業務自動化

Make.comでスプレッドシート更新→LINE自動通知 在庫アラートを自動化する方法

小売店・EC・個人事業主 (スプレッドシートで在庫を管理する小規模店舗・物販事業者) の業務自動化レシピ
業種小売店・EC・個人事業主 (スプレッドシートで在庫を管理する小規模店舗・物販事業者)
ツールMake.com
難易度★☆☆ 易
設定時間約 60 分

「気づいたら売れ筋が在庫切れだった」 ── スプレッドシートで在庫を管理する小規模店舗に頻発する悩みです。Make.com を使い、在庫数が基準値を下回った行だけを検知して LINE へ自動通知すれば、棚卸し確認と発注漏れの手作業を編集部試算で週約2時間削減できます。本記事は60分で組めるセットアップ手順です。

読了時間 約9分 / 設定所要時間 約60分 / 月額固定費 ¥0-1,500

編集長の見解 ── 在庫管理の自動化で最初につまずくのは、「全行を毎回チェックして全部通知する」設計 です。これだと在庫が潤沢な商品まで延々と通知され、LINE が鳴りっぱなしになって誰も見なくなります。本レシピは「在庫数 < 基準値の行だけ」 を Make の Filter で絞り込み、必要な警告だけを LINE に届ける設計を必ず入れます。スプレッドシートを在庫の「正本」 として使い続けながら、危険水準だけを人の目に届ける ── この役割分担が、月¥0 (Make Free 枠) で回せる現実的な在庫アラートの肝です。

なぜスプレッドシートの在庫管理は「見落とし」が起きるのか

スプレッドシートでの在庫管理は手軽な一方で、「数字を見に行かないと気づけない」 構造的な弱点があります。小売店の経営者や個人事業主が、忙しい日にシートを開き忘れた結果、売れ筋が在庫ゼロのまま機会損失していた ── という場面は珍しくありません。

課題1件あたり所要週の換算
在庫シートを開いて目視確認約5分週 約0.6時間
在庫薄の商品を拾い出す約4分週 約0.5時間
発注すべき商品をメモ・連絡約4分週 約0.5時間
在庫切れ後の後追い対応約8分週 約0.5時間
合計 (1日1-2回確認想定)約21分/回平均週 約2.1時間

このうち 「目視確認」 と「在庫薄の拾い出し」 は機械化できる領域で、合計の大半を占めます。Make.com で「基準を下回った行だけ自動で LINE 通知」 する仕組みに切り替えるだけで、編集部試算で 週約2時間 の確認工数が戻ってきます。

加えて、見落としによる機会損失 (売れ筋の欠品) を減らせる効果は、削減工数以上に大きい場合があります。Make Free 枠 (¥0) で組めば、投資回収はそもそも発生しません。

続いて、編集部が実装した全体像を ProcessFlow で示します。

完成形のフロー (ProcessFlow)

Make.com × Google スプレッドシート × LINE 在庫アラート自動通知レシピ
01
定期実行
Make が15分〜1時間ごとに在庫スプレッドシートを自動で読み込む
📊
02
在庫数を取得
Google Sheets から商品名・在庫数・基準値の各行を読み取る
🔍
03
閾値フィルタ
「在庫数 < 基準値」 の行だけを通過させ、潤沢な商品は除外
🧹
04
通知文を整形
商品名・残数・基準値をまとめ、読みやすいメッセージ本文を生成
💬
05
LINE 通知
LINE 公式アカウントから担当者・グループへアラートを自動送信

スプレッドシートを定期チェック → 在庫薄を抽出 → LINE に通知、までを自動制御

ポイントは Step 03 の閾値フィルタを必ず上流に置く ことです。全商品をそのまま LINE に流すと通知が洪水になり、肝心の警告が埋もれます。最初に「基準割れの行だけ」 へ絞り込むと、後段の通知量が現実的なレベルに収まります。

次セクションでは、このフローを動かす最低限のツール構成を整理します。

必要なツール (小規模店舗向け最小構成)

ツールプラン月額 (税別)役割
Make.comFree (月1,000 オペレーション)¥0フロー全体の制御 (上位プラン: Core 約¥1,500)
Google スプレッドシート無料 (Google アカウント)¥0在庫数の正本データベース
LINE 公式アカウントコミュニケーションプラン¥0アラートの送信先 (無料枠 月200通まで)
LINE Messaging API無料¥0Make から LINE へ通知を送るための接続

