業務自動化

Make.comでNotionデータベース間を自動同期 情報の二重管理をなくすレシピ

中小企業・個人事業主 (全業種、複数の Notion DB で顧客・案件情報を重複管理している事業者) の業務自動化レシピ
業種中小企業・個人事業主 (全業種、複数の Notion DB で顧客・案件情報を重複管理している事業者)
ツールMake.com
難易度★★☆ 中
設定時間約 40 分

「顧客の会社名が変わったのに、片方の台帳だけ古いまま」——同じ情報を複数の Notion データベースで手入力していると、いつか必ず食い違いが生まれます。Make.com を使えば、片方のデータベースの変更をもう片方へ自動で反映し、二重管理を仕組みで解消できます。本記事では、2 つの Notion DB を同期する設定を、約 40 分で組める手順として解説します。

読了時間: 約 7 分

編集長の見解 (Mira): データベースが増えると「情報の二重管理」は静かに事業を蝕みます。同じ顧客名が営業DBでは「(株)ABC商事」、請求DBでは「ABC商事株式会社」と食い違えば、集計も突き合わせも狂います。Make.com で片方を「正」と決め、もう片方へ自動反映すれば、更新の手間が半分になるだけでなく「どちらが最新か分からない」という判断コストが消えます。月 1,400 円程度で、担当者の記憶に頼らない情報基盤が作れる点は、台帳が散らかりがちな中小企業ほど効果が大きいと考えます。

このレシピで解決する課題

Notion を業務で使い込むと、目的別にデータベースが増えていきます。その結果、次のような「二重管理」の問題が繰り返し起きます。

  1. 同じ情報の二度入力: 新規顧客を営業DBに登録し、同じ内容を請求DBにも手で入力している
  2. 更新漏れによる食い違い: 片方だけ住所や担当者を直し、もう片方が古いまま残る
  3. 表記ゆれ: 同じ会社名が DB ごとに違う書き方になり、名寄せができない
  4. どちらが最新か分からない: 2 つの台帳を見比べて、その都度どちらを信じるか判断している
  5. 転記の手間: 重要な変更を手作業でもう片方にコピペする時間が積み重なる

これらは「人間が 2 か所を手で揃え続ける」運用が原因です。片方の DB を「正 (マスター)」と決め、変更を Make.com がもう片方へ自動反映すれば、二重入力そのものが消えます。

次のセクションでは、この用途で Make.com を選ぶ理由を整理します。

なぜ Make.com を選ぶか

Make.com 公式 は欧州発のノーコード自動化プラットフォームで、Zapier と並ぶ二大ツールの一角です。Notion DB 間の同期という用途で、当編集部が Make.com を推奨する理由は次のとおりです。

比較軸Make.comZapier
編集 UIシナリオを視覚的にドラッグで構築直線的なステップ列
課金単位クレジット (モジュール 1 実行 = 1 クレジット)タスク (1 ステップ = 1 task)
最安有料プランCore $9/月 (10,000 クレジット)Professional $19.99/月〜
Notion 連携公式モジュールあり (作成・更新・検索)公式連携あり
検索・条件分岐Search + Router + Filter が標準搭載Filter / Path (やや高プラン要)

DB 同期では「相手側に既存ページがあるか検索し、あれば更新・なければ作成」という分岐が必要です。Make.com は Search モジュールと Router が標準で使えるため、この用途に向きます。料金は Make.com 公式 Pricing ページ で必ず確認してください。本記事執筆時点では Free $0 / Core $9 / Pro $16 という構成です。

Notion 側は Notion 公式 の無料プランで、個人利用や小規模チームなら十分に始められます。料金は改定の可能性があるため、契約前に必ず公式で確認してください。

次のセクションで、完成形の全体フローを図で確認します。

完成形 (フロー図)

Make.com Notion DB 間 自動同期フロー
🗄️
01
マスターDB監視
「正」と決めた DB の新規・更新ページを取得
🔑
02
照合キー抽出
メールや案件IDなど一意な値を取り出す
🔍
03
相手DB検索
照合キーで同じレコードが既にあるか探す
🔀
04
分岐 (作成 / 更新)
なければ新規作成、あればプロパティを更新
05
二重管理の解消
2 つの DB が常に同じ内容で揃う

