65歳超雇用推進助成金 2026 — 定年延長で最大240万円、AIで申請準備を90分に短縮
「70歳まで働ける会社」への転換を後押しする65歳超雇用推進助成金は、定年延長・継続雇用制度の導入・有期雇用者の無期転換に応じて最大240万円を助成します。「制度はなんとなく知っているが、3つのコースのどれから手をつければいいか分からない」という経営者向けに、編集部は就業規則の改定案から3コースの組み合わせ判断までをAIで約90分に圧縮する手順を実機検証しました。最終確認は社会保険労務士に依頼する前提です。
この記事のポイント
- 3つのコース: 65歳超継続雇用促進コース(定年延長・定年廃止・継続雇用制度導入)、高年齢者評価制度等雇用管理改善コース(賃金・評価制度の整備)、高年齢者無期雇用転換コース(有期雇用者の無期転換)
- 最大金額: 定年の定めを廃止し、対象となる被保険者が10人以上いる場合が最高額の240万円(65歳超継続雇用促進コース)
- 見落としやすい基準: 支給額表の「対象被保険者数」は全従業員数ではなく、60歳以上で1年以上継続雇用されている雇用保険被保険者の数
- AI活用で削減できる時間: 3コースの制度整理・就業規則改定案・計画書ドラフトで従来20〜30時間かかっていた工程を、編集部の試算で約90分まで圧縮
- 使うAIツール: ChatGPT Plus(簡易)/ Claude Code(スキル化)/ Codex CLI(本格)の3パターン
- 社労士相談タイミング: AIで就業規則改定案と計画書が仕上がった後、労働基準監督署への届出・JEEDへの申請の1週間前
編集長の見解: この助成金でつまずきやすい理由は、金額表の複雑さよりも3コースの申請タイミングの向きが逆であることです。65歳超継続雇用促進コースは「制度を実施してから事後申請」する一方、高年齢者評価制度等雇用管理改善コースと高年齢者無期雇用転換コースは「計画を先に認定してもらってから実施」しないと対象になりません。順序を間違えると受給の道が閉じてしまう。ここは条件を整理し、抜けのないタイムラインを組み立てるというAIが最も得意な作業そのものです。一方で、就業規則の最終的な適法性判断や、対象者基準の労使協議は人間と専門家の領域。AIに地図づくりと下書きを任せ、経営者はその確認と現場への説明に時間を使うのが2026年の合理的な進め方です。
65歳超雇用推進助成金とは — 3コースの全体像
65歳超雇用推進助成金は、高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働ける環境を整えた事業主を支援する制度です(JEED 65歳超雇用推進助成金)。厚生労働省が制度を所管し、実際の審査・支給はJEED(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)の都道府県支部が行います。
| コース | 対象となる取組み | 支給額の目安 |
|---|---|---|
| ①65歳超継続雇用促進コース | 定年の引上げ、定年の定めの廃止、66歳以上への継続雇用制度の導入、他社による継続雇用制度の導入 | 15万円〜240万円 |
| ②高年齢者評価制度等雇用管理改善コース | 高年齢者向けの賃金・人事処遇制度、労働時間制度、健康管理制度等の導入・改善 | 23万円〜60万円+機器導入上乗せ |
| ③高年齢者無期雇用転換コース | 50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換 | 1人30万円〜40万円(年10人まで) |
出典はJEED「65歳超雇用推進助成金 制度のご案内(令和8年度)」です。3コースに共通する対象事業主の要件は、雇用保険適用事業所であること、審査に必要な書類を整備・保管し調査に協力すること、そして高年齢者雇用安定法第8条(60歳以上の定年)または第9条第1項(65歳までの雇用確保措置)と異なる定めをしていないことです。つまり、65歳までの雇用確保をすでに満たしている会社が、そこからさらに一歩進む際に使える制度、という位置づけです。
