MiiTel の通話解析AIで営業電話を数値化 集計5時間を30分にした改善手順と中小企業の導入判断
「あの担当は電話がうまい」。営業の現場でいちばん多く交わされ、いちばん再現できない評価です。RevComm の MiiTel は、この曖昧な評価を話速・沈黙・会話比率といった数字に置き換えます。本稿では公式サイトで確認できる機能と料金情報、導入事例で実際に公表された数値、そして中小企業が見積もりを取る前に確認すべき点を編集部で整理しました。
- MiiTel は通話を録音するだけでなく、話速・トーク比率・ラリー回数を自動で数値化する解析サービスです。
- 電話向けの MiiTel Phone と、オンライン会議向けの MiiTel Meetings が同じ基盤で提供されています。
- 公式サイトに料金表の掲載はなく、月額は問い合わせ・見積もりベースです。初期費用は「¥0 〜」と表記されています。
- 公表事例では、集計作業が約 5 時間から約 30 分へ、商談後の事務作業が1 商談あたり 10 分以上短縮されています。
- 効果は「録れること」ではなく振り返る運用から出ます。担当者を決められない会社は投資が空回りします。
編集部の見解として、MiiTel の本質は電話サービスではなく「営業の暗黙知を数えられる形にする計測器」です。したがって導入判断の基準は電話代の比較ではありません。数字を見て毎週改善を回す人が社内にいるかどうか、この一点で成果が割れると編集部は判断しました。
MiiTel とは — 通話そのものを解析対象にするサービス
MiiTel は、株式会社RevComm が 2018 年 10 月に正式提供を開始した音声解析 AI 電話です (公式告知)。パソコンとヘッドセットで発着信でき、通話は自動で録音・文字起こしされます (公式機能一覧)。
公式サービスページによれば、電話機は不要で工事やメンテナンスも要らず、最短 3 営業日で利用を開始できます。既存の電話設備を入れ替える必要がない点は、設備投資を避けたい中小企業にとって現実的な条件です。
公式サイトには、米 Forbes などが有望な未上場企業を表彰する「Forbes AI 50 2023」にアジア企業として唯一選出されたことが記載されています (MiiTel について)。国産サービスであり、サポートも日本語で受けられます。
製品は用途別に分かれており、中小企業が最初に検討するのは次の 2 つです。
- MiiTel Phone: 電話の発着信と解析。架電中心の営業やコールセンター向け
- MiiTel Meetings: オンライン会議の解析。Web 商談中心のチーム向け
次のセクションでは、この解析が具体的に何を数字に変えるのかを見ていきます。
何が数値になるのか — 解析される指標
公式の機能一覧に掲載されている解析項目を、経営者の視点で「何の判断に使えるか」まで含めて整理しました。
| 解析される項目 | 内容 | 何の判断に使えるか |
|---|---|---|
| 話速 | 1 分あたりの話す速さ | 早口で相手を置き去りにしていないか |
| トーク比率 | 自分と相手が話した割合 | 一方的な説明になっていないか |
| ラリー回数 | 会話のやり取りの往復数 | 対話が成立しているか、独演会か |
| 感情認識 | 声のトーンを色で表示 | どの話題で相手の温度が下がったか |
| キーワード検出 | キラーワード・NG ワードの自動抽出 | 言うべき言葉が漏れていないか |
| 自動文字起こし | 話者分離とタイムスタンプ付き | 聞き直さずに検索で該当箇所へ飛べる |
これらは通話ごとに自動で付与されるため、上司が全通話を聞く必要がなくなります。指導は「なんとなく元気がない」から「話速が相手より毎回 20% 速い」へ変わります。
編集部メモ: 数値化の効果は、実は上司よりも本人に大きく出ます。自分の通話を自分で見返せる状態になると、指摘される前に直る回数が増えます。公式サイトが「セルフコーチング」という言葉を使うのは、この構造を指しています。
顧客管理システム (CRM) との連携も用意されており、公式には Salesforce、HubSpot、kintone、Zoho CRM、Slack、Amazon S3 などが挙げられています。CRM 連携そのものの考え方は HubSpot Breeze AI の記事 でも扱っています。
続いて、多くの経営者が最初に知りたい料金を確認します。
料金 — 公式に確認できることと、できないこと
先に結論を書きます。MiiTel Phone の月額料金は公式サイトに掲載されていません。 編集部が公式サイトを確認した範囲では、料金は資料請求またはデモ依頼を経た見積もりでのみ提示される仕組みです。
比較サイトの多くは月額 5,980 円 (税抜) / ID という数字を掲載していますが、これは公式の一次情報ではありません。金額を前提に社内稟議を組むのは危険です。編集部としては、必ず見積書で確認することを推奨します。
公式サイトおよび公式の告知で確認できた料金情報は、次の表がすべてです。