マスターDBの変更を検知し、相手DBを検索して作成または更新するまでを 1 シナリオで完結

このフローの肝は「02 の照合キー」と「03 の検索」です。照合キーが曖昧だと、同じレコードを二重に作ってしまい、かえって台帳が汚れます。

必要なツールとコスト

導入に必要なツールと、月額の目安を整理します。

ツールプラン月額目安
Make.comCore (10,000 クレジット/月)$9 (約 ¥1,400)
Notionフリープラン (個人〜小規模チーム)¥0

合計目安は 月 ¥1,400 程度です。すでに Notion を無料プランで使っているなら、追加コストは Make.com の約 ¥1,400 だけで始められます。

節約ヒント: まずは Make.com の Free プラン (月 1,000 クレジット) で試作し、同期対象の件数が増えてから Core にアップグレードする方針で十分です。1 レコードの同期は検索・分岐を含めて数クレジット消費するため、月数百件までなら Free 枠でも試せます。

次のセクションでは、Notion 側の準備と Make.com のシナリオ構築手順を時系列で示します。

設定手順 (約 40 分)

全体の流れを時系列で示します。各ステップは独立して動作確認できるよう分割しています。

Notion DB 間 自動同期 構築ステップ
STEP 1 (5 分)
同期する 2 つの DB と照合キーを決める
どちらを「正 (マスター)」にするか、何をキーに突き合わせるかを設計します。
STEP 2 (5 分)
Notion インテグレーションを作成し両 DB に共有
Make が両方の DB を読み書きできるよう接続を用意します。
STEP 3 (5 分)
Make.com で Notion を接続
作成したインテグレーショントークンを Make に登録します。
STEP 4 (15 分)
監視 → 検索 → 分岐 のシナリオ作成
マスターDBの変更検知から、相手DBの作成・更新までを 1 本に組みます。
STEP 5 (10 分)
動作テストとループ対策
テストレコードで同期を確認し、無限ループを防ぐ設定を入れます。

所要時間は合計約 40 分。照合キーの設計からループ対策まで

Step 1: 同期する 2 つの DB と照合キーを決める (5 分)

まず「どちらを正とするか」と「何で突き合わせるか」を決めます。これが設計の核です。

決めること
マスターDB (正)営業DB (最初に情報が入る場所)
ミラーDB (従)請求DB (マスターの内容を反映する側)
照合キーメールアドレス、または案件ID

照合キーは DB 内で重複しない一意な値を選びます。会社名は表記ゆれが起きるため、キーには不向きです。メールアドレスや、自分で採番した案件ID・顧客コードが安全です。

Step 2: Notion インテグレーションを作成し両 DB に共有 (5 分)

Notion 公式 の「Settings」→「Connections」から内部インテグレーションを作成し、トークンを控えます。作成手順は Notion 公式 API リファレンス に従ってください。

作成したインテグレーションを、同期する両方の DBの「Connections」に追加します。片方だけに共有すると、そのDBしか読み書きできず同期が片肺になります。

Step 3: Make.com で Notion を接続 (5 分)

  1. Make.com 公式サイト からサインアップ (Free プランで開始可)
  2. 「Create a new scenario」をクリック
  3. Make の「Connections」で Notion 接続を追加し、Step 2 のインテグレーショントークンを登録

トークンの登録後、Make のモジュール設定でマスターDB・ミラーDBの両方が候補に表示されれば接続は成功です。

Step 4: 監視 → 検索 → 分岐 のシナリオ作成 (15 分)

Make.com で以下のモジュールを順に配置します。

[Trigger]
  Notion > Watch Database Items
    Database: 営業DB (マスター)
    Watch: Created and updated items
    Limit: 10

[Module 2]
  Notion > Search Objects (or Search Database Items)
    Database: 請求DB (ミラー)
    Filter: 照合キー(メール) が {{マスターのメール}} と一致

[Router]
  ├─ Route A (相手が見つからない = 新規)
  │    Filter: 検索結果が空
  │    [Notion > Create a Database Item]
  │      Database: 請求DB
  │      各プロパティ: {{マスターの値}} をマッピング

  └─ Route B (相手が存在 = 更新)
       Filter: 検索結果が 1 件以上
       [Notion > Update a Database Item]
         Page ID: {{検索でヒットしたページID}}
         各プロパティ: {{マスターの値}} で上書き

トリガーは「Notion > Watch Database Items」でマスターDBの変更を検知します。次に Search モジュールで照合キーを使ってミラーDBを検索し、Router で「見つからなければ作成」「見つかれば更新」に分岐させるのが基本形です。

失敗パターン: 検索を挟まずいきなり作成する — Search と Router を省いて Create だけにすると、マスターDBを 1 回更新するたびにミラーDBへ新しいページが増え続けます。必ず「照合キーで検索 → あれば更新」の分岐を挟んでください。

