Make.com で Discord 監視→重要メッセージ自動転送 経営者の情報収集術

中小企業・個人事業主 (経営者の情報収集・社内コミュニケーション・コミュニティ運営) の業務自動化レシピ

業種: 中小企業・個人事業主 (経営者の情報収集・社内コミュニケーション・コミュニティ運営)

使用ツール: Make.com

難易度: ★★☆ 中

所要時間: 約 75 分

経営者の朝はメッセージの洪水で始まります。Discord で複数のコミュニティに入っている人ほど「全部追えない、でも重要案件は逃したくない」というジレンマを抱えがちです。Make.com で Discord を 24 時間監視し、重要メッセージだけ Slack・メール・LINE に転送すれば、月¥1,400 規模 (priceJpy=1400) の固定費で「拾いに行く」から「来たら反応する」運用に切り替えられます。

読了時間 約10分 / 設定所要時間 約75分 / 月額固定費 ¥1,400 から (priceJpy=1400)

編集長の見解 ── Discord は今や中小企業経営者の「ビジネスインフラ」になっています。クライアントとの連絡、業界コミュニティ、社内チャット、副業仲間 ── 複数サーバーに散らばる情報を一人で全部追うのは現実的ではありません。本レシピは「全件読む」発想を捨て、自分にとって重要なキーワード・人物・チャンネルだけを Make.com に監視させ、検知時にだけ通知する設計です。固定費 priceJpy=1400 (Make.com Core $9/月) で組めて、AI 分析にも繋ぎやすい構成にしてあります。

なぜ「Discord 監視 → 重要メッセージ自動転送」が経営者に必要か

中小企業経営者・個人事業主が Discord で情報を取り逃すパターンを編集部で整理すると次の通りです。

よくある失注/トラブル原因損失の目安
クライアントの「解約検討」発言を3日後に気付く雑談チャンネルに紛れて見逃し月額契約1件 = ¥30,000〜¥100,000 失注
業界コミュニティの「案件募集」を翌週確認通知オフで放置1案件 = ¥50,000〜¥500,000 機会損失
社内 Discord の「障害報告」を朝まで気付かない夜間通知をミュート顧客対応遅延・信用低下
「請求書送ってください」と DM で来たのに見逃しDM 通知が他に埋もれる入金1ヶ月遅延

これらの根本原因は「全件追う前提の運用」にあります。Make.com で「自分の名前」「会社名」「契約」「解約」「請求」「障害」など重要キーワードを辞書化し、検知時のみ Slack・メール・LINE で通知する設計に切り替えると、見逃しがほぼゼロになります。

編集部試算では、Discord を1日3回・各回15分追跡していた経営者が、Make.com 経由で「来た時だけ反応」運用に切り替えると 月 約12時間 の情報追跡時間圧縮になります (1日45分 × 20営業日 = 月15時間が、月3時間程度に圧縮)。時給¥3,000換算で 月¥36,000の人件費改善、Make.com の固定費 priceJpy=1400 を差し引いても 月¥34,600の手取り改善 が見込めます。

次に、編集部が実装した監視→転送フローの全体像を ProcessFlow で示します。

完成形のフロー (ProcessFlow)

Make.com Discord 監視→重要メッセージ自動転送
👀
01
Discord Bot で全サーバー監視
複数サーバーに同じ Bot を招待、Watch Messages で 5 分間隔ポーリング
📥
02
Make.com にイベント送信
メッセージ本文・投稿者・チャンネル・タイムスタンプを取得
🔍
03
キーワード/メンション/ユーザー判定
Router で「重要キーワード辞書」「@自分メンション」「VIP ユーザー発言」を分岐
04
重要度分類と要約
緊急/重要/参考に3段階分類、長文は ChatGPT で 100 字要約
📨
05
転送先振り分け
緊急→LINE/SMS、重要→Slack、参考→Gmail にラベル付きで自動転送

Discord 複数サーバーの発言を Bot で監視し、キーワード/メンション/特定ユーザー検知時のみ Slack・メール・LINE に転送する設計図

このフローの設計思想は「3 段階の優先度で通知先を変える」 ことです。緊急 (障害報告・解約宣言) は LINE で即通知、重要 (クライアントからの返信) は Slack、参考 (業界ニュース) は Gmail のラベル付きフォルダ ── と振り分けると、通知疲れを起こさず重要案件だけ反応できます。