合計: 月 ¥0 (すべて無料枠で完結)。Make の上位プランや LINE の有料プランを使う場合でも、月¥5,000 前後の範囲に収まる試算です。

オペレーション消費の試算: 1回のチェックあたり Make モジュール 3-5個 (スケジュール起動 / シート読み取り / Filter / 通知文整形 / LINE 送信 など) を通過します。1時間ごとに実行しても 1日 約24回 × 月30日 = 月720回前後 で、Free 枠 (1,000 オペレーション) に収まる計算です。15分間隔にすると枠を超えるため、後述の通り 実行間隔を1時間〜数時間に設定する のが定石です。

編集部の判断: 在庫アラートは「数分の遅れ」 が致命傷になりにくい用途です。実行間隔を1時間程度に広げれば Free 枠で十分回ります。複数シート・多店舗運用が見えてきたら Core プラン (約¥1,500 / 10,000 オペレーション) への切り替えが現実的です。

💡 Make の「オペレーション」 とは

1つのモジュールが1回実行されると1オペレーションを消費する仕組みです。本レシピは1回のチェックあたり3-5オペレーションなので、実行間隔を1時間にすると月700-1,200オペレーション前後。Free 枠 (月1,000) ぎりぎりの場合は2-3時間間隔に広げると安全です。詳細は Make.com Pricing を参照してください。

続いて、実装手順を TimelineSteps で示します。

設定手順 (約60分)

Make.com × Google スプレッドシート × LINE セットアップ
00:00 - 00:15
在庫スプレッドシートを準備
「在庫一覧」 シートを作り、1行目に 商品名 / 在庫数 / 基準値 / 通知済みフラグ の見出しを入れます。Make が読み取る土台です。
00:15 - 00:30
LINE 公式アカウントと Messaging API を準備
LINE Developers でチャネルを作成し、Messaging API のチャネルアクセストークンと、通知先 (ユーザー or グループ) を用意します。
00:30 - 00:45
Make シナリオでスプレッドシート読み取りを追加
Make で新規シナリオを作成し、Schedule トリガーと Google Sheets の「Search Rows」 モジュールを配置。在庫一覧シートの全行を取得します。
00:45 - 00:55
閾値フィルタと LINE 送信を接続
「在庫数 < 基準値」 の Filter を挟み、LINE の「Send a Push Message」 モジュールに商品名・残数をマッピングします。
00:55 - 01:00
テスト実行とスケジュール設定
在庫数を意図的に基準以下にして Run once を実行し、LINE に通知が届くか確認。問題なければ実行間隔 (1時間ごと等) を設定して稼働開始です。

初日60分で稼働開始できる順序。スプレッドシート準備 → LINE 接続 → Make シナリオ接続の3ブロック構成

Step 1: 在庫スプレッドシートを準備 (15分)

Google ドライブで新規スプレッドシートを作り、1行目に見出しを入れます。構成例は以下です。

見出し用途
A商品名アラート文に表示する商品の名前
B在庫数現在の在庫 (数値)
C基準値これを下回ると通知する閾値 (数値)
D通知済みフラグ重複通知を防ぐための印 (任意)

見出し行を1行目に置いておくと、Make の「Search Rows」 が列を自動認識しやすくなります。在庫数と基準値は必ず「数値」 として入力 してください。文字列だと Make 側の大小比較が正しく動きません。

Step 2: LINE 公式アカウントと Messaging API を準備 (15分)

LINE Developers - Messaging API をはじめよう に従って、以下を順に進めます。

  1. LINE Developers コンソールでプロバイダーと Messaging API チャネル を作成
  2. チャネル基本設定から チャネルアクセストークン (長期) を発行
  3. 通知を受け取る LINE アカウントを公式アカウントの友だちに追加し、送信先の ユーザー ID (またはグループ ID) を取得
  4. 無料の「コミュニケーションプラン」 では 月200通まで 送れる点を確認

チャネルアクセストークンは パスワード相当の機密情報 です。1Password / Bitwarden 等の管理ツールに必ず控え、平文での共有や LINE 投稿は避けてください。漏れると外部から公式アカウント名義でメッセージを送られる恐れがあります。

Step 3: Make シナリオでスプレッドシート読み取りを追加 (15分)

Make.com にログインし、新規シナリオを作成します。

  1. 最初のモジュールに Schedule (定期実行) を設定し、間隔を「1時間ごと」 などに指定
  2. 次に Google Sheets → Search Rows を配置し、Connection を作成して Step 1 のスプレッドシートとシート名を選択
  3. Filter (検索条件) は空のままにして、いったん全行を取得する設定にする
  4. 「OK」 → 保存