| 確認できる項目 | 公式の記載内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 初期費用 (Phone / Meetings 共通) | 「初期費用 ¥0 〜」。ただし導入支援の初期費用が別途かかる場合あり | 公式サービスページ |
| 最小契約単位 | MiiTel Meetings は 1 ID・単月契約から可能 | Meetings の公式ページ |
| 事務手数料 | MiiTel Meetings で 10 ID 以下を単月契約する場合に発生 | Meetings の公式ページ |
| 利用開始までの日数 | 最短 3 営業日、電話機・工事は不要 | Phone の公式ページ |
| MiiTel Incoming Webhook | 年間契約で 50 時間 4,980 円 / 100 時間 5,980 円 / 150 時間 6,980 円 (1 ユーザー月額・税抜) | 2024 年 6 月 10 日 公式告知 |
| MiiTel Phone / Meetings の月額 | 記載なし (見積もりのみ) | — |
なお、1 ID からの契約可否と事務手数料の条件は MiiTel Meetings のページに記載されたものです。MiiTel Phone のページには同じ記載がないため、電話側の最小契約 ID 数は見積もり時に必ず確認してください。
通話料は公式告知で改定後の単価が公開されています。月額とは別枠で積み上がるため、こちらは事前に試算できます。
| 発信先 | 改定後の通話料 (2024 年 8 月 1 日以降) | 改定前 |
|---|---|---|
| 固定電話 (0ABJ 番号) 宛 | 8.49 円 / 3 分 | 8.49 円 / 3 分 (据え置き) |
| IP 電話 (050 番号) 宛 | 8.49 円 / 3 分 | 0.0 円 |
| 携帯電話宛 | 16.9 円 / 1 分 | 16.9 円 / 1 分 (据え置き) |
⚠️ 見落としやすい費用: 月額のほかに通話料が従量で発生します。2024 年 8 月 1 日の改定で、それまで無料だった IP 電話 (050 番号) 宛の発信が 8.49 円 / 3 分の有料になりました。携帯電話宛は 16.9 円 / 1 分で、3 分の通話なら約 51 円です。1 日 30 件架電するチームなら月 3 万円規模になり得ます。見積もり時は必ず「想定架電時間 × 通話単価」を別枠で試算してください。
💡 見積もり依頼で必ず聞く 3 点: (1) 最低契約 ID 数と最低契約期間、(2) 自社の想定架電量での月間通話料の概算、(3) 既存の電話番号を引き継げるか。この 3 点を最初に確認しないと、後から「思っていた金額と違う」が起きます。
次のセクションでは、公式に公表されている導入効果の数値を確認します。
公表されている導入効果 — どこに効いたのか
RevComm と MiiTel の公式サイトに掲載された事例から、具体的な数値が公表されているものを抜き出しました。いずれも中堅・大企業の事例であり、中小企業がそのまま同じ結果になるとは限らない点は先に断っておきます。
| 企業 | 公表された数値 | 効果が出た場所 |
|---|---|---|
| 株式会社レスメッド | 600 件のデータ集計が約 5 時間から約 30 分へ (約 10 分の 1) | 応対品質の集計・分析工数 |
| Sansan株式会社 | 1 商談あたり 10 分以上の短縮 | 通話後の記録・入力作業 (アフターコールワーク) |
| 株式会社ラクス | 受注率 5.3% (リスト架電) に対し 21.6% (資料クリック者への架電) | 架電先の優先順位付け |
3 件に共通しているのは、削減されたのが「通話そのもの」ではなく「通話の周辺作業」だという点です。集計、記録、そして誰に架けるかの判断。ここが効いています。
株式会社ラクスの数値は MiiTel が受注率を上げたという意味ではありません。MiiTel で計測したことで、架ける相手による差が 4 倍あると分かったという話です。この違いは導入判断で決定的に重要です。
⚠️ 失敗パターン: 「録音しておけばいつか使う」で導入した会社は、ほぼ確実に使いません。通話データは溜めるだけでは 1 円も生みません。週 1 回 30 分でよいので、誰が・いつ・何の数字を見るかを契約前に決めてください。決められないなら導入を見送るのが正解です。
続いて、中小企業が最初の 30 日で何をすべきかを手順に落とします。
中小企業の導入手順 — 最初の 30 日
この手順の狙いは、Day 8-14 の「基準値を取るだけの期間」にあります。改善を焦って初日から指導を始めると、何が効いたのか分からなくなるためです。
- 通話の抜き打ち同席・録音聴取 (週 3 時間)
- 日報から状況を推測 (週 1 時間)
- 指導内容は担当者の主観
- 成果の再現方法が言語化されない
- 解析済み一覧の確認 (週 30 分)
- 週次振り返りミーティング (週 30 分)
- 指導は数値の差分を根拠にする
- 勝ちパターンが数値で共有される
編集部のシミュレーションであり、実際の削減時間はチーム規模と運用によって変わります