続いて、用途別に「何を重要キーワードにすべきか」を比較表で整理します。

用途別 — 重要キーワード辞書の設計例

Make.com で監視する 重要キーワード辞書 は経営者の業種・立場で変わります。編集部が想定する3 タイプを比較表でまとめました。

経営者タイプ重要キーワード例監視サーバー例推奨通知先
個人事業主 (フリーランス)自分の名前 / 屋号 / 「案件」「募集」「契約」「請求」クライアント Discord、業界コミュニティSlack + Gmail
中小企業経営者 (社員 10-50名)社名 / 「障害」「クレーム」「解約」「炎上」社内 Discord、顧客サポート DiscordLINE + Slack
コミュニティ運営者「ルール違反」「通報」「退会」「返金」自社運営コミュニティLINE + Slack

辞書は 最初は 10〜20 語から始め、運用 1 ヶ月で調整するのがおすすめです。「自社名」「社長名」のように100% 拾いたい語は MUST 辞書に、「相談」「困った」のようにノイズ率が高い語は CAUTION 辞書に分けると Router 設計がシンプルになります。

重要キーワード辞書テンプレート (個人事業主向け)

[MUST]    # 検知したら即時通知 (緊急)
- {自分の屋号}
- {自分のフルネーム}
- 解約
- 解除
- 返金
- クレーム

[IMPORTANT]  # 検知したら通常通知 (重要)
- {自分のメールアドレス末尾、例: @example.com}
- {主要クライアント名 (複数)}
- 請求書
- 見積もり
- 納期
- 契約更新

[NICE_TO_KNOW]  # 検知したら参考通知 (Gmail ラベル付け)
- 案件
- 募集
- フリーランス
- 副業
- 業務委託

このキーワード辞書をベースに、Make.com 側のシナリオを 75 分で組み立てる手順を TimelineSteps で示します。

75分セットアップ・タイムライン (TimelineSteps)

Make.com Discord 監視→自動転送 0→稼働まで
0:00 - 0:10
Discord Bot 作成と監視対象サーバーへ招待
Discord Developer Portal で New Application → Bot を作成。Privileged Gateway Intents の「Message Content Intent」 をオン。OAuth2 URL Generator で scope=bot、Permissions=Read Messages / Read Message History を選び、監視したい全サーバーに招待。サーバー管理者権限がないサーバーには Bot を入れられないため、自分が管理者のサーバーまたは管理者の許可があるサーバーに限定。
0:10 - 0:15
Make.com アカウント開設と接続設定
make.com で Core プラン (月$9、約¥1,400、priceJpy=1400) に登録。Discord、Slack、Gmail、LINE Notify (LINE への通知用) を Connections に追加し、各 API トークンを保存。Make.com は 2025 年から課金単位を「オペレーション」から「クレジット」に変更しており、非 AI モジュールは 1 op = 1 クレジットの 1:1 換算です。
0:15 - 0:20
重要キーワード辞書を Google Sheets に作成
Google Sheets に「MUST / IMPORTANT / NICE_TO_KNOW」 の3列のキーワード表を作成。Make.com から Google Sheets モジュールで読み込んで Router 条件に使うと、辞書追加時に Make.com を編集せずに済みます。最初は 20 語前後で開始し、運用 1 ヶ月後に調整するのがおすすめです。
0:20 - 0:40
シナリオ#1 — Discord 監視 + キーワード判定
Trigger: Discord「Watch Messages」 (5分間隔、全サーバー対象) → Google Sheets「Search Rows」 でキーワード辞書を取得 → Tools「Text Parser」 で本文内のキーワードヒット判定 → Router で MUST / IMPORTANT / NICE_TO_KNOW に3分岐。判定ロジックは Python 不要、Make.com の Built-in Functions (contains, matches) で完結。
0:40 - 0:55
シナリオ#2 — 緊急通知ルート (LINE / SMS)
MUST 検知ルートの先に LINE Messaging API「Push Message」 を接続。本文に「【緊急】 {サーバー名} #{チャンネル} で {投稿者} が発言: {本文先頭100字}」 を整形してプッシュ通知。なお LINE Notify は 2025 年 3 月 31 日にサービス終了済みのため、後継の LINE Messaging API (公式 LINE 公式アカウント経由) または Pushover / Pushbullet などの代替プッシュ通知サービスを利用してください (詳細は出典セクション参照)。
0:55 - 1:05
シナリオ#3 — 重要/参考ルート (Slack / Gmail)
IMPORTANT ルート → Slack「Create a Message」 で #discord-alerts チャンネルに投稿。NICE_TO_KNOW ルート → Gmail「Send an Email」 で自分宛にラベル「Discord/参考」 付きメール送信。Gmail のフィルタで自動アーカイブにすると通知疲れも回避できます。
1:05 - 1:10
エラーハンドラと重複防止
Make.com の Error Handler で各モジュール失敗時に自分の Slack に「【警告】 シナリオ#X 失敗: 内容」 を通知。message_id を Data Store に保存して重複通知を防止 (同じメッセージで複数キーワードがヒットしても通知は1回に)。Resume を 3 回まで自動リトライに設定。
1:10 - 1:15
テスト運用 + 1週間モニタリング
テスト用に自分の Discord アカウントから各キーワードを含む発言を投稿し、各通知ルートが正しく発火するか確認。最初の1週間は「拾い漏れ」「ノイズ通知」 を毎日メモし、辞書を調整。ノイズが多い語は CAUTION → 削除、拾い漏れた語は MUST に昇格、というサイクルで運用します。

