業務自動化

Make.comでCalendly商談台帳・通知を自動化、月5時間短縮 — Zoom課金不要(中小企業向け)

中小企業 営業/士業/コンサル (商談・面談をオンラインで実施する事業者) の業務自動化レシピ
業種中小企業 営業/士業/コンサル (商談・面談をオンラインで実施する事業者)
ツールMake.com
難易度★★☆ 中
設定時間約 50 分

「Calendly で予約が入ったら Make.com で Zoom URL を発行する」——この設計は、ほとんどの中小企業にとって不要です。Zoom URL の自動発行は Calendly の標準機能で、追加費用 ¥0 で完結するからです。本レシピは、無料で済む部分を無料で済ませたうえで、Make.com を「商談台帳・社内通知・キャンセル処理」だけに使う現実的な構成を 50 分で構築します。

読了目安 8 分 / 設定目安 50 分

編集長の見解: この分野の記事は「Calendly の予約をトリガーに Make.com で Zoom ミーティングを作る」 という構成を紹介しがちですが、編集部はこれを推奨しません。Calendly は Zoom 連携を全プランに無料で開放しており、予約が入るたびに固有の Zoom URL を自動発行し、確認メールとカレンダー招待にまで差し込んでくれます。ここを Make.com で作り直すのは、無料で動いている機能にわざわざクレジットを払う行為です。自動化ツールの正しい使いどころは「標準機能が届かない隙間」 であり、Calendly × Zoom の場合その隙間とは商談の記録と社内共有です。本レシピはそこだけに絞ります。

このレシピで解決する課題

Calendly と Zoom を導入済みの中小企業でも、予約が入った「後」 の作業は手作業のまま残っているケースがほとんどです。

  1. 商談台帳への手入力: 顧客名・会社名・日時・問い合わせ内容を Google Sheets に転記 (1 件 4 分)
  2. 社内への共有: 「明日 14 時に ○○社と商談です」 を Slack や LINE に手動投稿 (1 件 2 分)
  3. キャンセルの反映漏れ: 顧客がキャンセルしても台帳が「予定」 のままで、月末の集計が合わない
  4. 事前情報の確認: 予約フォームの回答を Calendly の画面まで見に行かないと分からない
  5. 商談数の集計: 月末に Calendly の履歴を目視で数えて報告資料を作る

各作業は数分ですが、商談 1 件あたり合計 約 10 分。月 30 件の商談を持つ営業担当なら、月 5 時間が「予約が入った後の事務作業」 に消えている計算です。

そして重要なのは、この 5 時間に Zoom URL の発行は含まれていないという点です。次のセクションで理由を説明します。

先に結論: Zoom URL の発行を自動化してはいけない

Calendly は 2021 年に Web 会議連携を全プラン無料化しており、Calendly 公式ヘルプ は Zoom をイベントの「場所 (Location)」 に設定するだけで、予約ごとに固有の Zoom リンクが自動生成されると説明しています。設定は Event Type の「What event is this?」 から Location に Zoom を選ぶだけ、所要時間は 2 分です。

つまり、Zoom URL について Make.com がやれることは、Calendly が無料でやっていることの劣化再現にすぎません。両者を並べると差は明確です。

項目Calendly 標準の Zoom 連携Make.com で Zoom を発行
追加費用¥0 (全プラン無料)Calendly Standard + Make.com Core が必須
設定時間約 2 分 (Location を選ぶだけ)約 20 分 (モジュール接続 + マッピング)
確認メールへの URL 差し込み自動自分でメール送信を組む必要あり
カレンダー招待への URL 差し込み自動自分でカレンダー登録を組む必要あり
予約変更時の URL 追従自動変更・キャンセルの分岐を自作
障害点の数Calendly のみCalendly + Make.com + Zoom API
編集部の評価◎ まずこれを使う△ 例外ケースのみ (後述)

すでに「Make.com で Zoom URL を発行する」 シナリオを組んでしまっている場合でも、作り直しは不要です。Calendly の Event Type の Location を Zoom に切り替え、Make.com 側の Zoom モジュールだけを削除すれば、台帳記録と通知のシナリオはそのまま活かせます。

Zoom URL を Calendly に任せると、Make.com に残る仕事は「記録」 と「通知」 だけになります。次のセクションで、その最小構成のフローを示します。

完成形 (フロー図)