ここでシートの全行が Make に読み込まれる状態を作ります。閾値での絞り込みは次の Step 4 で行います。

Step 4: 閾値フィルタと LINE 送信を接続 (10分)

4-1: 「在庫数 < 基準値」 だけ通すフィルタ

Search Rows と LINE 送信モジュールの間に Filter を挟みます。条件は 「在庫数 (B列) が 基準値 (C列) より小さい (Less than)」 に設定します。これにより、在庫が潤沢な商品はこの先に進まず、通知は基準割れの商品だけに絞られます。

重複通知を抑えたい場合は、ここに「通知済みフラグ (D列) が空」 という条件を AND で追加し、通知後にフラグを立てる運用にすると鳴りすぎを防げます。

4-2: LINE に Push メッセージを送信

LINE → Send a Push Message モジュールを追加し、Step 2 のチャネルアクセストークンと送信先 ID を設定します。メッセージ本文には Search Rows の値をマッピングします。

メッセージ要素スプレッドシート側のマッピング
商品名A列 (商品名)
在庫数B列 (在庫数)
基準値C列 (基準値)
文面例⚠️ 在庫アラート: {商品名} 残り{在庫数}個 (基準{基準値}個)

ここまでで「基準を割った商品だけが LINE に届く」 状態が完成します。

公式ドキュメント参考: LINE Messaging API - メッセージを送信する / Google Sheets API - Writing values

Step 5: テスト実行とスケジュール設定 (5分)

スプレッドシートで、ある商品の在庫数を意図的に基準値より小さくします。Make シナリオ右下の Run once を押し、数秒〜数十秒で LINE にアラートが届けば成功です。

確認できたらシナリオを ON にし、実行間隔を1時間ごと などに設定します。Free 枠を守るため、15分間隔ではなく1時間〜数時間間隔にするのがオペレーション消費を抑える定石です。

続いて、編集部が試算した導入前後の業務指標を整理します。

Mira のシミュレーション (期待効果の試算)

以下は 編集部による試算 です。実際の効果は商品点数・確認頻度・既存の運用体制により変動します。 背景: 中小企業庁「中小企業白書」 では、在庫・受発注管理に関わる事務作業は小規模事業者で相当の時間を占めるとされ、デジタル化による削減余地が指摘されています。

前提: 商品50-200点を1枚のスプレッドシートで管理し、担当者が1日1-2回シートを開いて在庫薄を目視確認している小規模店舗を想定:

導入前後の業務指標 (編集部の試算)
Before (手動の目視確認)
  • 在庫確認工数: 週 約2.1時間
  • 在庫切れの見落とし: 週 1-2件
  • 気づくまでの時間: 半日〜1日
  • 発注漏れ: 週 1件前後
After (Make 自動 LINE 通知)
  • 在庫確認工数: 週 約0.3時間 (-1.8h)
  • 在庫切れの見落とし: ほぼ0 (自動検知)
  • 気づくまでの時間: 最短1時間 (通知間隔)
  • 発注漏れ: 大幅減 (通知で気づける)

週 約2時間削減 = 時給 ¥2,000 換算で週 ¥4,000、月 ¥16,000 のスタッフ人件費圧縮 + 機会損失の低減

時給¥2,000 のスタッフ換算で週¥4,000、月¥16,000 規模の工数削減効果が、月 ¥0 (Make Free 枠) の投資で得られる試算 です。さらに「売れ筋の欠品による販売機会の損失」 を減らせるため、投資対効果 (ROI) としては工数削減額以上の価値が見込めます。

次に、編集部が現場で見てきた失敗パターンを3つ整理します。

編集部の警告 (失敗パターン)

失敗パターン 1: 同じ商品が毎回通知され続ける

在庫が基準を下回ったまま放置されていると、実行のたびに同じ商品が何度も通知され、LINE が鳴りっぱなしになります。対策は 「通知済みフラグ」 列を1つ用意 し、通知後にフラグを立て、Filter で「フラグが空の行だけ」 を通すこと。発注して在庫が戻ったらフラグをリセットする運用にすると、通知が1回だけに収まります。

失敗パターン 2: 在庫数を文字列で入れて比較が効かない

在庫数や基準値のセルが「数値」 ではなく「文字列」 になっていると、Make の Less than 比較が正しく動かず、通知が飛ばない・全件飛ぶといった誤作動が起きます。該当セルの書式を「数値」 に統一 し、全角数字や単位 (「10個」 等) を混ぜないようにしてください。在庫数は半角の数字だけにするのが鉄則です。

