Make.comでGmail問い合わせ→Notionタスク自動登録 対応漏れ防止レシピ
業種: 中小企業・士業・個人事業主
使用ツール: Make.com
難易度: ★☆☆ 易
所要時間: 約 60 分
問い合わせメールの「見落とし」は、信頼と売上を同時に削ります。Gmail に届いた問い合わせを Make.com で受け取り、Notion のタスクとして自動登録すれば、対応漏れを構造的に防げます。本記事では受信 → 解析 → Notion 起票 → Slack 通知までを 1 シナリオで完結させる設計図を、公式仕様に沿って約 60 分で組める手順として解説します。
- Gmail の問い合わせを Make.com が受信 → 本文解析 → Notion データベースに 1 件のタスクとして自動起票
- 担当者・期限・ステータスを最初から付与でき、「誰がいつまでに対応するか」が一目で分かる
- 月コストは Make.com Core $9 + Notion 無料プランで実質 約 ¥1,400、個人事業主でも導入可能
- 受信から起票までを数十秒に短縮し、メールの埋もれによる対応漏れを月 0 件に近づける
編集長の見解 (Mira): 問い合わせ管理の失敗は「ツールがない」ことではなく「メールという受信箱がタスク管理に向いていない」ことに起因します。Gmail は読んだ瞬間に「未読」が消え、対応の有無が記録されません。Make.com で Notion に転記するだけで、メールは「通知」、Notion は「タスク台帳」と役割が分かれ、対応漏れが激減します。月 1,400 円程度で「受信箱を信頼できる ToDo に変える」投資対効果 (ROI) は、中小企業や士業ほど大きいと考えます。
このレシピで解決する課題
問い合わせ対応を Gmail だけで回している事業者では、以下の問題が日常的に起きています。
- メールの埋もれ: 1 日数十通のメールに問い合わせが紛れ、未対応のまま下に流れる
- 対応状況が分からない: 「返信済みか」「誰が担当か」がメールでは記録されない
- 期限管理の不在: 見積もり依頼や折り返し約束の期日が抜け落ちる
- 属人化: 担当者しか把握しておらず、休んだ日に問い合わせが止まる
- 転記の手間: メール内容を手作業で管理表にコピペする時間が積み重なる
これらはすべて「メールをタスク台帳として扱おうとしている」ことが原因です。問い合わせを Notion のデータベースへ自動で写し、ステータス・担当・期限を持たせれば、受信箱から独立した「対応漏れの起きない仕組み」になります。
次のセクションでは、なぜこの用途で Make.com を選ぶのかを整理します。
なぜ Make.com を選ぶか
Make.com 公式 は欧州発のノーコード自動化プラットフォームで、Zapier と並ぶ二大ツールの一角です。Gmail から Notion への転記という用途で、当編集部が Make.com を推奨する理由は次のとおりです。
| 比較軸 | Make.com | Zapier |
|---|---|---|
| 編集 UI | シナリオを視覚的にドラッグで構築 | 直線的なステップ列 |
| 課金単位 | クレジット (モジュール 1 実行 = 1 クレジット) | タスク (1 ステップ = 1 task) |
| 最安有料プラン | Core $9/月 (10,000 クレジット) | Professional $19.99/月〜 |
| Notion 連携 | 公式モジュールあり (ページ作成・更新・検索) | 公式連携あり |
| 分岐・ループ | Router・Iterator が標準 | Filter / Path (やや高プラン要) |
料金は Make.com 公式 Pricing ページ を確認してください。本記事執筆時点では Free $0 / Core $9 / Pro $16 という構成です。Notion 側は Notion 公式 の無料プランで個人利用なら十分に始められます。
問い合わせ 1 件あたりの処理は 4〜6 クレジット程度のため、月 1,000 件でも Core プランの 10,000 クレジット枠に収まる計算です。料金は改定の可能性があるため、契約前に必ず公式で確認してください。
次のセクションで、完成形の全体フローを図で確認します。
完成形 (フロー図)
問い合わせ受信から Notion タスク化 + Slack 通知までを 1 シナリオで完結
このフローの肝は「03 の Notion 起票」です。メールが届いた瞬間にタスク化されるため、人間が受信箱を見張る必要がなくなります。
必要なツールとコスト
導入に必要なツールと、月額の目安を整理します。
| ツール | プラン | 月額目安 |
|---|---|---|
| Make.com | Core (10,000 クレジット/月) | $9 (約 ¥1,400) |
