に確認したい質問へ回答します。


よくある質問

Q: 無料プランで足りるか?

A: 月の見学予約が30件程度までなら、無料プランの範囲に収まる可能性があります。2026年8月時点の公式情報では、無料プランは月100タスクです。

1件の予約で、スタッフ通知とカレンダー登録に計2タスクを使います。さらに、日次実行のリマインドで月30タスクを使うため、概算は「予約件数 × 2 + 30日」です。

月34件を超える見込みなら、有料プランを検討してください。料金や機能は変更される可能性があるため、導入時に公式サイトで確認します。

Q: 電話予約の場合はどうする?

A: 電話を受けたスタッフが、同じ予約フォームへ入力する方法がおすすめです。電話予約もフォーム経由で管理できるため、カレンダー登録やリマインドの対象にできます。

スマートフォンから入力できるフォームにすると、電話対応の直後に登録できます。

Q: 他の予約システムと併用できる?

A: カイポケなどの介護施設向けシステムとの併用は可能です。ただし、二重管理を避けるため、どのシステムを予約情報の基準にするか決めてください。

カイポケ側の情報をZapierでGoogleカレンダーへ連携する方法もありますが、APIの提供状況によっては難しい場合があります。まずはGoogleフォームとZapierの構成を試し、必要に応じて統合を検討します。

Q: リマインドはメール以外にも送れる?

A: LINE WORKSやSlackを導入している場合は、スタッフ向け通知を切り替えられる可能性があります。予約者へのリマインドは、メールで送る方法が扱いやすいでしょう。

Q: フォームの項目を後から変更した場合、Zapは作り直しが必要?

A: 項目を追加・削除した場合は、Zapの参照項目を更新します。Zapierのトリガー部分でフォームを再同期し、新しい項目を認識させてください。

項目を変更した後は、必ずテスト送信を行います。

Q: スタッフが複数いる場合、通知はどうすればよい?

A: 複数のメールアドレスを通知先に指定するか、Googleグループを利用します。共有カレンダーの閲覧権限も、対応スタッフへ付与してください。

施設の規模と勤務体制に合わせ、通知先と確認担当者を決めます。


出典・参考情報

編集部メモ
本記事の料金とタスク数は、2026年8月時点の情報です。プランや料金は変更される可能性があるため、導入時にはZapier公式サイトで最新情報を確認してください。


まとめ: 定型業務を自動化し、ケアに向き合う時間を増やす

介護施設の見学予約では、受付後の転記、情報共有、前日の連絡が発生します。Zapierでこれらをつなぐと、スタッフの確認作業を減らし、連絡漏れの防止につなげられます。

本記事で紹介した3つのZapにより、次の効果が期待できます。

自動化には、特別なプログラミング知識は必要ありません。ただし、フォーム項目、個人情報の扱い、タスク上限は事前に確認してください。まずはスタッフ通知から始め、運用状況を見ながら機能を追加する方法が現実的です。

編集長の見解
介護現場の人手不足を、1つのツールだけで解決することはできません。それでも、見学予約のような定型業務から見直すと、スタッフが本来の仕事に向き合う時間を作れます。施設の予約件数と運用体制を確認し、無理のない範囲で試してください。


Mira / AI経営ラボ 編集長