Zapierとマネーフォワードで入金消込→Slack通知を自動化 経理確認を毎日5分に
マネーフォワード クラウドで入金消込が終わったかどうか、わざわざ画面を開いて確認していませんか。編集部は「消込が終わった請求書だけをSlackに自動通知する」仕組みを整理しました。Zapierにマネーフォワード クラウド会計の公式連携は存在しないため、本記事はWebhooks by ZapierとマネーフォワードのAPIを組み合わせる構成で解説します。
- Zapierにマネーフォワード クラウド会計・債権管理の公式連携アプリは存在しない (連携があるのは別製品の「マネーフォワードAdmina」のみ)
- そのため本レシピは「Webhooks by Zapier」でマネーフォワード クラウドAPIを直接呼び出す構成にする
- APIは「OAuth 2.0」(外部サービスにログイン許可だけを安全に渡す認証の仕組み) 方式のため、開発者サイトでのアプリ登録という一段階専門的な準備が必要
- 設定は約120分。API登録が初めての場合は情報システム担当者や導入支援業者に一度だけ依頼するのも現実的な選択肢
- 編集部の試算では、入金消込の確認作業を毎日5分程度に圧縮できる
- API連携が難しい場合の代替として、CSVエクスポート経由の簡易ルートも本文後半で紹介
編集長の見解
この記事を書くうえで最も大事にしたのは「存在しない連携を存在するかのように書かない」ことです。ZapierとマネーフォワードのAdmina (IT資産管理クラウド) には公式連携がありますが、会計・債権管理とは別製品です。会計側を自動化したいなら、ZapierのWebhooks機能でAPIを直接呼ぶ以外に方法がありません。技術的なハードルは正直にお伝えしたうえで、それでも得られる効果 (消込確認の時短) が投資に見合うかを判断材料にしてください。
このレシピで解決する課題
掛け売り・請求書発行のある中小企業や個人事業主が、入金消込のあとに抱えがちな悩みを整理しました。
- 消込済みかどうかを毎回画面で確認: マネーフォワード クラウド債権管理を開いて、どの請求書の入金が消し込まれたかを目視でチェック
- 経理担当者以外が状況を知らない: 営業担当や経営者が「あの請求書、入金確認できた?」と経理に都度聞きに行く
- 消込漏れの発見が遅れる: 未消込のまま放置され、督促のタイミングを逃す
- 確認作業が属人化: 経理担当者が休むと、入金状況を誰も確認できない
これらは「消込が終わった瞬間に関係者へ知らせる」仕組みがあれば大きく軽減できます。次に、なぜこの構成にZapierの標準アプリではなく「Webhooks」を使うのかを説明します。
なぜ「Webhooks by Zapier + API」なのか (公式連携の確認結果)
執筆にあたり、編集部はZapierの連携アプリ一覧とマネーフォワード公式サイトの両方を確認しました。
編集部メモ
Zapierの連携先として見つかる「マネーフォワード」はマネーフォワードAdmina (社内のSaaS・IT資産を管理するツール) 向けの連携です。これは請求書や入金消込を扱う「マネーフォワード クラウド会計」「マネーフォワード クラウド債権管理」とは別の製品であり、Zapierの公式アプリ一覧に会計・債権管理向けの連携は見当たりませんでした。
一方で、マネーフォワード クラウド会計・確定申告を契約していれば、追加費用なしで使える「マネーフォワード クラウド会計API」が公式に提供されています。認証方式はOAuth 2.0で、APIキーのみでの認可には対応していません。つまり「Zapierの決まった画面をポチポチするだけ」では組めず、以下のいずれかの構成を取ることになります。
| 構成 | 難易度 | 向いているケース |
|---|---|---|
| Webhooks by Zapier + マネーフォワード クラウドAPI (本記事のメイン解説) | やや高い (OAuth設定が必要) | 消込の発生を数十分〜1時間単位で検知したい事業者 |
| CSVエクスポート経由 (本文後半で紹介) | やさしい | API設定に抵抗があり、1日1回の確認で十分な事業者 |
存在しない連携は書きません: 一部の情報サイトでは「Zapierとマネーフォワードを簡単連携」という表現を見かけますが、2026年7月時点でマネーフォワード クラウド会計・債権管理向けのZapier公式アプリは確認できませんでした。本記事はAPIを直接呼び出す前提で手順を解説します。
