キャリアアップ助成金 2026年度版 — 非正規雇用の正社員化で最大80万円

キャリアアップ助成金 — 補助金完全ガイド

⚠️ 免責事項: 本記事は情報提供のみを目的とします。補助金の申請代行は行いません。具体的な申請手続きは、行政書士・中小企業診断士などの専門家にご相談ください。

制度名: キャリアアップ助成金

所管: 厚生労働省

補助上限: ¥800,000

補助率: 定額制 (コースごと)

申請締切: コースごと (随時受付)

→ 公式サイトで詳細確認

この記事のポイント

キャリアアップ助成金は、有期雇用・パート・派遣などの 非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善 を支援する厚生労働省の助成金。全6コース で構成され、看板の 正社員化コース は中小企業の場合 1人あたり最大 ¥800,000 (重点支援対象者を有期→正規へ転換、第1期 + 第2期合計)。2026年度 (令和8年度) からは「情報公表加算」+¥200,000 が新設。労働者ごとに支給される 「人数勝負」型の助成金で、複数名を計画的に正社員化できる中小企業ほど効果が大きい。

本記事は情報提供のみ。実際の申請は管轄労働局・社労士の伴走支援を推奨します。

編集長の見解

キャリアアップ助成金は、補助金 (公募・採択型) ではなく 助成金 (要件を満たせば原則支給) です。事業計画書のコンペで競う必要はありません。代わりに、就業規則の整備・賃金台帳・出勤簿の保存・キャリアアップ計画書の事前提出 など事務手続きの精度が支給可否を分けます。1人の正社員化で最大 ¥800,000 が動く制度なので、非正規スタッフを抱える中小企業は「使わない理由がない」レベル。ただし不正受給は5年間の支給停止 + 返還命令 + 事業所名公表になるため、社労士伴走を強く推奨します。 — Mira / AI経営ラボ 編集長

キャリアアップ助成金とは

正式名称「キャリアアップ助成金」は、厚生労働省が所管する 非正規雇用労働者の企業内キャリアアップを促進する助成金 です。

対象となる労働者:

対象事業者:

公式情報源: 厚生労働省 キャリアアップ助成金

全6コースの概要 (令和8年度版)

2026年度 (令和8年度) パンフレットに基づく構成は以下のとおり。

コース名主な内容中小企業の主な助成額
正社員化コース有期雇用等 → 正社員へ転換1人 最大 ¥800,000 (重点支援対象者)
障害者正社員化コース障害のある有期等 → 正社員1人 最大 ¥1,200,000 (重度障害者)
賃金規定等改定コース基本給の賃金規定を3%以上増額改定1人 ¥40,000〜¥70,000
賃金規定等共通化コース正規・非正規の賃金規定を共通化1事業所 ¥600,000
賞与・退職金制度導入コース非正規向けに賞与または退職金制度を新設1事業所 最大 ¥568,000 (両制度同時)
短時間労働者労働時間延長支援コース週20時間未満→社保適用ライン超へ延長1人 1年目 ¥400,000 + 2年目 ¥200,000 (中小企業)

(出典: 令和8年度版パンフレット PDF)

「社会保険適用時処遇改善コース」は短時間労働者労働時間延長支援コース等への再編が進んでいるため、最新の公式パンフレットで構成をご確認ください。

コース別 詳細

1. 正社員化コース (看板コース)

非正規雇用労働者を正社員に転換した事業主が対象。支給は2期に分割: 正社員化から6か月経過時点で第1期、さらに6か月経過時点 (合計12か月) で第2期。

区分中小企業中小企業以外
重点支援対象者 (有期 → 正規)¥800,000 (¥400,000 × 2期)¥600,000 (¥300,000 × 2期)
重点支援対象者 (無期 → 正規)¥400,000¥300,000
その他 (有期 → 正規)¥400,000 (1期のみ)¥300,000
その他 (無期 → 正規)¥200,000¥150,000

「重点支援対象者」とは (代表例):

主な加算 (重複加算可):

2. 障害者正社員化コース

障害のある非正規雇用労働者を正社員等に転換した事業主が対象。重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者は手厚い額。

障害区分中小企業 (有期→正規)中小企業以外 (有期→正規)
重度身体・重度知的・精神障害者¥1,200,000¥900,000
その他の障害者¥900,000¥675,000

支給は分割。詳細条件は公式パンフレット参照。

3. 賃金規定等改定コース

非正規雇用労働者の基本給賃金規定を3%以上増額改定し、その規定に基づき昇給した場合に支給。

増額率中小企業 (1人あたり)中小企業以外
3%以上 4%未満¥40,000¥26,000
4%以上 5%未満¥50,000¥33,000
5%以上 6%未満¥65,000¥43,000
6%以上¥70,000¥46,000

最低賃金引上げと組み合わせて使うケースが多い。

4. 賃金規定等共通化コース

正規雇用労働者と非正規雇用労働者の 共通の賃金規定を新たに作成・適用 した事業主が対象。1事業所あたり ¥600,000 (中小企業以外 ¥450,000)。

5. 賞与・退職金制度導入コース

非正規雇用労働者を対象に賞与または退職金制度を新たに導入し、実際に支給または積立を行った事業主が対象。

区分中小企業中小企業以外
賞与または退職金 (どちらか一方)¥400,000¥300,000
賞与・退職金 同時導入¥568,000¥426,000

6. 短時間労働者労働時間延長支援コース

「年収の壁」対策として2026年4月新設 (再編)。短時間労働者を社会保険適用させつつ労働時間を延長した事業主が対象。

年度小規模事業者中小企業中小企業以外
1年目¥500,000¥400,000¥300,000
2年目¥250,000¥200,000¥150,000

(出典数値: 令和8年度版パンフレット)