次に、MiiTel が向かないケースと代替案を整理します。
向く会社・向かない会社と、代替の選択肢
MiiTel は電話を業務の中心に据えている組織で効きます。逆に、電話をほとんど使わない事業では投資が回収できません。
| 自社の状況 | 判断 | 検討すべきもの |
|---|---|---|
| 架電が営業の主戦場、担当が 3 名以上 | 向く | MiiTel Phone |
| 商談はオンライン会議が中心 | 条件付きで向く | MiiTel Meetings、または Avoma |
| 議事録の文字起こしだけが欲しい | 過剰投資 | Notta、Rimo Voice |
| 商談後のフォロー漏れが課題 | 別の解決策 | Zapier での商談後メール自動化 |
| 電話は月に数件、個人事業主 | 向かない | 導入見送り |
判断の分かれ目は「電話の質を上げると売上が変わるか」です。ここが曖昧なまま導入すると、月額と通話料だけが残ります。
編集部の結論として、MiiTel は「営業を育てる仕組みを持ちたい会社」の投資です。公式に料金が非公開である以上、他ツールとの単純な価格比較はできません。したがって判断材料は、週次で数字を見る担当者を置けるか、その一点に集約されます。置けるなら少 ID で試す価値は十分にあります。
よくある質問
Q. 既存の電話番号は使えますか。 A. 番号の引き継ぎ可否は契約条件によって異なります。公式サイトに一律の記載はないため、デモ依頼の際に自社の回線環境を伝えて確認してください。
Q. 日本語の文字起こし精度はどの程度ですか。 A. 公式に精度の数値は公表されていません。業界特有の用語がある場合は、デモ期間に自社の実際の通話で試すことを編集部は推奨します。
Q. 小さい会社でも契約できますか。 A. MiiTel Meetings の公式ページには 1 ID・単月契約から契約可能と記載されています。ただし 10 ID 以下を単月契約する場合は事務手数料が発生します。MiiTel Phone 側には同じ記載がないため、電話を使いたい場合は最小 ID 数を問い合わせで確認してください。
Q. オンライン会議の解析だけ使えますか。 A. MiiTel Meetings が該当します。対応範囲と料金は同様に問い合わせでの確認が必要です。
出典・参考情報
- MiiTel 公式サイト — サービス全体
- MiiTel Phone — 初期費用・最短 3 営業日の記載
- MiiTel Phone 機能一覧 — 解析項目・連携先
- MiiTel Meetings — 1 ID / 単月契約・事務手数料の記載
- MiiTel について — 受賞歴・市場シェア
- RevComm 公式: 料金の一部改定につきまして (2024 年 6 月 10 日) — 改定後の金額・通話料
- RevComm 公式: 株式会社レスメッドの活用事例 (2026 年 6 月 11 日) — 集計工数の削減数値
- 導入事例: Sansan株式会社 — アフターコールワークの短縮
- 導入事例: 株式会社ラクス — 架電先による受注率の差
- 導入事例一覧 — 業種別の事例
本記事の料金情報は 2026 年 7 月 30 日時点で公式サイトおよび公式告知に掲載されていた内容に基づきます。料金は改定される可能性があるため、契約前に必ず見積書で確認してください。
Mira / AI経営ラボ 編集長
料金プラン
| プラン | 料金 (JPY) | 請求 |
|---|---|---|
| 初期費用 (公式表記は「初期費用 ¥0 〜」) | ¥0 | 買い切り |
| MiiTel Incoming Webhook 50時間プラン (年間契約・1ユーザー月額・税抜) | ¥4,980 | 月額 |
| MiiTel Incoming Webhook 100時間プラン (年間契約・1ユーザー月額・税抜) | ¥5,980 | 月額 |
| MiiTel Incoming Webhook 150時間プラン (年間契約・1ユーザー月額・税抜) | ¥6,980 | 月額 |
👍 メリット
- 全通話を自動録音・自動文字起こしし、聞き直さずに検索できる
- 話速・トーク比率・ラリー回数などを自動で数値化し、指導の根拠を作れる
- Salesforce / HubSpot / kintone など主要な顧客管理システムと連携できる
- MiiTel Meetings は 1 ID・単月契約から始められ、初期費用は公式表記で ¥0 から
- 電話とオンライン会議の両方を同じ解析基盤に乗せられる (MiiTel Phone / MiiTel Meetings)
👎 デメリット
- 公式サイトに料金表の掲載がなく、月額は問い合わせ・見積もりでしか分からない
- 10 ID 以下を単月契約する場合は事務手数料が発生する (公式記載)
- 月額とは別に通話料が従量で発生し、2024 年 8 月から IP 電話宛も有料化された
- 初期費用は ¥0 からと表記されるが、導入支援に関する初期費用が別途かかる場合がある (公式注記)
- 解析結果を見るだけでは成果は出ず、週次で振り返る運用担当を置く必要がある