この前提を踏まえて、まずは全体のデータの流れを図で確認しましょう。
完成形 (全体フロー)
Zapierが定期的にマネーフォワード クラウドAPIへ問い合わせ、新しく消込済みになった請求書だけをSlackに知らせる
図のとおり、経理担当者がやることは「Slackに流れてきた通知を確認するだけ」になります。次に必要なツールと費用を整理します。
必要なツールとコスト
| ツール | 役割 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド会計・確定申告 | 会計・債権管理・APIの提供元 | 契約中のプラン料金のみ (API利用に追加費用なし) |
| Zapier | 定期実行・API呼び出し・Slack通知を橋渡し | Starter以上を推奨、$19.99 (約¥2,800) 前後 |
| Slack | 通知の受け皿 | 無料プランで運用可 |
Zapierの無料プランは「Schedule by Zapier」など一部トリガーが使えず、タスク数の上限も低いため、本レシピは有料プラン (Starter以上) を前提にしています。正確な料金は変動するため、契約前に必ず Zapierの料金ページ を確認してください。
編集部のヒント
Webhooks by ZapierとStorage by Zapierは、どちらもZapier本体の機能なので追加契約は不要です。個別のアプリとして探すのではなく、Zap編集画面の検索窓で「Webhooks by Zapier」「Storage by Zapier」と入力すれば見つかります。
ツールが揃ったら、いよいよ設定手順です。API登録を含むため、初回は約120分を見込んでください。
設定手順 (約120分)
マネーフォワード クラウド開発者サイトにマネーフォワードIDでログインし、新規アプリを登録します。この操作には管理コンソールで「全権管理」権限が必要です。登録が完了すると、Client IDとClient Secretが発行されます。あわせてアプリポータル側で、連携させたいユーザーの権限編集画面から「アプリ連携」「クラウド会計・確定申告」にチェックを入れて保存してください。この作業は非エンジニアには難しいため、社内のIT担当者や導入支援業者に依頼するのも現実的です。
APIキー単体での認可には対応していないため、開発者サイトのチュートリアルに沿って認可コードを取得し、アクセストークンとリフレッシュトークンを発行します。アクセストークンは短時間で失効する設計のため、リフレッシュトークンを使って定期的に再発行する前提で組み立てます。
新しいZapを作成し、トリガーにSchedule by Zapierを選択。「Every Hour」または「Every Day」など、消込の確認頻度に合わせて間隔を設定します。頻繁に消込が発生する事業者は1時間おき、そうでなければ1日1回でも十分です。
アクションにWebhooks by ZapierのPOSTを選び、Step 2で取得したリフレッシュトークンを使ってアクセストークンを再発行するリクエストを組みます。レスポンスの新しいアクセストークンを、次のステップで使う変数として保持します。
もう1つWebhooks by ZapierのGETアクションを追加し、マネーフォワード クラウド会計APIリファレンスを参照しながら、消込済みの取引・入金データを取得するエンドポイントを呼び出します。Authorizationヘッダーに、Step 4で取得したアクセストークンをBearerトークンとして設定します。
取得したデータには過去に通知済みの消込も含まれるため、Storage by Zapierで「前回まで通知済みのID一覧」を保存・比較し、Filter by Zapierで新規に消込済みとなった請求書だけを後続に残します。この一手間を省くと、同じ通知がSlackに何度も流れてしまいます。
アクションにSlackを選び、「Send Channel Message」で経理チャンネルに請求書番号・取引先・入金額・消込日を投稿します。あわせてStorage by Zapierに今回通知したIDを書き戻し、次回以降の重複通知を防ぎます。最後にテスト実行で正しく1件だけ通知されるか確認し、問題なければZapを有効化します。