Calendly 予約 → 商談台帳 → 社内通知の自動フロー (Zoom URL は Calendly 標準連携が担当)
📅
01
Calendly 予約成立
顧客が枠を選択。Zoom URL は Calendly が自動発行し確認メールに同梱
02
Watch Events 起動
Make.com の Calendly トリガーが webhook で即時受信
🔀
03
Router で分岐
新規予約 (created) とキャンセル (canceled) を振り分け
🧾
04
招待者情報を取得
Get an Event Invitee で氏名・メール・フォーム回答を取得
📊
05
台帳記録 + 社内通知
Google Sheets に 1 行追加し、Slack / LINE に商談カードを投稿

Make.com は記録と通知だけを担当。Zoom URL の発行と配信は Calendly が無料でこなす

Make.com のシナリオ 1 本で完結する構成です。次に、実際にかかる費用を整理します。

必要なツールと月額費用

本記事は $1 = ¥162 で換算しています (2026 年 7 月中旬の実勢レートを参照。実際の請求額は決済時のレートで変動します)。

ツール役割料金 (公式表示)月額目安
Make.com Core (中核)シナリオ実行$9 / 月 (10,000 クレジット)約 ¥1,460
Calendly Standard (必須)予約受付 + webhook$10 / 席 / 月 (年払い)約 ¥1,620
Zoom BasicWeb 会議$0 (1 対 1 以外は 40 分制限)¥0
Google Sheets商談台帳無料¥0
Slack / LINE 公式アカウント社内通知無料枠で足りる規模¥0

合計は 月 $19 (約 ¥3,100 / 1 席)。営業担当 3 名なら Calendly が 3 席必要になり、月 $39 (約 ¥6,300) が目安です。

最大の落とし穴: Calendly 無料プランではこのレシピは動きません。 Make.com の Calendly アプリ公式ドキュメント (apps.make.com/calendly) は、Watch Events トリガーについて「this module requires a paid calendly subscription」 と明記しています。理由は、このトリガーが Calendly の webhook を使うためです。Calendly の開発者向けドキュメント も、webhook 購読には Standard 以上の有料プランが必要と説明しています。「Calendly は無料だから月 $9 で始められる」 という前提で見積もると、実際は倍以上になります。

クレジット消費の目安

Make.com は 2025 年 8 月に課金単位を「オペレーション」 から「クレジット」 へ変更しました。標準的なモジュール実行は 1 回 = 1 クレジットです。本レシピの消費量は次のとおりです。

処理消費クレジット (1 商談あたり)
Watch Events (トリガー)1
Router0 (分岐自体は消費しない)
Get an Event Invitee1
Google Sheets Add a Row1
Slack / LINE 通知1
合計約 4

月 100 件の商談でも約 400 クレジット。Core プランの 10,000 クレジットに対して 4% 程度で、枠を使い切る心配はまずありません。Make.com の費用より Calendly の席数の方がコストを支配する構造だと理解しておいてください。

費用の全体像が見えたところで、実際の設定手順に進みます。

設定手順 (50 分)

Make.com × Calendly 商談自動記録 50 分ロードマップ
0-5分
Step 1: Calendly の Zoom 連携をオンにする
Event Type の Location に Zoom を選択。ここは Make.com を使わない
5-10分
Step 2: Calendly を Standard 以上へ
webhook 利用の前提条件。無料プランのままだと次の手順で詰まる
10-20分
Step 3: 商談台帳 (Google Sheets) を作成
日時・顧客名・会社名・メール・Zoom URL・ステータスの 6 列を用意
20-30分
Step 4: Make.com で Watch Events トリガーを設置
Calendly 接続を作成し webhook を発行。created と canceled を購読
30-40分
Step 5: Router で新規 / キャンセルを分岐
新規は台帳追加 + 通知、キャンセルは台帳のステータス更新へ
40-50分
Step 6: テスト予約で通し確認 → 本番起動
自分で 1 件予約してキャンセルまで確認し、シナリオを ON に

Zoom 連携は Calendly 側で完結するため、Make.com 側の作業は記録と通知だけ

Step 1 詳細: Calendly の Zoom 連携 (Make.com を使わない部分)

Calendly のダッシュボードから対象の Event Type を開き、「What event is this?」 を展開して Location のドロップダウンから Zoom を選択し、Save & Close します。初回は Zoom アカウントとの接続許可を求められます。