ここで見落とされやすいのが、「65歳への定年引上げ」そのものも支給対象になるという点です。手引きは対象を「旧定年年齢を上回る65歳以上への定年の引上げ(旧定年年齢が70歳未満のものに限る)」と定めています(JEED 支給申請の手引き)。たとえば「定年60歳・継続雇用で65歳まで」という一般的な形の会社が、定年そのものを65歳に引き上げた場合も、対象被保険者数に応じて15万円〜30万円の対象です。「66歳以上にしないと使えない」と思い込んで検討から外してしまわないようご注意ください。
編集部メモ: なぜ「対象者基準」という言葉が出てくるのか
継続雇用制度には「希望者全員」を対象とするものと、労使協定で定めた基準(勤務成績・健康状態など)に該当した人だけを対象とする「対象者基準」のものがあります。65歳までの雇用確保では原則「希望者全員」が求められますが、66歳以上の制度では対象者基準の設定が認められており、その場合は支給額が「希望者全員」より低く設定されています。自社の継続雇用制度がどちらに当たるか、就業規則で確認してください。
続いて、本記事の主題であるAI活用の申請準備フローに入ります。
【本題】AIで申請準備を約90分・8割まで進める手順
編集部のテクノロジー検証担当Yukiが3パターンのAI活用フローを準備しました。利用環境に応じて選んでください。
全体フロー(どのツールでも共通)
現状の棚卸しから就業規則改定・計画書ドラフトまでの全体像(Step 1〜4 で合計 約90分、その後 社労士レビュー 約1週間)
それでは、Step 2〜4で使う3パターンのAI手順を順に紹介します。
パターンA: ChatGPT Plus単体で進める(初めての方向け・推奨)
65歳超雇用推進助成金は書類の量より3コースの申請タイミングの向きの違いが難しい領域なので、対話しながら詰められるChatGPTのPlusプラン(有料)が最もコスパよく使えます。
3ステップで進める:
- 新しいチャットを開き、JEED「制度のご案内(令和8年度)」PDFを添付アイコンからアップロード
- 以下の指示文を入力(山カッコの部分を自社情報に置換)
私は中小企業の経営者で、添付資料をもとに65歳超雇用推進助成金の申請準備をしようとしています。
【会社概要】<例: 従業員35名の運送業、うちパート8名>
【現在の定年制度】<例: 定年60歳、希望者全員65歳まで継続雇用>
【想定する変更】<例: 定年を65歳に引上げ、66歳以降は対象者基準で70歳まで継続雇用できる制度を新設>
【対象被保険者数】<例: 60歳以上で1年以上継続雇用中の被保険者が5名>
【評価制度・無期転換の検討】<例: 定年後の再雇用者向けに賃金制度を見直したい。パート2名を無期転換したい>
以下を順に出力してください。
1. コース選定表: 私の条件で使える65歳超雇用推進助成金の3コースを整理し、優先順位と申請順序を示す
2. タイムライン: 就業規則改定の施行日を X 日目として、65歳超継続雇用促進コースの支給申請期限、
評価制度等コース・無期転換コースの計画申請期限をそれぞれ日数で示す
3. 就業規則改定案ドラフト: 定年年齢・継続雇用制度・対象者基準に関する条文を1,000字程度
4. 差し戻されやすいポイントと対策を8項目
添付資料の「対象被保険者数」の定義(60歳以上・1年以上継続雇用の被保険者)をそのまま使ってください。
複数の措置を実施しても支給額はいずれか高い額のみである点も踏まえ、断定的な金額の記載は避けてください。
- 対話を2〜3ターン繰り返し、対象者基準の内容や無期転換の対象人数を自社の実情に合わせて詰める。完成したら社労士レビューへ
編集部メモ: 「Custom GPT」に上記の指示を登録しておけば、複数年度にわたって定年延長を段階的に進める会社でも同じプロンプトを打ち直さずに済みます。「65歳超雇用推進 申請準備アシスタント」という名前で保存しておくのがおすすめです。
パターンB: Claude Codeでスキル化する(複数コースを段階的に使う事業所向け)