失敗パターン 3: LINE トークンの期限切れ・権限不足で送信できない

チャネルアクセストークンの種類を誤ったり、期限の短いトークンを使うと、ある日突然通知が止まります。「長期」 のチャネルアクセストークンを発行 し、Messaging API が有効化されているかを確認してください。また LINE 無料プランは 月200通まで のため、通知が多い場合は閾値を見直すか有料プランを検討します。LINE 公式アカウント 料金プラン

続いて、月¥0 の運用をさらに広げたい場合の補助金活用案を編集部から提案します。

補助金活用 (編集部の提案)

💰 IT 導入補助金 + 小規模事業者持続化補助金

本レシピ単体は月¥0 で運用できますが、在庫管理をスプレッドシートから本格的な在庫管理システム・POS 連携まで広げる場合、IT 導入補助金 2026 (最大¥450万、補助率 1/2 - 3/4)小規模事業者持続化補助金 (最大¥200万) の対象になり得ます。詳しくは IT 導入補助金 2026 / 小規模事業者持続化補助金 2026 の解説記事を参照してください。

なお、補助金の採択 (申請が通ること) は要件審査次第で必ずもらえるものではありません。事業計画書には本記事の自動化レシピを「在庫管理の業務改善・機会損失の低減施策」 として位置付けると、加点要素になりやすい傾向があります。

関連レシピ

導入を進める前後で、以下の関連レシピも合わせて検討すると効果が拡張できます。

まとめ

スプレッドシートの在庫数が基準を割った瞬間に「LINE で人に届ける」 運用は、月 ¥0 (Make Free 枠 + LINE・Google 無料枠) の初期投資で 週 約2時間の確認工数削減 が現実的に達成できます。Make Free プランの1,000オペレーション枠は、実行間隔を1時間〜数時間に設定すれば十分にまかなえる試算です。

重要なのは「在庫数 < 基準値の行だけを通す」 設計を維持することと、重複通知を防ぐフラグ運用在庫数を数値で持つ という2つの仕様を理解することです。60分のセットアップさえ越えれば、翌日から在庫管理が「シートを見に行く」 から「LINE が教えてくれる」 に変わります。


出典・参考情報


よくある質問

Q. Make Free プラン (月1,000 オペレーション) で本当に足りますか?

編集部の答え: 実行間隔を1時間ごとにすれば、1日24回 × 月30日で月720回前後の起動となり、1回3-5オペレーション消費でも Free 枠内に収まる試算です。枠ぎりぎりが不安なら2-3時間間隔に広げてください。在庫アラートは数分の遅れが致命傷になりにくいため、間隔を広げても実用上の支障はほぼありません。

Q. LINE ではなく Slack やメールに通知できますか?

編集部の答え: できます。Step 4-2 の「Send a Push Message」 を Slack や Gmail のモジュールに差し替えるだけです。LINE はスマホの通知が届きやすく、現場スタッフが見やすいため、小売店では LINE 通知が好まれる傾向があります。

Q. 商品が何百点もありますが大丈夫ですか?

編集部の答え: 大丈夫です。Search Rows は1回の実行で全行を取得し、Filter で基準割れの行だけが先に進みます。ただし在庫薄の商品が一度に何十件もあると LINE 通知が多くなるため、「通知済みフラグ」 運用や、1通にまとめて送る設計 (集約) を併用すると見やすくなります。

Q. LINE 無料プランの月200通を超えそうです。

編集部の答え: まず「通知済みフラグ」 で重複通知を止め、本当に必要な警告だけに絞ってください。それでも超える場合は、複数商品を1通のメッセージに集約する設計に変えるか、LINE 公式アカウントの有料プラン (ライト・スタンダード) を検討します。料金は LINE 公式アカウント 料金プラン を確認してください。

Q. 在庫数の更新自体も自動化できますか?

編集部の答え: 本レシピは「スプレッドシートの在庫数を読んで通知する」 部分の自動化です。在庫数の更新 (販売・入荷の反映) は、POS や EC のデータをスプレッドシートに連携する別レシピが必要です。まずは手動更新 + 自動通知から始め、運用が固まってから入力側の自動化に進むのが現実的です。


本記事の数値・事例のうち、「編集部のシミュレーション」「編集部の提案」 と明示された箇所は編集部による試算・推論です。実際の効果は店舗特性により変動します。事実関係 (機能・料金) は各社公式情報源を確認のうえご判断ください。

編集長 Mira / AI経営ラボ 本記事は 2026-06-17 時点の情報です。料金・機能は各社公式情報を最新でご確認ください。

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