Make.comでGmailの特定メールをNotionタスクDBに30分で自動起票
「あの依頼メール、対応するの忘れていた」——社内外からの依頼メールを受信トレイだけで管理していると、いつか必ず起きるミスです。Make.com を使えば、Gmail の特定ラベルや差出人に合致したメールだけを Notion のタスクデータベースへ自動で起票できます。本記事では、条件を絞ったメールを担当者・期限付きのタスクに変換する仕組みを、約 30 分で組める設定手順として解説します。
- Gmail の特定ラベル/差出人に合致したメールだけを Make.com が検知し、Notion のタスクDBに 1 件のページとして自動起票
- 件名・差出人・受信日時をタスクに自動反映、担当者やステータスは初期値を設定して起票可能
- 月コストは Make.com Core $9 (約 ¥1,400) + Notion 無料プランで、個人事業主でも導入できる水準
- Gmail 側の運用は変えず「後付け」で導入できるため、社内外からの依頼メール対応の抜け漏れを構造的に防げる
- 設定は約 30 分、フィルタ条件を絞ることで無関係なメールの誤起票を防止
編集長の見解 (Mira): 依頼メールの対応漏れは、能力の問題ではなく「受信トレイがタスク管理に向いていない」という構造の問題です。Gmail は既読にした瞬間、対応の有無を記録してくれません。Make.com で条件に合うメールだけを Notion に転記すれば、Gmail は「通知」、Notion は「対応状況が一目でわかる台帳」と役割が分かれます。月 1,400 円程度の投資で、社内外からの依頼を取りこぼさない仕組みが作れる点は、担当者が少ない中小企業ほど効果が大きいと考えます。
このレシピで解決する課題
社内外からの依頼メールを Gmail だけで管理している事業者では、次のような問題が繰り返し起きています。
- 依頼メールの埋もれ: 1 日に届く多数のメールの中に依頼が紛れ、未対応のまま下に流れる
- 対応状況が記録されない: 「返信したか」「誰が担当か」がメール本文だけでは分からない
- 期限管理の不在: 「今週中に」といった依頼の期日がメールの中に埋まったまま忘れられる
- 属人化: 担当者本人しか依頼の存在を把握しておらず、不在時に止まる
- 転記の手間: 重要な依頼だけを手作業でタスク管理表にコピペする時間が積み重なる
これらは「メールを見た人の記憶」に依存した運用が原因です。特定条件に合う依頼メールを Notion のデータベースへ自動で写し、ステータス・担当・期限を持たせれば、受信トレイから独立した「対応漏れの起きにくい仕組み」に変わります。
次のセクションでは、この用途で Make.com を選ぶ理由を整理します。
なぜ Make.com を選ぶか
Make.com 公式 は欧州発のノーコード自動化プラットフォームで、Zapier と並ぶ二大ツールの一角です。Gmail から Notion への転記という用途で、当編集部が Make.com を推奨する理由は次のとおりです。
| 比較軸 | Make.com | Zapier |
|---|---|---|
| 編集 UI | シナリオを視覚的にドラッグで構築 | 直線的なステップ列 |
| 課金単位 | クレジット (モジュール 1 実行 = 1 クレジット) | タスク (1 ステップ = 1 task) |
| 最安有料プラン | Core $9/月 (10,000 クレジット) | Professional $19.99/月〜 |
| Notion 連携 | 公式モジュールあり (ページ作成・更新・検索) | 公式連携あり |
| 条件分岐 | Router・Filter が標準搭載 | Filter / Path (やや高プラン要) |
料金は Make.com 公式 Pricing ページ で必ず確認してください。本記事執筆時点では Free $0 / Core $9 / Pro $16 という構成です。Notion 側は Notion 公式 の無料プランで個人利用や小規模チームなら十分に始められます。
依頼メール 1 件あたりの処理は数クレジット程度のため、月数百件の依頼でも Core プランの 10,000 クレジット枠に十分収まる計算です。料金は改定の可能性があるため、契約前に必ず公式で確認してください。
次のセクションで、完成形の全体フローを図で確認します。
完成形 (フロー図)
特定条件に合う依頼メールの受信から Notion タスク化までを 1 シナリオで完結
このフローの肝は「02 の条件フィルタ」です。フィルタを甘くすると無関係なメールまで Notion に流れ込み、逆に運用が煩雑になります。
必要なツールとコスト
導入に必要なツールと、月額の目安を整理します。
| ツール | プラン | 月額目安 |
|---|---|---|
| Make.com | Core (10,000 クレジット/月) | $9 (約 ¥1,400) |