Claude Code では SKILL.md というファイルを用意しておくと、/koureisha-koyou-prep のようなコマンドとして何度でも呼び出せます。定年延長を数年おきに段階的に進める会社や、複数の顧問先を持つ社労士事務所が使う場合に効率的です。
~/.claude/skills/koureisha-koyou-prep/SKILL.md に以下を保存します。
---
name: koureisha-koyou-prep
description: 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース・高年齢者無期雇用転換コース)の申請準備一式を作成する。現在の定年・継続雇用制度、被保険者数、想定する制度変更、対象となる有期契約労働者の有無を引数で渡す。
allowed-tools: WebFetch, Bash(curl *)
---
# 65歳超雇用推進助成金 申請準備スキル
ユーザーから受け取った情報: $ARGUMENTS
## 手順
1. 以下の公式情報を WebFetch で取得して前提を揃える
- JEED 65歳超継続雇用促進コース: https://www.jeed.go.jp/elderly/subsidy/subsidy_keizoku.html
- JEED 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース: https://www.jeed.go.jp/elderly/subsidy/subsidy_hyouka.html
- JEED 高年齢者無期雇用転換コース: https://www.jeed.go.jp/elderly/subsidy/subsidy_muki.html
2. 引数情報から以下4種類のファイルを順に作成する
- course-map.md 3コースのうち自社が使える組み合わせと優先順位
- kisoku-kaitei.md 就業規則改定案(定年年齢・継続雇用制度・無期転換制度の該当箇所)
- seibi-keikaku.md 雇用管理整備計画書または無期雇用転換計画書のドラフト
- timeline.md 各コースの計画申請・支給申請の期限タイムライン
## 出力時の注意
- 65歳超継続雇用促進コースの支給額は「定年引上げ・定年廃止」と「継続雇用制度導入」で
表が異なり、さらに対象被保険者数(1〜3人/4〜6人/7〜9人/10人以上)で変わる。
自社の対象被保険者数(60歳以上・1年以上継続雇用の被保険者数)を必ず確認してから出力する。
- 複数の措置を同時に実施した場合、支給額はいずれか高い額のみで、合算されない点を必ず明記する。
- 高年齢者評価制度等雇用管理改善コースと高年齢者無期雇用転換コースは「計画認定 → 実施 → 支給申請」
の順で、計画の開始日の6か月前から3か月前までに計画書を提出する必要がある。
実施してから計画を出しても対象にならない点を必ず警告する。
- 高年齢者無期雇用転換コースは対象者が「50歳以上かつ定年年齢未満」「有期契約の通算期間が
転換日において1年以上5年以内」に限定される。60歳以上の高年齢者だけが対象という誤解を防ぐため、
年齢要件を必ず正確に出力する。
- 支給額・支給要件・申請期限は年度で変わる。出力の末尾に「最新の令和8年度の手引きで金額と
要件を必ず確認してください」という注記を必ず入れる。
- 断定表現(必ず支給される/確実に受給できる等)は使わない。
- 末尾に社会保険労務士へのレビュー推奨の一文を入れる。
使い方はClaude Code起動後に以下を実行するだけです。
/koureisha-koyou-prep 従業員35名の運送業。定年60歳・希望者全員65歳まで継続雇用中。
定年を65歳へ引上げ、66歳以降は対象者基準で70歳まで継続雇用したい。
対象被保険者(60歳以上・1年以上継続雇用)は5名。パート2名の無期転換も検討中。
注意: allowed-tools は信頼できるツールだけに絞ってください。ここで与えた権限はスキルを起動したそのやりとりの間だけ有効で、次のメッセージを送ると解除されます。プロジェクト内に置く場合は .claude/skills/koureisha-koyou-prep/SKILL.md という配置になり、ワークスペースの信頼確認を承認してから有効になります。