Step 5: 動作テストとループ対策 (10 分)

  1. マスターDB (営業DB) にテスト用のレコードを 1 件追加
  2. シナリオを「Run once」で手動実行し、ミラーDB (請求DB) に 1 件作成されるか確認
  3. 同じレコードの値を変更して再実行し、二重作成されず「更新」されるか確認
  4. 問題なければトリガーのスケジュールを設定して本番稼働

双方向 (お互いをマスターにする) 同期は、片方の更新がもう片方を更新し、それがまた元を更新する 無限ループを招きやすい設定です。まずは片方向 (マスター → ミラー) から始めるのが安全です。Make.com のスケジュール仕様はプラン依存のため、詳細は Make.com シナリオスケジューリング 公式ヘルプ を確認してください。

次のセクションでは、導入前後でどれだけ運用が変わるかを編集部の試算で示します。

編集部によるシミュレーション (期待効果の試算)

以下は 編集部による試算 です。実際の効果は同期するレコード件数・更新頻度・現状の運用により変動します。

前提: 個人事業主または 5 名規模の事業者、顧客・案件情報を 2 つの Notion DB で管理し、月間の新規・更新が 60 件、現状は片方に入力後もう片方へ手でコピペしていると想定します。

二重管理の Before / After
Before (2 つの DB を手で揃える)
  • DB 間の食い違い: 月 3-8 件 (更新漏れ)
  • 二度入力・転記の工数: 月 4 時間
  • どちらが最新かの判断: 都度目視で比較
  • 変更が相手に届くまで: 数時間 - 反映漏れ
After (Make.com で自動同期)
  • DB 間の食い違い: 月 0-1 件 (自動反映)
  • 二度入力・転記の工数: 月 20 分 (確認のみ)
  • どちらが最新かの判断: マスターが常に正
  • 変更が相手に届くまで: 数十秒 (自動)

月 約 ¥1,400 の投資 → 転記工数の削減 + 台帳の食い違い解消

費用感の整理は次のとおりです。

数値は事業者ごとに変動しますが、転記工数の削減だけでも投資を上回る構造です。

失敗パターン

失敗 1: 照合キーに会社名など表記ゆれする値を使う — 「(株)ABC」と「ABC株式会社」が別レコード扱いになり、同じ相手が二重に作られます。キーはメールアドレスや自社採番の案件ID・顧客コードなど、一意で表記が揺れない値を使ってください。

失敗 2: 双方向同期でループさせる — 両方をマスターにすると、A の更新が B を更新し、B の更新が A を更新し…と無限ループになりクレジットを浪費します。まずは片方向で運用し、双方向が必要なら「最終更新者」フラグなどでループを止める設計を別途組んでください。

失敗 3: プロパティの型が両 DB で食い違う — マスターが「セレクト」、ミラーが「テキスト」だと、マッピングでエラーになったり値が欠けたりします。同期する項目は両 DB で型 (テキスト/セレクト/日付など) を揃えてください。

注意点 (法務・規約面)

次のセクションで、つまずきやすい点への対処をまとめます。

トラブルシューティング

Q: 同じレコードが二重に作成される

A: Search モジュールの照合キー条件が正しく効いていない可能性があります。Make.com の実行履歴で Search の結果件数を確認し、Router の Filter が「検索結果が空か否か」で正しく分岐しているか見直してください。

Q: 更新が相手DBに反映されない

A: Notion インテグレーションがミラーDB側に共有されていない、または Update モジュールの Page ID マッピングが空の可能性があります。両DBへの接続共有と、検索結果のページIDが Update に渡っているかを確認してください。

Q: クレジットを消費しすぎる

A: Watch Database Items の Limit を絞り、実行間隔を必要以上に短くしないよう調整してください。1 レコードあたり検索・分岐で複数クレジットを使うため、更新頻度の低いDBは実行間隔を長めにするのが有効です。

まとめ

2 つの Notion データベースを Make.com で同期するだけで、情報の二重管理を構造的になくせます。月 約 ¥1,400 の投資で、片方を「正」と決め、もう片方は自動で追従する。担当者が 2 か所を手で揃える必要がなくなります。

成否を分けるのは「一意な照合キーを 1 つ決めること」と「まず片方向から始めること」の 2 点です。この 2 つさえ押さえれば、個人事業主でも 5 名規模でも、約 40 分の構築で台帳の食い違いから解放されます。

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出典・参考情報


Mira / AI経営ラボ 編集長

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