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次は、料金とメッセージ量の関係を編集部試算で具体的に示します。

編集部のシミュレーション — 料金と運用ボリューム

以下は 編集部による試算 です。実際のコストは監視するサーバー数・メッセージ量・キーワード辞書サイズで変動します。前提: 3 サーバーを監視、平均 1 日 300 メッセージ流入、キーワードヒット率 5% (1日15件通知) の中小企業経営者を想定。為替は $1 = ¥150 で換算 (2026 年 5 月時点の編集部参照値、契約時の実レートで再計算してください)。

項目想定値月額換算
Make.com クレジット消費シナリオ#1 (6モジュール × 300件 × 30日)約54,000 クレジット/月
シナリオ#2 (4モジュール × 5件 × 30日 緊急)約 600 クレジット/月
シナリオ#3 (3モジュール × 10件 × 30日 重要+参考)約 900 クレジット/月
合計クレジット約55,500 クレジット/月 (Core 1万枠では不足)
Make.com Core プラン$9/月、約¥1,400 (priceJpy=1400)¥1,400 (10,000 クレジット込)
Make.com Pro プラン (推奨)$16/月、約¥2,400 (priceJpy=2400)¥2,400 (10,000 + クレジット課金)
追加クレジット (45,500 × $0.003 換算)約¥21,000
Google Sheets無料¥0
Slack Free無料¥0
Gmail無料¥0
LINE Messaging API (Free 枠 200 通/月)緊急通知用¥0
合計固定費 (Coreで運用可能な範囲)監視 1 サーバー / 1日100件以下¥1,400 (priceJpy=1400)
合計固定費 (3 サーバー監視 / 1日300件)クレジット課金込み¥1,400 - ¥23,400

監視対象を 1 サーバー・1日100件以下 に絞れば Core プラン (priceJpy=1400) の1万クレジット枠で収まります。3サーバー以上を監視する場合、編集部としては 「キーワード判定を先に行い、ヒットしたメッセージだけを後続モジュールに流す」設計を強く推奨します。Router の前に Filter を入れて非該当メッセージは早期切断 (Skip) すると、クレジット消費を 1/5 以下に圧縮可能です。

加えて、AI 要約 (シナリオ#1 の長文判定で ChatGPT モジュールを使う場合) は AI 専用クレジット枠を別途消費するため、編集部としては「100 字以上のメッセージのみ要約」 のような条件付き分岐を推奨します。

ここまでは順調な運用前提です。続いて、編集部が踏みやすい落とし穴を共有します。

失敗パターン — 編集部が踏んだ罠と回避策

失敗パターン1: 通知が多すぎて結局見なくなる (通知疲れ)
キーワード辞書を 50 語以上にすると、1日 50 件以上の通知が来て LINE が鳴りっぱなしになります。対策は 「MUST は 10 語以内」 のルールです。「自分の名前」「主要クライアント名」「契約・解約・解除」 程度に絞ると、緊急通知は 1日 1-3 件に収まり、通知の信頼性が保たれます。NICE_TO_KNOW は Gmail のアーカイブ送りでサイレント運用を。

失敗パターン2: クレジット消費が予想の 3 倍で月末に追加課金
Make.com の Watch Messages は「メッセージ取得時点」 で 1 クレジット消費するため、ノイズ多いサーバーを監視するとクレジットが急増します。対策は (1) Watch Messages の Filter で「Bot 発言は除外」「特定ユーザーのみ」 など条件を絞る、(2) Router 前に Filter を必ず置いて非該当メッセージを即 Skip、(3) Make.com の Usage Dashboard を毎週確認、の3点。

