業務自動化

Zapierでクラウドサイン契約締結→Slack通知とDrive保存を自動化する手順

士業・バックオフィス (全業種の契約書管理) の業務自動化レシピ
業種士業・バックオフィス (全業種の契約書管理)
ツールZapier
難易度★★★ 難
設定時間約 110 分

クラウドサインで契約が締結されるたびに、担当者へ Slack で知らせ、署名済み PDF を Google Drive の指定フォルダへ自動保存する。本レシピは、クラウドサインに Zapier の公式連携が存在しない前提に立ち、クラウドサインの Webhook 機能と Web API を Zapier の「Webhooks by Zapier」経由で呼び出す設計を編集部が具体的に示します。

編集長の見解: クラウドサインは国内シェア最大級の電子契約サービスですが、Zapier のアプリディレクトリを見る限り公式連携アプリは用意されていません。多くの解説記事が「Zapier で契約締結を自動通知」と書いていますが、実際には Webhooks by Zapier という汎用ツールでクラウドサイン自身の Web API を呼び出す 設計が必要です。この手順は Zapier の管理画面だけで完結せず、クラウドサイン側でも Web API の有効化とプラン確認が前提になる点を先にお伝えしておきます。

クラウドサインに Zapier 公式連携はあるか

まず結論からお伝えします。2026-07 時点でクラウドサインの公式サイト・Zapier のアプリディレクトリのいずれにも「クラウドサイン専用のトリガー/アクション」は存在しません。Zapier の zapier.com/apps/cloudsign 系 URL は 404 となり、アプリ検索でもヒットしません。

一方でクラウドサインは自社の Web APIWebhook 機能 を提供しています。Webhook は「文書が締結された」「文書が却下・取消された」「送信メールが不達だった」といったイベントが起きたタイミングで、指定 URL に JSON を POST する仕組みです。この JSON を Zapier の「Webhooks by Zapier」アプリの Catch Hook トリガーで受け取ることで、公式連携がなくても自動化フローを組み立てられます。

  1. クラウドサイン Web API — 書類作成・取得・ファイル添付・締結証明書取得などを HTTP で操作
  2. クラウドサイン Webhook — 締結完了などのイベントを外部 URL に通知 (最大 20 件の通知先を登録可能)
  3. Zapier「Webhooks by Zapier」 — 上記 2 つを Zapier のワークフローに橋渡しする汎用コネクタ

この 3 点を理解すれば、公式連携がなくても十分実用的な自動化が組めます。次に、必要なプランと料金を確認します。

必要なプランと料金 (2026-07 時点)

プラン月額 (税込)1 件あたり送信料 (税込)Web API / Webhook
フリー¥0 (月 2 件まで)利用不可
ライト¥12,100¥242利用不可
コーポレート¥30,800¥242利用可
ビジネス / エンタープライズ個別見積り個別見積り (割引あり)利用可

本レシピを実現するには、クラウドサインの「コーポレートプラン」以上が必須です。 ライトプランは人数・送信数無制限で個人事業主・小規模企業に人気の入門プランですが、Web API と Webhook 機能が付属しません。すでにライトプランを契約している場合は、コーポレートプランへのアップグレードが前提になります。

ツールプラン目安月額 (税込)役割
クラウドサインコーポレート¥30,800電子契約締結、Web API/Webhook
ZapierStarter$19.99/月 (年払い)Webhooks トリガー、Custom Request 実行
Slackフリー or Pro¥0 〜 ¥925/ユーザー締結通知の受け皿
Google WorkspaceBusiness Starter¥850Drive への PDF 自動保存

合計 月 ¥3.4 万〜3.5 万程度 (クラウドサイン既契約なら追加は Zapier + Google Workspace 分の月 ¥3,000 前後)。コーポレートプランへの切り替えコストが大きいため、まずは月間契約件数が多い部署 (法務・総務・営業契約) から導入する判断が現実的です。

コストを踏まえたうえで、次は完成形のフローを見てみましょう。

完成形 (フロー図)