これだけで、予約が入るたびに固有の Zoom URL が生成され、顧客への確認メールとカレンダー招待の両方に差し込まれます。この時点で「商談前の Zoom 準備」 は完全に終わっています。

Step 3 詳細: 商談台帳の列構成

Google Sheets で新規シート Meetings を作成します。

内容
event_uriCalendly のイベント識別子 (キャンセル時の照合用)https://api.calendly.com/scheduled_events/
start_time商談日時2026-07-24 14:00
name顧客氏名田中 花子
company会社名 (予約フォームの回答)株式会社サンプル
emailメールアドレスhanako@example.com
status予定 / 実施済 / キャンセル予定

event_uri 列が要です。キャンセル通知が来たときに、この値で行を特定してステータスを書き換えます。ここを省くと、キャンセル分岐が作れません。

Step 4 詳細: Watch Events トリガー

Make.com で新規シナリオを作成し、最初のモジュールに Calendly > Watch Events を選択します。このモジュールには instant タグが付いており、追加時に「create a webhook」 → 「create a connection」 の順で設定を求められます。

購読するイベントは 2 種類です。

Watch Events は Make.com の Calendly アプリで唯一のトリガーです。「予約の 30 分前に起動する」 といった時刻ベースの起動は用意されていません。事前リマインドを組みたい場合は、Calendly の標準リマインダー機能を使うか、Google Calendar を起点にした別シナリオを組んでください (この構成は Make.com の前日リマインド自動化レシピ で解説しています)。

Step 5 詳細: Router の分岐設定

Router モジュールを追加し、2 つのルートにフィルタを設定します。Make.com の式では、トリガーが返すイベント種別を参照します (本文では波括弧を避けて表記していますが、実際の画面ではマッピングパネルから項目をクリックして挿入します)。

[ルート A] 新規予約
  Filter: event = "invitee.created"

  Calendly > Get an Event Invitee
    Invitee URI: {{1.payload.uri}}

  Google Sheets > Add a Row
    event_uri:  {{1.payload.scheduled_event.uri}}
    start_time: {{formatDate(1.payload.scheduled_event.start_time; "YYYY-MM-DD HH:mm"; "Asia/Tokyo")}}
    name:       {{2.name}}
    company:    {{2.questions_and_answers[1].answer}}
    email:      {{2.email}}
    status:     予定

  Slack > Create a Message
    Text: "🗓 新規商談 {{2.name}} 様 ({{2.email}})
           日時: {{formatDate(1.payload.scheduled_event.start_time; "M/D HH:mm"; "Asia/Tokyo")}}
           Zoom URL は Calendly の確認メールに記載済みです。"

[ルート B] キャンセル
  Filter: event = "invitee.canceled"

  Google Sheets > Search Rows
    Filter: event_uri = {{1.payload.scheduled_event.uri}}

  Google Sheets > Update a Row
    status: キャンセル

  Slack > Create a Message
    Text: "❌ 商談キャンセル {{2.name}} 様 / 台帳を更新しました"

会社名や相談内容といった予約フォームの回答は questions_and_answers の配列に入ります。設問の並び順が配列の添字に対応するため、Calendly 側で設問を並べ替えると Make.com のマッピングが静かにズレます。設問を追加・削除したら、必ずテスト予約を 1 件通して台帳の中身を確認してください。

設定が終わったら、自分で 1 件テスト予約を入れ、そのままキャンセルまで実行して両ルートの動作を確認します。

編集部によるシミュレーション

以下は 編集部の試算 です。実際の効果は商談件数・現状の記録体制・チーム人数によって変動します。

前提: 営業担当 1 名、月 30 件の商談を Calendly で受け付けている中小企業を想定。人件費は時給 ¥2,500 換算。

導入前後の商談まわり業務 (編集部試算 / 月 30 件)
Before (手作業で台帳・共有)
  • 台帳への手入力: 月 2.0 時間 (30 件 × 4 分)
  • 社内への共有投稿: 月 1.0 時間 (30 件 × 2 分)
  • キャンセル反映・月末集計: 月 2.0 時間
  • 台帳の記入漏れ: 月 3-5 件
  • ツール費用: ¥0 (Calendly 無料プラン)
After (Make.com 自動記録)
  • 台帳への手入力: 0 時間 (自動)
  • 社内への共有投稿: 0 時間 (自動)
  • キャンセル反映・月末集計: 月 0.2 時間 (確認のみ)
  • 台帳の記入漏れ: 0 件
  • ツール費用: 約 ¥3,100 (Make.com + Calendly Standard)