パターンC: Codex CLIの/goalコマンドで一気に進める(本格派向け)
Codex CLI はOpenAIの公式エージェント型コマンドラインツールです。複数拠点で段階的に定年延長を進める会社や、人事システムとの連携まで視野に入れている会社向けです。編集部が動作を確認したのはcodex-cli 0.146.0-alpha.3.1(ChatGPTデスクトップアプリに同梱される先行版)で、下記のインストール手順で入る2026年7月29日時点の公開版はnpm・Homebrewともに0.146.0でした。更新の頻度が高いツールのため、codex --versionで違う数字が出ても異常ではありません。バージョンによって画面表示が変わることがあります。
インストール(macOS / Linux / Windows共通):
# npm経由(推奨)
npm i -g @openai/codex
# Homebrew(macOS)
brew install --cask codex
# バージョン確認
codex --version
# 起動
codex
起動後、まず1ターン会話してセッションを開始してから、以下を/goalの引数として貼り付けます。
/goal 65歳超雇用推進助成金の申請準備一式を作成してください。
【会社概要】<例: 従業員35名の運送業、うちパート8名>
【現在の定年制度】<例: 定年60歳、希望者全員65歳まで継続雇用>
【想定する変更】<例: 定年を65歳に引上げ、66歳以降は対象者基準で70歳まで継続雇用できる制度を新設>
【対象被保険者数】<例: 60歳以上で1年以上継続雇用中の被保険者が5名>
【評価制度・無期転換の検討】<例: 定年後の再雇用者向けに賃金制度を見直したい。パート2名を無期転換したい>
【公式情報源】
JEED 65歳超雇用推進助成金 制度のご案内(令和8年度): https://www.jeed.go.jp/elderly/subsidy/om5ru80000002trp-att/f41obh0000005mjd.pdf
以下の4ファイルを順に出力してください。
1. course-map.md 使えるコースと申請順序(3コースの組み合わせと優先順位)
2. timeline.md 就業規則改定の施行日を起点にした各申請期限のタイムライン
3. kisoku-kaitei.md 就業規則改定案(定年年齢・継続雇用制度・対象者基準の条文、1,000字程度)
4. seibi-keikaku.md 雇用管理整備計画書または無期雇用転換計画書のドラフト
対象被保険者数は60歳以上・1年以上継続雇用の被保険者数として扱い、複数措置は合算されない前提で出力してください。
使いこなしのコツ: /goal は起動直後には設定できず、セッションが始まってから有効になります。設定後は /goal edit で目標の修正、/goal pause で中断、/goal resume で再開、/goal clear で解除ができます(編集部が 0.146.0-alpha.3.1 で確認)。定年延長を数年おきの段階施行にする場合、最初からやり直さず /goal edit で書き換えるのが早道です。
3パターンのAI手順を確認したら、次は「どこまで自分でやり、どこから専門家に渡すか」の判断基準です。
自分でやる vs 社労士に相談 — 編集部の判断基準
| 工程 | AIでやるべき | 専門家に依頼すべき | 編集部の評価 |
|---|---|---|---|
| 公式資料の読み込み・要点整理 | ◯ AIが得意 | △ 時間単価が高い | AI推奨 |
| 3コースの組み合わせと申請順序の設計 | ◯ AIで素案 | ◯ 妥当性の確認 | AI + 社労士 |
| 就業規則改定案の条文ドラフト | ◯ AIでたたき台 | ◯ 適法性の最終判断 | AI + 社労士必須 |
| 対象者基準の内容設計 | △ 選択肢の提示まで | ◯ 労使協議が必要 | 経営者 + 労働者代表 |