開発者サイトでのアプリ登録から本番稼働まで
ここまで組めば、消込が発生するたびにSlackへ自動で通知が届く体制が完成します。次に、この仕組みでどれだけ作業が減るのかを試算します。
編集部によるシミュレーション (期待効果の試算)
以下は編集部による試算です。実際の効果は請求書発行件数・消込頻度・現状の確認フローによって変動します。
前提: 掛け売り取引のある中小企業1社、月の請求書発行件数80件、これまで経理担当者が毎朝クラウド債権管理の画面を開いて消込状況を目視確認していたと想定します。
- 消込状況の確認: 毎朝 約15〜20分、画面を開いて目視
- 営業担当への回答: 都度、経理に確認 (1件あたり数分)
- 消込漏れの発見: 翌営業日以降に気づくことも
- 担当不在時: 確認できず放置されやすい
- 消込状況の確認: Slack通知を見るだけ、1日約5分
- 営業担当への回答: Slackチャンネルを見れば自己解決
- 消込漏れの発見: 消込済み以外は通知が来ないため気づきやすい
- 担当不在時: 通知はチャンネル全員に届くため止まらない
1日あたり約10〜15分の確認作業を5分程度に圧縮 (編集部試算)。月20営業日なら月3〜4時間相当
数字以上に大きいのは「経理担当者しか状況を知らない」という属人化が解消される点です。営業担当や経営者もSlackを見れば入金状況がわかるため、催促や資金繰りの判断が早くなります。次に、この構成で特につまずきやすい落とし穴を共有します。
失敗パターン
失敗1: アクセストークンの失効に気づかず通知が止まる — OAuth 2.0のアクセストークンは短時間で失効する設計です。Step 4のトークン更新ステップを省略したり、リフレッシュトークン自体が失効した場合、Zapが静かに失敗し続けることがあります。Zapierの「Zap履歴」を定期的に確認するか、エラー発生時にメール通知が届く設定にしておきましょう。
失敗2: 重複通知でSlackが埋まる — Step 6の「新規分だけ抽出」を組まずにAPI取得結果をそのままSlackへ流すと、定期実行のたびに過去分も含めて大量に通知されます。Storage by Zapierでの比較は省略せずに組んでください。
失敗3: API登録権限を持つ担当者が退職して更新できなくなる — 開発者サイトのアプリ登録は「全権管理」権限を持つ特定の担当者が行います。その担当者が退職・異動すると、トークンの再設定ができなくなるおそれがあります。登録情報とログイン方法は複数人で共有し、属人化させないようにしてください。
これらは初回設定時に気をつければ防げるものばかりです。ここまで読んで「API連携はハードルが高い」と感じた場合の代替ルートも紹介します。
代替ルート: API連携が難しい場合のCSVエクスポート経由
編集部の提案: マネーフォワード クラウド債権管理には、消込済み入金データにチェックを入れた状態でCSVをダウンロードする機能があります。社内にAPI連携を組める担当者がいない場合は、次の簡易ルートも検討してください。
- 経理担当者が1日1回、マネーフォワード クラウド債権管理から消込済み入金データのCSVをダウンロードする
- CSVをGoogle DriveやDropboxの指定フォルダに保存する
- Zapierの「Google Drive」または「Dropbox」の公式トリガー (新規ファイル検知) でZapを起動する
- 「Formatter by Zapier」でCSVの内容を整形し、Slackへ通知する
このルートはAPI登録もOAuth設定も不要で、ZapierとGoogle Drive・Slackの標準アプリだけで組めます。ただしCSVのダウンロード自体は手作業のまま残るため、「完全自動化」ではなく「確認作業の一部を自動化」という位置づけになる点は正直にお伝えしておきます。
続いて、法務・規約面で確認しておくべき点をまとめます。
注意点 (法務・API利用規約面)
- API利用は自己責任: マネーフォワード クラウドAPIの利用は開発者サイトの利用規約に従います。トークンやシークレットの管理方法は必ず開発者サイトの最新情報を確認してください
- アクセストークンの共有禁止: Client SecretやリフレッシュトークンはZapierの認証情報として保存されますが、第三者と共有したり、公開リポジトリに書き込んだりしないこと