削減 4.8 時間 × ¥2,500 = ¥12,000 相当 - ¥3,100 (ツール費用) = 月 ¥8,900 の改善

投資対効果 (ROI) を整理すると次のようになります。

ただし、この試算には注意点があります。商談件数が月 10 件を下回る事業者では、削減時間が 1.6 時間程度にとどまり、Calendly を有料化する ¥1,620 が相対的に重くなります。月 10 件未満なら手入力を続けた方が合理的なケースもある、というのが編集部の率直な見立てです。

Make.com で Zoom を発行すべき例外ケース

冒頭で「Zoom URL の発行に Make.com は不要」 と書きましたが、例外はあります。Make.com の Zoom アプリには Create a Meeting アクションがあり、次のようなケースでは使う価値があります。

  1. 予約者の属性で Zoom アカウントを使い分けたい: 新規商談は営業アカウント、既存顧客サポートはサポートアカウント、といった振り分けは Calendly 標準ではできません
  2. 会議の設定を強制したい: 自動録画オン、待機室オン、参加者のミュート開始などをミーティングごとに固定したい場合
  3. Calendly 以外の経路も混在する: 問い合わせフォームや電話からの予約も同じ Zoom 運用に乗せたい場合

Zoom Basic (無料) は 1 対 1 以外のミーティングが 40 分で切断されます。商談に同席者が加わった瞬間に 3 人以上となり 40 分制限の対象になるため、商談用途では Zoom Pro 以上への加入を前提に設計してください (Pro の会議時間上限は 30 時間)。「1 対 1 なら無料で無制限だから大丈夫」 と考えて設計すると、上長が同席した回だけ商談が途中で切れる事故が起きます。

これらに当てはまらないなら、Zoom は Calendly に任せるのが最短です。

よくある質問

Q: Calendly を有料にせずに Make.com と連携する方法はありますか

A: Watch Events トリガーは使えませんが、Calendly の API へのリクエスト自体は無料プランでも可能です。ただし「予約が入った瞬間に起動する」 ことはできず、Make.com のスケジュール実行で定期的に予約一覧を取りに行く形になります。実装が複雑になるうえ即時性も失われるため、Calendly Standard に上げた方が結果的に安上がりというのが編集部の判断です。

Q: Zoom URL を台帳に記録したい場合はどうしますか

A: Calendly が発行した Zoom URL は、Watch Events が返すデータの中に会議の場所情報として含まれています。Get an Event で取得したイベント情報の location を Google Sheets の Zoom URL 列にマッピングしてください。発行は Calendly、記録は Make.com という役割分担になります。

Q: Slack ではなく LINE や Chatwork でも組めますか

A: 組めます。Router 以降の通知モジュールを差し替えるだけで、シナリオの骨格は変わりません。LINE 公式アカウントを使う場合は、通知先が友だち登録済みである必要がある点にご注意ください。

Q: シナリオが動かないときはどこを見ますか

A: まず Make.com の History で実行履歴の有無を確認します。履歴自体がない場合は webhook が届いておらず、原因は Calendly のプラン (無料に戻っていないか) か接続の失効です。履歴はあるがエラーで止まっている場合は、Google Sheets の列名変更や、予約フォームの設問並べ替えによるマッピングのズレを疑ってください。

まとめ

Calendly と Zoom の連携で最も費用対効果が高い判断は、「Zoom URL の発行を自動化しないこと」 です。Calendly が全プラン無料で提供している機能に、月額を払って劣化版を作る必要はありません。

Make.com を使うべきなのは、Calendly が担当しない商談台帳・社内通知・キャンセル処理の領域です。この範囲に絞れば、シナリオは 1 本・設定は 50 分で済み、月 30 件規模の商談で月 5 時間近い事務作業が消えます。

一方で、Calendly Standard ($10/席/月) が前提条件になる点は正直に見積もってください。商談が月 10 件に満たない段階では、無料の Calendly と手入力の組み合わせが合理的な選択です。商談件数が月 20 件を超えて台帳の記入漏れが気になり始めたら、それが本レシピの導入タイミングです。

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出典・参考情報


Mira / AI経営ラボ 編集長

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