失敗パターン3: Bot を入れたサーバーで「監視されている」 問題に発展
他人が運営する Discord サーバーに「自分の業務効率化」 目的で Bot を入れると、コミュニティ規約違反になる可能性があります。対策は サーバー管理者に必ず事前承認を取り、Bot の用途 (キーワード監視・自分への通知転送のみ) を明示すること。他参加者のプライバシーに関わる発言はキーワードヒットしても通知しない設計にする (ブラックリスト辞書) と更に安全。

編集部のヒント1: 重要キーワード辞書は 半年に1回見直す のがおすすめです。クライアントが入れ替わる、新規プロジェクトが始まる、業界用語が変わる ── これらに合わせて辞書を更新しないとヒット率が下がります。Google Sheets で管理する利点はここで、Make.com を触らずに辞書だけ追記/削除できる点にあります。

編集部のヒント2: 月末に Make.com のシナリオ実行ログを ChatGPT (大規模言語モデル / LLM) に渡すと「先月の重要通知 50 件の中で、実際にアクションした件数と内容」 を分析できます。「アクション率が 10% 以下のキーワードは辞書から削除」 という改善サイクルが回り、辞書が育っていく感覚を持てます。

最後に、規約まわりで気をつけるべき点を整理しておきます。

規約・運用上の注意

Discord 利用規約とプライバシー

Discord の Developer Terms of Service では、Bot が取得したメッセージを 保存・分析する場合は利用者に通知する義務 が明記されています。サーバー管理者の許可を取り、Bot 用途と通知範囲を Discord の #rules チャンネル等に明記してください。他人のサーバーに無断で監視 Bot を入れる行為は規約違反の可能性が高く、最悪 Bot アカウントが BAN されます。

個人情報保護法 (改正法)

Discord 上の発言にクライアント情報・顧客個人情報が混入し、それを Slack / Gmail / LINE に転送すると、改正個人情報保護法 (2022年4月施行) の第三者提供規定に抵触する場合があります。プライバシーポリシーに「業務効率化のためクラウドサービス (Make.com、Slack、LINE 等) で情報を取り扱う」 旨を記載し、必要なら本人同意を取ってください。

Make.com の通信暗号化と API トークン管理

Make.com は通信を TLS 1.2 以上で暗号化し、API トークンは暗号化保存されます。とはいえ、Discord Bot トークン・Slack トークン・Gmail OAuth トークンを共有 PC で運用しないこと、退職者が出たら全トークンを再発行すること、は経営者の基本責任です。

LINE Notify 終了に関する注意

LINE Notify は 2025 年 3 月 31 日にサービス終了済みのため、緊急通知ルートは LINE Messaging API (公式 LINE 公式アカウント経由) または Pushover / Pushbullet などの代替プッシュ通知サービスへ切り替えてください。詳細は本記事末尾の出典セクションをご確認ください。

よくある質問

Q1. Discord Webhook ではなく Bot を使う理由は?

Webhook は送信専用で、受信イベントは取れません。本レシピは「他人の発言を監視する」 用途なので Bot 必須 です。Bot を作るのは Discord Developer Portal で 5 分で済みます。

Q2. Slack を社内で使っているのに、なぜ Discord 監視が必要ですか?

クライアントの一部・業界コミュニティ・副業仲間が Discord を使っているケースが多いためです。社内 Slack だけで完結する組織なら本レシピは不要ですが、複数 Discord に入っている経営者には大きな効果があります。

Q3. ChatGPT 連携は必須ですか?

必須ではありません。長文メッセージを 100 字に要約したい場合のみ ChatGPT モジュールを追加してください。コスト面で AI クレジット消費を増やしたくない場合は、テキスト先頭 100 字をそのまま転送する設計で十分機能します。

Q4. 完全無料で構築できますか?

Make.com Free プラン (月1,000クレジット) では 1 サーバー監視がギリギリ可能です。本格運用には Core プラン ($9/月、priceJpy=1400) が必要です。Discord・Slack・Gmail は無料で開始できます。

出典・参考情報

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関連レシピ


Mira / AI経営ラボ 編集長

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Mira / AI経営ラボ 編集長

最終更新: 2026年5月23日 / 初出: 2026年5月23日