| Notion | フリープラン (個人〜小規模チーム) | ¥0 |
| Gmail (Google Workspace) | Business Starter | ¥850 |
合計目安は 月 ¥2,250 程度、すでに Google Workspace を使っているなら追加コストは Make.com の約 ¥1,400 だけです。Gmail を無料アカウントで使う個人事業主なら、さらに低コストで開始できます。
節約ヒント: まずは Make.com の Free プラン (月 1,000 クレジット) と Notion 無料プランで試作し、依頼メールの件数が増えてから Core にアップグレードする方針で十分です。最初から有料契約する必要はありません。
次のセクションでは、Notion 側の準備と Make.com のシナリオ構築手順を時系列で示します。
設定手順 (約 30 分)
全体の流れを時系列で示します。各ステップは独立して動作確認できるよう分割しています。
所要時間は合計約 30 分。Notion DB の準備から動作テストまで
Step 1: Gmail 側で判定用ラベルを準備 (5 分)
Gmail の左メニューから新しいラベルを 2 つ作成します。
| ラベル名 | 役割 |
|---|---|
| 要対応 | 依頼メールに手動、または Gmail のフィルタ機能で自動付与する判定タグ |
| 起票済 | Make.com が処理後に付ける、二重起票を防ぐためのタグ |
社内の特定の差出人 (上司・取引先窓口など) や、件名に含まれるキーワードに対して「要対応」ラベルを自動付与するフィルタを Gmail 側で設定しておくと、毎回手動でラベルを付ける必要がなくなります。
Step 2: Notion 側でタスク DB を準備 (5 分)
Notion 公式 で新規データベースを作成し、以下のプロパティを用意します。
- 件名 (タイトル)
- 差出人 (テキスト)
- 受信日時 (日付)
- ステータス (セレクト: 未対応 / 対応中 / 完了)
- 担当者 (人 または セレクト)
- 期限 (日付)
- 本文メモ (テキスト)
Notion API の操作仕様は Notion 公式 API リファレンス に準拠します。Make.com の Notion モジュールはこの API を内部で利用します。
Step 3: Make.com アカウントと接続準備 (5 分)
- Make.com 公式サイト からサインアップ (Free プランで開始可)
- 「Create a new scenario」をクリック
- Make の「Connections」で Gmail を OAuth 認証で接続
- Notion 接続は、Notion の「Integrations」で内部インテグレーションを作成し、Step 2 の DB に「Connections」から接続を共有してから、Make 側にトークンを登録
Notion インテグレーションの作成手順は Notion 公式 API リファレンス に従ってください。DB への接続共有を忘れると、後の起票モジュールがページを作成できません。
Step 4: 受信 → フィルタ → Notion 起票のシナリオ作成 (10 分)
Make.com で以下のモジュールを順に配置します。
[Trigger]
Gmail > Watch Emails
Folder / Label: 要対応 (Step 1 で作成したラベル)
Filter type: All emails
Maximum number of results: 10
[Filter]
条件: ラベルに「起票済」を含まない
(二重起票を防ぐための必須フィルタ)
[Module 2]
Notion > Create a Database Item
Database: Step 2 で作成したタスク DB
件名: {{件名}}
差出人: {{差出人}}
受信日時: {{受信日時}}
ステータス: 未対応
本文メモ: {{本文の冒頭 500 文字}}
[Module 3]
Gmail > Modify Labels
Add label: 起票済
(処理済みメールへの再起票を防止)
トリガーは「Gmail > Watch Emails」で判定ラベルに絞り込みます。Filter モジュールで「起票済」ラベルが付いていないメールだけを通過させ、Notion 起票後に Gmail へ「起票済」ラベルを付ける、という順序が二重起票を防ぐ基本形です。
失敗パターン: フィルタを設置し忘れる — Filter モジュールを省略すると、同じメールが実行のたびに何度も Notion に起票されます。Watch Emails と Notion 起票の間に必ず Filter を挟み、「起票済ラベルなし」を条件にしてください。
Step 5: 動作テストとスケジュール設定 (5 分)
- 「要対応」ラベルを付けたテストメールを用意