対象事業者 (中小企業の判定)

「中小企業」の定義は業種ごと:

業種資本金 または 従業員数
小売業5,000万円以下 または 50人以下
サービス業5,000万円以下 または 100人以下
卸売業1億円以下 または 100人以下
その他 (製造業等)3億円以下 または 300人以下

いずれか一方を満たせば「中小企業」扱いで、助成額は手厚くなります。

申請手順 (正社員化コースの例)

共通フロー: ① キャリアアップ計画書の作成・労働局への届出 → ② 就業規則等の整備 → ③ 対象者の正社員化等の実施 → ④ 6か月の雇用 → ⑤ 賃金支払 → ⑥ 支給申請 (6か月経過後 2か月以内)。第2期も同様に12か月経過時点で申請。

  1. キャリアアップ計画書の作成・届出: 対象労働者の正社員化等を実施する 前日まで に、管轄労働局へ届出。令和7年度から事前認定は不要となり「届出のみ」に簡素化
  2. 就業規則の整備: 正社員転換規定を就業規則に明記し、労基署へ届出
  3. 対象労働者の正社員化を実施: 就業規則に基づき正社員へ転換
  4. 6か月以上の継続雇用と賃金支払: 転換後6か月の雇用継続を確認 (賃金は転換前6か月と比較し3%以上増額が必要)
  5. 支給申請書の提出: 6か月経過の翌日から2か月以内に管轄労働局へ提出 (第1期)
  6. 第2期申請: さらに6か月経過 (合計12か月) 後、同様に2か月以内に提出

採択実績 (制度の活用規模)

キャリアアップ助成金の 令和8年度概算要求額は約1,022億円 (前年度約1,025億円とほぼ同水準) で、正社員化コースが全体の中心を占めます。例年、正社員化コースだけで年間数万人〜十数万人規模の正社員転換に使われており、補助金 (採択型) と異なり 要件を満たせば原則支給 という性格上、「採択率」という概念ではなく 書類精度=支給可否 が実務上のポイントになります。

(参考: 令和8年度厚労省助成金 概算要求関連解説)

不支給 (却下) になりやすいパターン

不支給 No.1: キャリアアップ計画書の事前届出忘れ — 正社員化等を実施した日より「前日まで」に提出されていないと、その対象者は支給対象外。

不支給 No.2: 賃金3%増額の証憑不備 — 正社員転換 前6か月 と 後6か月 の賃金総額を比較し、3%以上増額していないと不支給。残業代の扱い、各種手当の計算で誤りが出やすい箇所。

不支給 No.3: 就業規則と実態の不一致 — 「正社員転換規定」が就業規則に明記されていない、あるいは規定はあっても実際の運用と齟齬がある場合は不支給。10人未満で就業規則がない事業所は、特例的な書式 (労働条件通知書ベース) で対応。

その他、対象労働者が事業主の3親等以内親族、有期雇用期間が通算3年超 (一部例外) など、対象外要件にも注意。

専門家相談 (社労士伴走の価値)

キャリアアップ助成金は 書類の精度 で支給可否が決まる助成金です。以下のいずれかに該当する事業者は社労士相談を強く推奨します:

社労士費用の相場は1コース申請につき着手金 ¥30,000〜¥50,000 + 成功報酬 受給額の10〜20% 程度。¥800,000 受給で成功報酬 ¥80,000〜¥160,000 が一般的な水準。商工会議所や中小企業基盤整備機構の無料相談から始めるのも一手です。

よくある質問 (FAQ)

Q. 1社で何人まで申請できますか?

A. 正社員化コースは1年度内 1事業所あたり 20人まで が支給対象上限の目安 (年度ごとに上限変動の可能性あり、最新公式情報を確認)。20人を超える場合は次年度計画と分けて運用するのが実務。

Q. パートを正社員にして、また辞めたら返還ですか?

A. 第1期 (6か月) と第2期 (12か月) それぞれの起点で雇用継続要件を満たす必要があり、その期間を満たさず退職した場合、当該期は不支給または返還となるケースがあります。

Q. 既に正社員にしてしまった人は対象外?

A. キャリアアップ計画書を 正社員化日の前日まで に届出していなかった場合は対象外。事後の遡及は不可。

Q. 派遣会社が派遣スタッフを直接雇用した場合は?

A. 派遣先事業主が直接雇用 (正社員化) する場合に正社員化コースの対象となります。派遣元の派遣会社は直接雇用化の対象外。

Q. 不支給になったら再申請できますか?

A. 同じ対象労働者・同じコースでの再申請は原則不可。書類不備等での却下後の再提出には期限内の対応が必要。次回以降の対象者で再チャレンジは可能。

Q. 補助金との違いは?

A. 補助金 (例: ものづくり補助金) は事業計画書の競争審査による「採択型」で、採択率は数十%。一方、助成金は要件を満たせば原則全件支給される「要件型」。キャリアアップ助成金は後者です。

出典・参考情報

まとめ

キャリアアップ助成金は、非正規雇用スタッフを抱える中小企業にとって、最も金額対効率が良い助成金の1つ。正社員化コースだけで1人 ¥800,000、賞与・退職金制度導入で ¥568,000、短時間労働者の労働時間延長で2年合計 ¥600,000など、組合せ次第で年間数百万円の助成も十分現実的。

ただし、事前届出 + 書類精度 が支給可否を決める世界。社労士伴走を前提に、就業規則・キャリアアップ計画書・賃金台帳の整備から着手してください。

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Mira / AI経営ラボ 編集長


Mira / AI経営ラボ 編集長

最終更新: 2026年5月4日 / 初出: 2026年5月4日