業務自動化

Make.comでChatGPT連携 スプレッドシートのデータ分類を自動化

EC・士業・サービス業・個人事業主 (スプレッドシートに問い合わせやアンケートを溜めている小規模事業者) の業務自動化レシピ
業種EC・士業・サービス業・個人事業主 (スプレッドシートに問い合わせやアンケートを溜めている小規模事業者)
ツールMake.com
難易度★★☆ 中
設定時間約 60 分

「スプレッドシートに問い合わせやアンケートが溜まるけれど、仕分けが追いつかない」── 小規模事業者に頻発する悩みです。Make.com と ChatGPT (OpenAI API) をつなげば、各行のテキストを読んで「クレーム/質問/要望」 などへ自動分類し、結果をシートに書き戻せます。本記事は60分で組める設計レシピです。

読了時間 約9分 / 設定所要時間 約60分 / 月額固定費 ¥0 から (従量課金 月 数百円規模の試算)

編集長の見解 ── データ分類の自動化で最初につまずくのは、「全行を毎回 AI に投げる」設計 です。これだと処理済みの行まで繰り返し ChatGPT に送られ、従量課金が無駄に膨らみます。本レシピは「分類列が空の行だけ」 を Make の Filter で絞り込み、結果を書き戻して二度処理しない設計を必ず入れます。スプレッドシートを「正本」 として使い続けながら、面倒な仕分けだけを AI に肩代わりさせる ── これが、月 数百円規模で回せる現実的なデータ分類の肝です。

なぜスプレッドシートの「手仕分け」は溜まるのか

スプレッドシートでの記録は手軽な一方で、「人が一行ずつ読んで分類しないと整理されない」 という弱点があります。問い合わせフォームやアンケートの回答が増えるほど、仕分けが後回しになり、対応の優先順位を見失いがちです。

課題1件あたり所要週の換算 (週100件)
本文を読んで内容を把握約40秒週 約1.1時間
カテゴリを判断して入力約30秒週 約0.8時間
緊急度・担当の振り分け約20秒週 約0.6時間
合計約90秒週 約2.5時間

クラウドサービス (SaaS) の Make.com と ChatGPT を組み合わせると、最初の2工程 (内容把握とカテゴリ判断) を AI に任せられます。担当者が行うのは「自動分類された結果を眺めて、明らかな誤りだけ直す」 こと。週約2.5時間の仕分け作業が、編集部試算で週約0.5時間まで圧縮できます。

次のセクションでは、編集部が想定した全体の流れを ProcessFlow で示します。

完成形のフロー (ProcessFlow)

Make.com × ChatGPT スプレッドシート自動分類レシピ
📄
01
スプレッドシート読み取り
Make の Schedule トリガーで定期起動し、Google Sheets の「Search Rows」 で対象シートの行を取得します。
🔍
02
未分類の行だけ抽出
「分類列が空」 の Filter を挟み、まだ処理していない行だけを後続へ流します。これが課金を抑える要です。
🤖
03
ChatGPT で分類
OpenAI モジュールに本文を渡し、「次のいずれかで答えて: クレーム / 質問 / 要望 / その他」 と指示してカテゴリを返させます。
📝
04
結果をシートへ書き戻し
Google Sheets の「Update a Row」 で、その行の分類列に ChatGPT の回答を書き込みます。これで二度処理されません。
05
人が結果を確認
担当者は分類済みの一覧を眺め、明らかな誤分類だけ手で直します。優先対応すべき「クレーム」 をすぐ拾えます。

シート読み取り → 未分類行を抽出 → ChatGPT で分類 → 結果をシートへ書き戻し、までを自動化する設計図

このフローの肝は、ステップ02の「未分類の行だけ抽出」 と、ステップ04の「結果の書き戻し」 がセットになっている点です。次のセクションで、必要なツールとコストを整理します。

必要なツールと月額コストの目安

導入に必要なのは3つのサービスだけで、いずれも小規模事業者が用意できる範囲です。料金は変動するため、契約前に必ず各公式ページで最新の金額を確認してください。

ツール役割コストの目安 (編集部調べ)
Make.com自動化の司令塔 (ノーコード)無料プランは月1,000クレジット・¥0。有料は Core が月 $9 から
OpenAI API (ChatGPT)テキストの分類エンジン従量課金。低コストモデルで月 数百円規模の試算 (処理件数による)
Google スプレッドシートデータの保管・正本個人 Google アカウントの無料枠で利用可

💡 編集部のコスト試算 ── OpenAI の低コストモデル「gpt-5.4-nano」 は入力 100万トークンあたり $0.20、出力 100万トークンあたり $1.25 です (2026年6月時点・公式価格ページ)。問い合わせ1件の分類はおおよそ数百トークンで収まるため、月1,000件処理しても API 費用は数百円規模に収まる、というのが編集部のシミュレーションです。Make 側も無料プランの月1,000クレジットで小規模なら足ります。

無料枠で始め、処理件数が増えてから有料プランへ上げる、という段階導入が現実的です。次は実際の設定手順を時系列で示します。

セットアップ手順 (TimelineSteps)