- シナリオを「Run once」で手動実行し、Notion に 1 件起票されるか確認
- 元メールに「起票済」ラベルが付与されているか確認
- 問題なければトリガーのスケジュールを設定して本番稼働
Make.com のスケジュール仕様はプラン依存です。詳細は Make.com シナリオスケジューリング 公式ヘルプ を確認してください。
次のセクションでは、導入前後でどれだけ運用が変わるかを編集部の試算で示します。
編集部によるシミュレーション (期待効果の試算)
以下は 編集部による試算 です。実際の効果は依頼メールの件数・チーム規模・現状の運用により変動します。
前提: 個人事業主または 5 名規模の事業者、月間の依頼メール 80 件、現状はメールを目視確認して都度対応・記憶で管理していると想定します。
- 依頼の取りこぼし: 月 2-5 件 (埋もれ)
- メールから台帳への転記工数: 月 5 時間
- 対応状況の可視化: メールでは不可
- 受信から記録までの時間: 数時間 - 翌日
- 依頼の取りこぼし: 月 0-1 件 (自動起票)
- メールから台帳への転記工数: 月 30 分 (確認のみ)
- 対応状況の可視化: Notion でステータス管理
- 受信から記録までの時間: 数十秒 (自動)
月 約 ¥1,400 の投資 → 転記工数の削減 + 対応漏れの可視化
費用感の整理は次のとおりです。
- 月コスト: Make.com Core $9 = 約 ¥1,400 (Notion 無料枠)
- 削減: 月 4.5 時間の転記作業 (時給換算 ¥2,000 で月 ¥9,000 相当)
- 効果: 依頼の取りこぼし削減による信頼低下の防止
数値は事業者ごとに変動しますが、転記工数の削減だけでも投資を上回る構造です。
失敗パターン
失敗 1: フィルタが緩すぎて関係ないメールまで起票される — Watch Emails のラベル指定を曖昧にすると、メルマガや社内周知メールまで Notion に流入します。専用ラベル「要対応」を起点にし、必要なら差出人ドメインでも絞り込んでください。
失敗 2: Notion インテグレーションを DB に共有し忘れる — Make の Notion モジュールがページを作成できず、シナリオがエラーで止まる最頻出パターンです。Notion 側で対象 DB の「Connections」に作成したインテグレーションを必ず追加してください。
失敗 3: 起票しただけで運用ルールがない — 自動でタスクが積まれても、誰が・いつ見るかを決めないと「未対応」が溜まるだけです。朝 1 回 Notion の「未対応」ビューを確認する運用を必ずセットで導入してください。
注意点 (法務・規約面)
- 個人情報保護法: 依頼メールには氏名・連絡先などの個人情報が含まれる場合があります。Make.com / Notion は海外データセンター運用のため、自社のプライバシーポリシーに外部サービス利用を明記してください
- Notion / Make.com の利用規約: メール内容を外部サービスへ転送・保存する運用が各社の規約に反しないか確認してください (Notion 公式、Make.com 公式)
- Gmail の自動処理: Google Workspace のデータ取り扱いポリシーに沿って運用してください
次のセクションで、つまずきやすい点への対処をまとめます。
トラブルシューティング
Q: 同じメールが二重に起票される
A: Filter モジュールの「起票済ラベルなし」条件が抜けている、または Notion 起票後の「Modify Labels」モジュールが正しく動いていない可能性があります。Make.com の実行履歴で各モジュールの結果を確認してください。
Q: Notion へ本文の全文が入らない
A: Notion のテキストプロパティには文字数制限があります。本文は冒頭 500 文字程度に切り、全文が必要なら Notion ページ本文 (ブロック) 側に追記する構成にしてください。
Q: クレジットを消費しすぎる
A: Watch Emails の Maximum number of results を絞り、実行間隔を必要以上に短くしないよう調整してください。
まとめ
Gmail の特定メールを Make.com で Notion に自動起票するだけで、依頼対応の見落としを構造的に防げます。月 約 ¥1,400 の投資で、受信トレイは「通知」、Notion は「対応漏れの起きないタスク台帳」と役割が分かれます。
最大の効果は「条件に合うメールが届いた瞬間にタスク化される」こと。人間が受信トレイを見張る必要がなくなり、個人事業主でも 5 名規模でも、約 30 分の構築で導入できます。
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出典・参考情報
Mira / AI経営ラボ 編集長
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