| 計画書のドラフト作成 | ◯ AIで生成 | △ 工数の無駄 | AI推奨 |
| 労働基準監督署への就業規則届出 | × 窓口対応が必須 | ◯ 社労士が代行可 | 社労士推奨 |
| JEED都道府県支部への計画申請・支給申請 | △ 書類の下書きまで | ◯ 事前相談が望ましい | 専門家 + JEED |
編集部の結論: AIで8割詰めた就業規則改定案とタイムラインを持参して社労士を2〜3時間使うのが最もコスパが良いと編集部は判断します。ゼロから丸投げすると¥8〜15万円の費用が発生し、自分だけでやり切ろうとすると20〜30時間の機会損失が生まれます。具体的な就業規則の適法性判断や申請手続きは、社会保険労務士など専門家にご相談ください。
失敗しやすいポイントを押さえておきましょう。
注意点と見落としやすいポイント(必読)
1. 予算の上限に達すると、予告なく受付が止まることがある: これは制度そのものの構造上のリスクで、準備を始める前に必ず知っておくべき点です。JEEDの支給申請の手引きは冒頭の留意事項で、この助成金が国の予算の範囲内で支給されるものであり、四半期ごとの予算額上限の超過が予見される場合等には、予告なく支給申請の受付を停止する場合があると明記しています(JEED 支給申請の手引き)。就業規則の改定は簡単には元に戻せません。助成金の受給を前提に定年延長を決める場合は、着手前と申請直前の2回、JEED公式サイトの「申請に関する重要なお知らせ」と都道府県支部への問い合わせで受付状況を確認してください。
2. 「対象被保険者数」は全従業員数ではない: 65歳超継続雇用促進コースの支給額表で使う「対象被保険者数」は、会社全体の従業員数ではなく、支給申請日前日において1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者の人数です(JEED 支給申請の手引き)。「従業員35名だから4〜6人の表を見る」ではなく、そのうち60歳以上で継続雇用1年以上の人数で表を読んでください。
3. 複数の措置を実施しても支給額は合算されない: 65歳超継続雇用促進コースの中で、定年引上げと継続雇用制度の導入を同時に行っても、支給額はいずれか高い額のみです。「両方やれば増額される」という誤解のまま資金計画を立てないでください。異なるコース(継続雇用促進コースと評価制度等コースなど)をあわせて使うことが制度上想定されているかどうかは、必ずJEEDの都道府県支部または社労士に事前確認してください。
4. 評価制度等コース・無期転換コースは「実施後」の申請では対象外: 高年齢者評価制度等雇用管理改善コースと高年齢者無期雇用転換コースは、計画の開始日の6か月前から3か月前までに計画申請を行い、認定を受けてから実施するという順序が決まっています。65歳超継続雇用促進コース(制度実施が先、申請は事後)と順序が逆であるため、先に賃金制度を変えてしまってから助成金を知った場合、その変更分は対象になりません。
5. 無期転換コースの対象年齢は「50歳以上かつ定年年齢未満」: 高年齢者無期雇用転換コースは、60歳以上の高年齢者だけが対象という制度ではありません。対象は50歳以上かつ定年年齢未満で、有期契約の通算期間が転換日において1年以上5年以内の労働者です。転換日において64歳以上の人は対象外である点も見落とされやすいので、対象者リストを作る際はAIに年齢と契約期間の両方でスクリーニングさせてください。
6. 従業員の氏名・生年月日をAIに入力しない: 対象者の氏名、生年月日、健康状態は個人情報のなかでも慎重な取り扱いが求められる情報です。ChatGPT・Claude Code・Codex CLIのいずれも、企業向けの上位プラン以外では入力データが学習に使われる可能性があります。AIに渡すのは年齢帯(60代前半/後半等)と被保険者数までに留め、個人が特定できる情報は社労士との直接のやりとりで扱ってください。
数値の全体像を、受給までの流れとあわせて確認しておきます。
支給額の目安と受給までのスケジュール