クラウドサイン 契約締結 → Slack通知 & Drive保存 自動化フロー
✍️
01
契約締結完了
クラウドサイン上で全当事者が署名完了
🔔
02
Webhook 発火
クラウドサインが登録済み URL へ JSON を POST
💬
03a
Slack 通知 (Zap A)
担当チャンネルへ締結完了を即時通知
📄
03b
PDF 取得 (Zap B)
Web API でアクセストークン取得 → 署名済み PDF をダウンロード
💾
04
Drive へ自動保存
契約書フォルダへ命名規則付きでアップロード

Webhook で締結完了を検知し、Web API 経由で PDF を取得・保存する

Zap を「通知」と「保存」の 2 本に分けているのは、PDF 取得が Web API のトークン発行を挟む分だけ実行時間が長くなるためです。通知だけは即座に届けたいので、あえて分離しています。次の設定手順で、この 2 本を順に組み立てます。

設定手順 (約110分)

Step 1
クラウドサインで Web API を有効化する (15分)

クラウドサインの管理画面 (組織設定 → API 設定) から Web API を「利用する」に設定します。この操作はコーポレートプラン以上でのみ表示されます。有効化すると、CORS Origin URL 設定と Webhook 設定の項目が追加で表示されます。あわせて API 利用に必要な client_id / client_secret を発行し、社内の秘密情報管理ルールに従って保管してください (Slack や Notion に平文で貼らない)。

Step 2
Zapier で 2 本の「Catch Hook」トリガーを作る (10分)

Zapier で新規 Zap を 2 本 (Zap A: 通知用、Zap B: 保存用) 作成し、それぞれのトリガーを「Webhooks by Zapier」の「Catch Hook」に設定します。作成すると Zap ごとに固有の Webhook URL が発行されるので、2 つとも控えておきます。

Step 3
クラウドサインの Webhook 通知先に 2 URL を登録 (10分)

API 設定内の Webhook 登録画面で、Step 2 で発行した 2 つの URL をそれぞれ「通知先」として追加します (最大 20 件まで登録可能)。通知条件は「文書が締結された時」のみにチェックし、却下・取消・メール不達の通知は外します。こうすることで Zapier 側にフィルター分岐を作らずに済み、構成がシンプルになります。

Step 4
Zap A — Slack 締結通知を組み立てる (15分)

Trigger: Webhooks by Zapier「Catch Hook」(Step 2 の URL 1)。受信 JSON には documentID (書類 ID)・status (状態を表す数値)・text (書類タイトル) 等が含まれます。Action: Slack「Send Channel Message」で #契約管理 チャンネルへ「締結完了: {{text}} (ID: {{documentID}})」の形式で投稿します。担当者を明示したい場合は、クラウドサイン側の書類タイトルに部署名や担当者名を含める運用にすると、Slack 本文への差し込みが安定します。

Step 5
Zap B Action 1 — アクセストークンを取得 (15分)

Trigger: Webhooks by Zapier「Catch Hook」(Step 2 の URL 2)。Action: Webhooks by Zapier「Custom Request」で POST https://api.cloudsign.jp/token に対し、Step 1 で発行した client_id / client_secret を Body に含めてリクエストします。レスポンスの access_token を後続ステップで使い回します。トークンの有効期限は発行から 1 時間のため、都度発行する設計にしておけば期限切れを気にする必要はありません。

Step 6
Zap B Action 2 — 文書情報から file ID を取得 (10分)

Action: Webhooks by Zapier「Custom Request」で GET https://api.cloudsign.jp/documents/{{documentID}} を、Header に Authorization: Bearer {{access_token}} (Step 5 の出力を差し込み) を付けて呼び出します。レスポンスに含まれる添付ファイルの file ID を次ステップで使用します。

Step 7
Zap B Action 3 — 署名済み PDF をダウンロード (15分)

Action: Webhooks by Zapier「Custom Request」で GET https://api.cloudsign.jp/documents/{{documentID}}/files/{{fileID}} を同じく Bearer トークン付きで呼び出し、レスポンスをファイルとして扱う設定にします (Zapier のバージョンにより表記が異なるため、Custom Request のレスポンス設定内で「ファイル出力」に相当する項目を確認してください)。あわせて GET /documents/{{documentID}}/certificate を呼べば、締結証明書 (合意締結証明書) も同様に取得できます。

Step 8
Zap B Action 4 — Google Drive へアップロード (20分)