Make.com × ChatGPT × Google スプレッドシート セットアップ
00:00 - 00:10
分類用スプレッドシートを準備
対象シートの1行目に 本文 / 分類 / 処理日時 の見出しを用意します。「分類」 列が空かどうかを Make が判定の目印にします。
00:10 - 00:20
OpenAI の API キーを取得
OpenAI のダッシュボードで API キーを発行し、安全に控えます。キーは Make の接続設定にだけ貼り、シートや本文には絶対に書かないでください。
00:20 - 00:35
Make シナリオでシート読み取りを追加
Make で新規シナリオを作り、Schedule トリガーと Google Sheets の「Search Rows」 モジュールを配置。対象シートの行を取得します。
00:35 - 00:50
Filter と OpenAI モジュールを接続
「分類列が空」 の Filter を挟み、OpenAI モジュールへ本文を渡します。プロンプトは後述の例を使い、カテゴリ名だけを返させます。
00:50 - 01:00
書き戻しとテスト実行
Google Sheets の「Update a Row」 で分類結果を書き込み、Run once で1行テスト。問題なければ実行間隔 (1時間ごと等) を設定して稼働開始です。

初日60分で稼働開始できる順序。シート準備 → OpenAI 接続 → Make シナリオ接続の3ブロック構成

手順の中で最も差がつくのが、ステップ00:35で ChatGPT に渡す指示文 (プロンプト) です。次のセクションで、誤分類を減らす書き方のコツを共有します。

ChatGPT へ渡すプロンプトのコツ

分類のブレを抑えるには、AI に「選択肢を固定して、その中から1つだけ選ばせる」 のが鉄則です。自由記述させると表記がばらつき、後の集計が難しくなります。

編集部メモ ── 分類結果の精度に不安があるうちは、「分類」 列の隣に「確信度 (高/中/低)」 も同時に返させる方法が有効です。確信度が「低」 の行だけ人が重点確認すれば、全件を見直す手間なく品質を担保できます。完璧な自動化を狙うより、人と AI の役割分担を先に決めるのが成功の近道です。

応用として、分類だけでなく「緊急度の判定」 や「短い要約の生成」 を同じシナリオに追加することもできます。同じ仕組みを問い合わせメールに広げたい場合は、Make.com×ChatGPT カスタマーサポート自動返信 も参考になります。次は導入前後の変化を整理します。

導入前後の変化 (編集部の試算)

導入前後の業務指標 (編集部の試算)
Before (手動の目視分類)
  • 仕分け工数: 週 約2.5時間
  • カテゴリ表記のブレ: 人により発生
  • 緊急案件の発見: 見落としあり
  • 集計のしやすさ: 都度手作業
After (Make × ChatGPT 自動分類)
  • 仕分け工数: 週 約0.5時間 (-2.0h)
  • カテゴリ表記のブレ: 統一 (候補固定)
  • 緊急案件の発見: 分類列で即座に抽出
  • 集計のしやすさ: フィルタで即集計

週 約2時間削減 = 時給 ¥2,000 換算で週 ¥4,000、月 約¥16,000 の人件費圧縮 + 緊急案件の取りこぼし低減

数値はあくまで編集部のシミュレーションであり、処理件数や本文の長さで増減します。とはいえ「人が読んで仕分けする時間」 をまるごと減らせる効果は、件数が多い事業者ほど大きくなります。次に、導入時に必ず押さえたい失敗パターンを挙げます。

編集部の警告: つまずきやすい3つの罠

⚠️ 罠1: 無限ループで API 費用が膨らむ ── 「未分類の行だけ」 の Filter を入れ忘れると、毎回全行が ChatGPT に送られ、従量課金が想定外に膨らみます。必ず「分類列が空」 の条件で絞り、処理後は結果を書き戻して二度処理させない設計にしてください。

⚠️ 罠2: API キーの漏えい ── OpenAI の API キーは、Make の接続設定の中だけに保存します。スプレッドシートのセルや記事・スクリーンショットに貼ると、第三者に使われて課金される恐れがあります。万一公開してしまったら、すぐにキーを無効化して再発行してください。

⚠️ 罠3: 分類カテゴリが想定外に増える ── プロンプトで候補を固定しないと、AI が「苦情」「クレーム」「不満」 など似た言葉を別々に返し、集計が崩れます。候補を列挙し「この中の1語だけで答えて」 と指示し、想定外の語が混じったら人が直す運用にしましょう。

これらは設計段階で防げるものばかりです。同じ Make を使った別レシピは Make.comでスプレッドシート更新→LINE自動通知 も合わせてご覧ください。最後によくある質問に答えます。

よくある質問

Q. プログラミングの知識は必要ですか? いいえ。Make.com はノーコードで、モジュールを線でつなぐ操作が中心です。難しいのは「分類列が空の行だけ流す」 という条件設定くらいで、本記事の手順通りに進めれば組めます。

Q. ChatGPT の Plus 契約 (月額) が必要ですか? いいえ。今回使うのは Web 版の ChatGPT ではなく OpenAI の API です。API は使った分だけの従量課金で、月額固定の Plus 契約とは別物です。少量なら月 数百円規模で済みます。

Q. 分類が間違っていたらどうなりますか? 分類結果はシートの列に残るので、人がいつでも上書き修正できます。確信度を一緒に返させて「低」 の行だけ確認する運用にすれば、全件チェックの手間なく品質を保てます。社内ツールへの連携例は Make.comでスプレッドシート→Slack通知 も参考になります。

💡 はじめ方 ── まずは Make の無料プランで小さく試すのがおすすめです。手元の問い合わせシートを10件ほど用意し、本記事の手順で分類が回るかを確認してから、件数を増やしていきましょう。

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出典・参考情報


Mira / AI経営ラボ 編集長

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