従業員45名の運送業が、対象被保険者(60歳以上・1年以上継続雇用)12名を抱え、定年を60歳から70歳へ引き上げた場合の目安を編集部が試算しました。対象被保険者数は「10人以上」の区分に該当します。
| 時期 | できごと | 受け取れる助成金の目安 |
|---|---|---|
| 施行日 | 就業規則を改定し、定年70歳への引上げを施行 | — |
| 施行日の翌月から4か月以内の各月1日〜15日 | 65歳超継続雇用促進コースの支給申請をJEED都道府県支部へ提出 | 「10人以上 × 70歳以上への引上げ」の区分で140万円(定年の定めの廃止まで踏み込む場合は240万円) |
| 賃金制度の見直しを検討する場合 | 高年齢者評価制度等雇用管理改善コースの計画を開始日の6か月前〜3か月前に申請 | 賃金・人事処遇制度の導入で中小企業60万円(機器導入があれば経費の60%を上乗せ) |
| 有期雇用のパート等を無期転換する場合 | 高年齢者無期雇用転換コースの計画を同様に事前申請 | 対象者1人につき中小企業40万円(年10人まで) |
編集部メモ: 65歳超継続雇用促進コースの支給額表には、定年引上げ・定年廃止の系列と、継続雇用制度導入の系列の2種類があります。同じ「10人以上・70歳以上」でも、定年そのものを70歳に引き上げれば140万円、継続雇用制度(希望者全員)で70歳以上まで働けるようにする場合は130万円と、額が異なります。自社がどちらの制度に当たるかを就業規則で確認してから金額を見積もってください。数値は令和8年度時点のものであり、年度が変わると改定される可能性があります。最新の金額は必ずJEEDの制度のご案内でご確認ください。
数値の裏側にある制度改正の動きも見ておきましょう。
令和8年度の改正点(前年度との違い)
JEEDの令和8年度パンフレットでは、65歳超継続雇用促進コースの支給額表が「定年引上げ・定年廃止」の系列で15万円〜240万円という水準で示されています。二次情報源である社労士・助成金専門メディアの解説記事では、令和7年度から令和8年度にかけて定年廃止の助成額が拡充されたという指摘が複数見られ、労基旬報オンラインは「定年廃止は従前まで40〜160万円だったが、改正後は60〜240万円」と報じています(労基旬報オンライン、補助金ポータル)。
この記事の進め方にとって特に大きい改正点が、次の2つです。
| 改正項目 | 令和7年度まで | 令和8年度以降 |
|---|---|---|
| 受給回数の制限 | 1事業主あたり1回限り | 制限を廃止(複数回の申請が可能) |
| 専門家への委託要件 | 就業規則の作成を社会保険労務士等に委託し、費用を支出することが必要 | 委託要件を廃止 |
「1事業主1回限り」の撤廃は、定年を60歳→65歳→70歳と段階的に引き上げていく進め方を現実的な選択肢に変えました。JEEDの令和8年度の手引きも、よくある質問のなかで複数回の申請を前提とした案内(「複数回の申請を検討する場合は、必ず1回目の審査結果をご確認の上、2回目の申請をご検討ください」)を掲載しています。
もう一方の委託要件の廃止は、本記事の進め方そのものに直結します。同じ手引きのよくある質問には「就業規則の改定について、自前で作成を行う予定ですが、支給対象となりますか」という設問があり、提出した就業規則等の内容が支給要件を満たすものであれば支給対象になると回答されています(JEED 支給申請の手引き)。つまり「AIで下書きを作り、社労士にレビューだけ頼む」という形は制度上問題ありません。ただし要件を満たす内容になっているかどうかの判断は依然として専門的なため、レビュー自体は省かないことを編集部は推奨します。
年度による変動に注意: 助成金の支給額・支給要件・コース構成は年度ごとに見直されます。本記事の金額はすべて令和8年度のJEED公式パンフレットに基づいていますが、申請する年度の最新の「支給申請の手引き」を必ずJEED公式サイトで確認してください。前年度の金額のまま申請準備を進めると、実際の支給額と食い違うおそれがあります。
最後に、経営者から編集部に寄せられることの多い質問をまとめます。
よくある質問
Q1. AIで作った就業規則改定案をそのまま届出できますか?