Action: Google Drive「Upload File」で、Step 7 の出力ファイルを /契約書/{{年}}/ フォルダへ保存します。電子帳簿保存法の検索要件 (日付・金額・取引先) を意識し、ファイル名は YYYYMMDD_取引先名_書類タイトル.pdf の形式に統一するため、Formatter by Zapier で documentID の取得時刻や書類タイトルを整形してから渡します。

設定が完了すると、日々の運用は「クラウドサインで通常どおり契約書を送って締結する」だけになります。Slack 通知と Drive 保存は裏側で自動的に走ります。次は削減効果を編集部の試算で見てみましょう。

編集部のシミュレーション (期待効果の試算)

以下は 編集部による試算 です。実際の効果は契約件数・担当者の運用習熟度・既存フローにより変動します。

前提: 総務・法務担当 1 名、月間契約締結件数 20 件、現状は締結完了メールを都度確認し、手動で PDF をダウンロードして Drive にアップロードし、Slack で個別に共有している運用を想定。

導入前後の月間契約書管理工数 (編集部の試算)
Before (手動確認・保存)
  • 締結完了メールの確認: 月 1 時間
  • PDF の手動ダウンロード・命名: 月 2 時間
  • Drive への手動アップロード: 月 1 時間
  • 担当者への Slack 個別共有: 月 1 時間
  • 合計: 月 5 時間
After (Zapier 自動化)
  • Webhook/API 呼び出し (自動): 月 0 時間
  • 月次の保存先確認 (抜け漏れチェック): 月 0.5 時間
  • 合計: 月 0.5 時間

月 4.5 時間削減 = 総務担当の時給換算 ¥2,500/時として月 ¥11,250 相当。契約件数が多い月ほど削減効果は大きくなる。

定量化しにくい価値として、「締結したのに担当者への共有を忘れる」事故がなくなる 点も見逃せません。Webhook はイベント発生と同時に発火するため、人が確認を忘れても通知と保存は必ず走ります。

このシミュレーションを踏まえて、次は導入時に必ず押さえるべき注意点を確認します。

編集部の警告

警告 1: 「Drive に保存しただけで電子帳簿保存法対応が完了したと誤解する」

電子契約書は電子取引データに該当し、2024 年 1 月以降の電子帳簿保存法では電子データのまま保存することが義務化されています。ただし、単に Drive にファイルを置くだけでは検索要件 (取引年月日・取引金額・取引先での検索) やタイムスタンプ (または訂正削除履歴が残るシステムでの保存) の要件を自動的に満たすわけではありません。 本レシピのファイル命名規則はあくまで検索性を高める工夫の一つであり、法令要件を満たすかどうかは事務処理規程の整備状況や保存システムの仕様によって変わります。断定的な法的判断はできませんので、必ず顧問税理士または税理士等の専門家に、自社の保存要件充足について確認してください。

警告 2: 「client_id / client_secret の漏洩リスクを軽視する」

クラウドサインの Web API 認証情報は、漏洩すると契約書データへの不正アクセスにつながる機密情報です。Zapier の Custom Request 設定にベタ書きする場合、Zap の共有・複製時に認証情報ごとコピーされる恐れがあります。Zapier の Storage (Zapier Storage by Zapier) や環境変数的な管理方法を検討し、退職者・異動者が出た際は速やかにクラウドサイン側でトークンを再発行してください。

Tips: Webhook 通知条件は「締結完了のみ」に絞ると運用が安定する

Step 3 で解説したとおり、却下・取消・メール不達まで全部 Zapier に流すと、Zap 側でステータス分岐 (Filter) を組む必要が出て複雑化します。まずは「締結完了」のみに絞って運用を安定させ、必要になった時点で却下通知用の Zap C を追加する方が着実です。

Tips: コーポレートプランへの切り替えは契約更新月に合わせる

クラウドサインのプラン変更は日割り計算の有無が契約条件により異なります。ライトプランからコーポレートプランへの切り替えを検討する場合は、契約更新のタイミングで問い合わせ窓口に確認すると無駄なコストを避けられます。

警告を踏まえれば、次は補助金の活用です。契約書管理の DX 投資は補助金の対象になり得ます。

補助金活用 (編集部の提案)