| Notion | フリープラン (個人) | ¥0 |
| Gmail (Google Workspace) | Business Starter | ¥850 |
| Slack | フリープラン | ¥0 |
合計目安は 月 ¥2,250 程度、すでに Google Workspace を使っているなら追加は Make.com の約 ¥1,400 だけです。Gmail を無料アカウントで使う個人事業主なら、さらに低コストで開始できます。
節約ヒント: まずは Make.com の Free プラン (月 1,000 クレジット) と Notion 無料プランで試作し、問い合わせ件数が増えてから Core にアップグレードする方針で十分です。最初から有料契約する必要はありません。
次のセクションでは、Notion 側の準備と Make.com のシナリオ構築手順を時系列で示します。
設定手順 (約 60 分)
全体の流れを時系列で示します。各ステップは独立して動作確認できるよう分割しています。
所要時間は合計約 60 分。Notion DB の準備から動作テストまで
Step 1: Notion 側でタスク DB を準備 (10 分)
Notion 公式 で新規データベースを作成し、以下のプロパティを用意します。
- 件名 (タイトル)
- 送信者名 (テキスト)
- メールアドレス (メール型)
- 受信日時 (日付)
- ステータス (セレクト: 未対応 / 対応中 / 返信済 / 完了)
- 担当者 (人 または セレクト)
- 期限 (日付)
- 本文メモ (テキスト)
Notion API の操作仕様は Notion 公式 API リファレンス に準拠します。Make.com の Notion モジュールはこの API を内部で利用します。
Step 2: Make.com アカウントと接続準備 (10 分)
- Make.com 公式サイト からサインアップ (Free プランで開始可)
- 「Create a new scenario」をクリック
- Make の「Connections」で Gmail を OAuth 認証で接続
- Notion 接続は、Notion の「Integrations」で内部インテグレーションを作成し、Step 1 の DB に「Connections」から接続を共有してから、Make 側にトークンを登録
Notion インテグレーションの作成手順は Notion 公式 API リファレンス に従ってください。DB への接続共有を忘れると、後の起票モジュールがページを作成できません。
Step 3: 受信 → 解析 → Notion 起票のシナリオ作成 (20 分)
Make.com で以下のモジュールを順に配置します。
[Trigger]
Gmail > Watch Emails
folder: INBOX
filter: label:問い合わせ OR to:info@example.com
Maximum: 10 (1 回の起動で最大 10 件処理)
[Module 2]
Tools > Set multiple variables
本文をプレーンテキスト化、件名・送信者名・メールアドレスを変数に格納
[Module 3]
Notion > Create a Database Item
Database: Step 1 で作成したタスク DB
件名: {{件名}}
送信者名: {{送信者名}}
メールアドレス: {{メールアドレス}}
受信日時: {{受信日時}}
ステータス: 未対応
本文メモ: {{本文の冒頭 500 文字}}
トリガーは「Gmail > Watch Emails」で問い合わせ用ラベルや宛先に絞り込みます。Set multiple variables で本文を整形してから Notion に渡すと、起票内容が安定します。
Step 4: Slack 通知を追加 (10 分)
シナリオの末尾に Slack モジュールを追加し、起票結果をチームへ通知します。
[Module 4]
Slack > Create a Message
Channel: #問い合わせ
Text: "📨 新規問い合わせ
送信者: {{送信者名}} ({{メールアドレス}})
件名: {{件名}}
[Notion で開く]({{Module 3 で返る Notion ページ URL}})"
Module 3 (Notion 起票) が返すページ URL を Slack 本文に差し込むと、通知から 1 クリックでタスクへ移動できます。
Step 5: 動作テストとスケジュール設定 (10 分)
- 問い合わせ用アドレスにテストメールを送信
- シナリオを「Run once」で手動実行し、Notion に 1 件起票されるか確認
- Slack に通知が届くか確認
- 問題なければトリガーのスケジュールを「Immediately」または「最短 1 分間隔」に設定して本番稼働