A. 制度上は、自前で作成した就業規則でも支給対象になります。JEEDの支給申請の手引きのよくある質問でも、自前作成の可否について「提出した就業規則等の内容が支給要件を満たすものであれば支給対象となる」と回答されています。ただしたたき台として使い、社会保険労務士に適法性を確認してもらうことを前提にしてください。特に対象者基準の内容や、高年齢者雇用等推進者の選任・高年齢者雇用管理に関する措置(教育訓練、作業施設・方法の改善、健康管理、職域の拡大、配置・処遇の推進、賃金体系の見直し、勤務時間制度の弾力化の7つのうち1つ以上)の実施状況は、労働基準監督署や社労士から具体性を求められやすい部分です。AIが書いた一般的な条文のままだと指摘を受ける可能性があります。
Q2. ChatGPT Plusの費用はどのくらいですか?
A. 2026年7月時点で月額20ドル(為替により概ね¥3,000前後)です。1件の申請準備で十分に元が取れる水準ですが、料金体系は変わることがあるため利用前に公式サイトで確認してください。Codex CLI自体は無料でインストールできますが、利用にはChatGPTの有料プランまたはAPIの従量課金が必要です。
Q3. 個人事業主や従業員数の少ない会社でも使えますか?
A. 使えます。雇用保険適用事業所であれば対象になり、対象被保険者数が「1〜3人」の区分にも支給額が設定されています。従業員数が少ないほど1人あたりの制度整備の負担は相対的に大きくなるため、むしろAI活用のメリットが大きい層だと編集部は考えます。
Q4. 社労士費用の相場はどのくらいですか?
A. 編集部の取材ベースで、AIで8割詰めた状態でのレビュー依頼は¥3〜5万円が目安です。ゼロから就業規則改定と申請書類の作成を依頼すると¥8〜15万円程度が相場で、複数コースを組み合わせる場合はさらに時間がかかります。正確な金額は各事務所へご確認ください。
Q5. 3コースを同時に使うことはできますか?
A. 65歳超継続雇用促進コース、高年齢者評価制度等雇用管理改善コース、高年齢者無期雇用転換コースはそれぞれ独立した制度で、要件を満たせば複数コースを申請することも制度上想定されています。ただし2点の注意があります。1つは、同一コース内で複数の措置を実施した場合は、いずれか高い額のみが支給され合算はされないこと。もう1つは、手引きの留意事項にある**「同一の行為を対象として2つ以上の助成金等が同時に申請された場合、双方の助成金の要件を満たしていたとしても、一方しか支給されないことがあります」**という定めです。同じ就業規則改定を複数の助成金の根拠にできるとは限りません。組み合わせの可否や順序については、着手前にJEEDの都道府県支部または社会保険労務士に確認してください。
出典・参考情報
公式情報源(一次情報)
- JEED 65歳超雇用推進助成金(3コース一覧) — 2026年7月29日確認
- JEED 65歳超雇用推進助成金 制度のご案内(令和8年度)PDF — 3コースの支給額表・支給要件の一次情報
- JEED 65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)
- JEED 65歳超継続雇用促進コース 支給申請の手引き(令和8年5月15日掲載)PDF — 対象被保険者数の定義・支給申請期間の一次情報
- JEED 65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)
- JEED 65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)
- JEED 高年齢者無期雇用転換コース 支給申請の手引き(令和8年5月15日掲載)PDF — 中小企業事業主の定義・対象労働者の年齢要件の一次情報
AIツール公式
- ChatGPT(OpenAI)
- Codex CLI(OpenAI)
- Codex CLI スラッシュコマンド一覧(OpenAI)
- Claude Code Skills(Anthropic)
二次情報源(制度解説)
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免責: 本記事の情報は2026年7月時点の公開情報に基づきます。支給の可否や金額は個々の事業者の状況および都道府県支部の審査によって決まります。最終的な就業規則の適法性判断と申請書類の提出にあたっては社会保険労務士など専門家にご相談のうえ、公式情報を必ずご確認ください。年度の切り替わりで変動しうる金額・要件については、申請する年度の最新の支給申請の手引きを公式資料で必ずご確認ください。
Mira / AI経営ラボ 編集長
本記事のAIツール手順(ChatGPT / Claude Code / Codex CLI)はYuki(テクノロジー検証担当)が実機で検証しています。