IT 導入補助金 + 小規模事業者持続化補助金

クラウドサインのようなクラウドサービス (SaaS) 導入は IT 導入補助金 (デジタル化基盤導入枠) の対象になり得ます。個人事業主や小規模法人であれば 小規模事業者持続化補助金 の対象経費に含められるケースもあります。Zapier や Google Workspace は周辺費用としての扱いになりやすいため、クラウドサインの契約プランを主軸に申請設計するのが現実的です。詳細要件は IT 導入補助金 2026 解説持続化補助金 2026 解説 で確認してください。

導入前に気になる疑問を次のセクションでまとめます。

よくある質問

Q. クラウドサイン以外の電子契約サービスなら Zapier 公式連携がある?

編集部の答え: サービスによって異なります。DocuSign や Adobe Acrobat Sign など海外発のサービスは Zapier アプリディレクトリに公式連携が掲載されていることがあります。国内サービスはクラウドサインを含め、Web API + Webhook を自前で組み合わせる方式が主流です。乗り換えを検討する際は、Zapier アプリディレクトリで対象サービス名を検索し、公式連携の有無を確認してから設計方針を決めてください。

Q. コーポレートプランでなければこの自動化は一切できない?

編集部の答え: Web API・Webhook を使う本レシピはコーポレートプラン以上が前提です。ライトプランのまま自動化したい場合、クラウドサインからの締結完了メールを Gmail で受信し、Gmail 添付ファイルを Drive に自動保存するレシピを応用して、メール本文の解析ベースで簡易的な自動化を組む代替案があります。ただし添付 PDF の有無やメール文面の変更に弱く、API 連携ほどの安定性は期待できません。

Q. Custom Request で PDF のような バイナリファイルを本当に扱える?

編集部の答え: Zapier の「Webhooks by Zapier」は Custom Request のレスポンスをファイルとして後続アクションに渡す機能を持っていますが、UI 上の設定名称や挙動はバージョンにより変わることがあります。導入前に Zapier のヘルプドキュメントで最新の Custom Request 仕様を確認し、小さなテスト書類で一度エンドツーエンドの動作確認をしてから本番運用に移行することを推奨します。

Q. Slack 通知だけで PDF 保存は不要な場合、Zap B は省略できる?

編集部の答え: 省略できます。Zap A (Slack 通知) だけでも、Step 1〜3 のうち Web API の有効化と Webhook URL 1 件の登録のみで完結し、設定時間は 40 分程度に短縮できます。PDF の原本管理は既存の運用 (クラウドサイン内での保管、または手動ダウンロード) を続ける選択も現実的です。

Q. Make.com や n8n でも同じ設計は可能?

編集部の答え: 可能です。いずれのツールもクラウドサインの公式コネクタは提供していないため、Make.com なら HTTP モジュール、n8n なら HTTP Request ノードで同様の Web API 呼び出しを組み立てられます。本レシピを Zapier で示しているのは、Slack・Google Drive の接続設定が Zapier で最も簡単なためです。

拡張アイデア

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まとめ

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クラウドサインには Zapier 公式連携がないため、「Webhooks by Zapier」とクラウドサイン自身の Web API を組み合わせる設計が必要です。コーポレートプラン以上への切り替えという前提条件はありますが、いったん構築すれば契約締結の通知漏れと保存作業を月 4 時間以上削減できます。

ただし、Drive への保存が電子帳簿保存法の要件を自動的に満たすわけではない点は繰り返し強調します。ファイル命名や保存フォルダの設計だけで安心せず、必ず税理士等の専門家に自社の要件充足を確認したうえで運用を開始してください。


出典・参考情報


本記事の数値・事例のうち、「編集部のシミュレーション」「編集部の提案」 と明示された箇所は編集部による試算・推論です。実際の効果は事業特性により変動します。事実関係 (機能・料金・API 仕様) は各社公式情報源を確認のうえご判断ください。電子帳簿保存法の要件充足については税理士等の専門家にご相談ください。

編集長 Mira / AI経営ラボ 本記事は 2026-07-26 時点の情報です。料金・機能・API 仕様は各社公式情報を最新でご確認ください。

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