- Slack通知の内容: 取引先名や金額を含む通知をSlackに流すため、経理チャンネルの参加者を必要な範囲に限定し、情報漏えいを防いでください
- Zapierの利用規約: タスク数の上限を超えるとZapが停止します。定期実行の頻度とタスク消費量のバランスを見ながらプランを選んでください
トラブルシューティング
Q: アクセストークンがすぐに失効してAPI呼び出しがエラーになる
A: OAuth 2.0の設計上、アクセストークンは短時間で失効します。Step 4のリフレッシュ処理を、消込データ取得の直前に毎回実行するようZapの順序を組んでください。
Q: Slackに同じ請求書の通知が何度も届く
A: Storage by Zapierでの重複チェック (Step 6) が正しく機能していない可能性があります。保存しているIDのキー設計 (請求書番号か取引IDか) を見直し、比較ロジックを確認してください。
Q: API登録をする担当者がおらず前に進めない
A: 本文後半の「代替ルート: CSVエクスポート経由」を検討してください。API連携より確認頻度は落ちますが、非エンジニアでも組める構成です。
まとめ
マネーフォワード クラウドには、Zapierの公式連携アプリが存在しません (連携があるのは別製品のAdminaのみ)。それでも「Webhooks by Zapier」でAPIを直接呼び出せば、入金消込の結果をSlackへ自動通知する仕組みは作れます。設定には開発者サイトでのアプリ登録というひと手間がかかりますが、編集部の試算では毎日の消込確認作業を5分程度に圧縮できます。
API連携のハードルが高いと感じる場合は、CSVエクスポート経由の簡易ルートから始め、運用に慣れてから本格的なAPI連携へ移行する進め方も現実的です。まずはZapierの無料トライアルでSchedule機能とSlack連携の感触を確かめてみてください。
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出典・参考情報
- Zapier公式サイト
- Zapier料金ページ
- Zapier × Slack連携
- Zapier — Webhooks by Zapierの使い方
- マネーフォワードAdmina × Zapier連携 (会計・債権管理とは別製品)
- マネーフォワード クラウド会計APIについて
- マネーフォワード クラウド開発者サイト
- マネーフォワード クラウド会計APIリファレンス
- マネーフォワード クラウドAPI利用開始ガイド
- 中小企業庁 IT導入補助金
よくある質問
Q. プログラミングの知識がなくても設定できますか?
編集部の答え: API連携ルートは、OAuth 2.0の認可設定やWebhooksのリクエスト組み立てが必要なため、非エンジニアには難易度が高めです。IT担当者や導入支援業者に初回設定だけ依頼するか、本文で紹介したCSVエクスポート経由の代替ルートから始めることをおすすめします。
Q. なぜ他のfreee連携レシピのように「画面操作だけ」で組めないのですか?
編集部の答え: freeeにはZapierの公式連携アプリがありますが、マネーフォワード クラウド会計・債権管理には2026年7月時点で公式連携アプリが存在しないためです。同じ「経理の自動化」でも、連携先によって難易度が大きく変わる点に注意してください。
Q. 月々のコストはどれくらいですか?
編集部の答え: マネーフォワード クラウドAPI自体は追加費用なしで使えます。追加でかかるのはZapierの有料プラン (Starter以上、$19.99・約¥2,800前後) のみです。正確な料金はZapierの料金ページでご確認ください。
本記事の数値・試算のうち、「編集部による試算」「編集部の提案」と明示された箇所は編集部による試算・推論です。実際の効果は事業特性により変動します。事実関係 (機能・料金・連携の有無) は各社公式情報源を確認のうえご判断ください。
編集長 Mira / AI経営ラボ 本記事は2026-07-26時点の情報です。料金・機能・API仕様は各社公式情報を最新でご確認ください。
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