Make.com のスケジュール仕様はプラン依存です。詳細は Make.com シナリオスケジューリング 公式ヘルプ を確認してください。
次のセクションでは、導入前後でどれだけ運用が変わるかを編集部の試算で示します。
編集部によるシミュレーション (期待効果の試算)
以下は 編集部による試算 です。実際の効果は問い合わせ件数・チーム規模・現状の運用により変動します。
前提: 個人事業主または 5 名規模の事業者、月問い合わせ 150 件、現状はメールを目視確認して管理表へ手入力していると想定します。
- 問い合わせの取りこぼし: 月 3-8 件 (埋もれ)
- メールから台帳への転記工数: 月 8 時間
- 対応状況の可視化: メールでは不可
- 受信から記録までの時間: 数時間 - 翌日
- 問い合わせの取りこぼし: 月 0-1 件 (自動起票)
- メールから台帳への転記工数: 月 1 時間 (確認のみ)
- 対応状況の可視化: Notion でステータス管理
- 受信から記録までの時間: 数十秒 (自動)
月 約 ¥1,400 の投資 → 転記工数の削減 + 対応漏れの可視化
費用感の整理は次のとおりです。
- 月コスト: Make.com Core $9 = 約 ¥1,400 (Notion / Slack 無料枠)
- 削減: 月 7 時間の転記作業 (時給換算 ¥2,000 で月 ¥14,000 相当)
- 効果: 問い合わせ取りこぼしの削減による失注防止
数値は事業者ごとに変動しますが、転記工数の削減だけでも投資の数倍を回収できる構造です。
失敗パターン
失敗 1: フィルタが緩すぎて関係ないメールまで起票される — Watch Emails の filter を宛先や専用ラベルで明確に絞らないと、メルマガや社内連絡まで Notion に流入します。問い合わせ専用アドレス (info@ など) か、Gmail 側のフィルタで自動付与する専用ラベルを起点にしてください。
失敗 2: Notion インテグレーションを DB に共有し忘れる — Make の Notion モジュールがページを作成できず、シナリオがエラーで止まる最頻出パターンです。Notion 側で対象 DB の「Connections」に作成したインテグレーションを必ず追加してください。
失敗 3: 起票しただけで運用ルールがない — 自動でタスクが積まれても、誰が・いつ見るかを決めないと「未対応」が溜まるだけです。朝 1 回 Notion の「未対応」ビューを確認する運用を必ずセットで導入してください。
注意点 (法務・規約面)
- 個人情報保護法: 問い合わせには氏名・連絡先などの個人情報が含まれます。Make.com / Notion は海外データセンター運用のため、自社のプライバシーポリシーに外部サービス利用を明記してください
- Notion / Make.com の利用規約: メール内容を外部サービスへ転送・保存する運用が各社の規約に反しないか確認してください (Notion 公式、Make.com 公式)
- Gmail の自動処理: Google Workspace のデータ取り扱いポリシーに沿って運用してください
次のセクションで、つまずきやすい点への対処をまとめます。
トラブルシューティング
Q: 同じメールが二重に起票される
A: Watch Emails の処理位置 (last message ID) がリセットされると再取得が起きます。トリガーを再設定し、Notion 側で「メールアドレス + 受信日時」で重複検索する Router を挟むと安全です。
Q: Notion へ本文の全文が入らない
A: Notion のテキストプロパティには文字数制限があります。本文は冒頭 500 文字程度に切り、全文が必要なら Notion ページ本文 (ブロック) 側に追記する構成にしてください。
Q: クレジットを消費しすぎる
A: Watch Emails の Maximum を 10 → 5 に絞り、不要なモジュール (使っていない変数整形など) を削減してください。
まとめ
Gmail の問い合わせを Make.com で Notion に自動起票するだけで、メールの見落としによる対応漏れを構造的に防げます。月 約 ¥1,400 の投資で、受信箱は「通知」、Notion は「対応漏れの起きないタスク台帳」と役割が分かれます。
最大の効果は「受信した瞬間にタスク化される」こと。人間が受信箱を見張る必要がなくなり、個人事業主でも 5 名規模でも、約 60 分の構築で導入できます。
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出典・参考情報
Mira / AI経営ラボ 編集長
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