Make.comでSlack投稿→スプレッドシート記録自動化 議事ログ週2時間削減

中小企業・個人事業主 (社内チャットで意思決定する小規模チーム・士業・店舗本部) の業務自動化レシピ

業種: 中小企業・個人事業主 (社内チャットで意思決定する小規模チーム・士業・店舗本部)

使用ツール: Make.com

難易度: ★☆☆ 易

所要時間: 約 60 分

Slack で決まった大事な話が、スクロールの彼方に消えていく ── 小規模チームに頻発する悩みです。Make.com を使い、特定チャンネルの投稿や絵文字スタンプ付き発言だけを Google スプレッドシートへ自動転記すれば、議事ログの手作業を編集部試算で週約2時間削減できます。本記事は60分で組めるセットアップ手順です。

読了時間 約9分 / 設定所要時間 約60分 / 月額固定費 ¥0-1,500

編集長の見解 ── Slack とスプレッドシートを繋ぐ自動化は定番ですが、「全チャンネルの全投稿を片っ端から記録する」設計は最初の1週間で破綻 します。雑談やスタンプ1つまで記録され、スプレッドシートが読むに堪えないログの山になるからです。本レシピは「記録対象チャンネルを絞る」 か「✅ スタンプが付いた発言だけ拾う」 という選別ステップを必ず入れます。Make.com の Slack トリガーを起点にすれば、現場の判断を尊重しつつ、スプレッドシートには「後で見返す価値のあるログ」 だけが積み上がります。月¥0 (Make Free 枠) から始められるため、小さなチームでも導入をためらわずに済むのが大きな利点です。

なぜ Slack の決定事項は流れて消えるのか

Slack はリアルタイムのやり取りに強い一方で、情報がタイムラインを流れて埋もれる 構造を持っています。中小企業の経営者や個人事業主が「あの件、誰がいつ決めたっけ」 と過去ログを掘り返す時間は、想像以上に積み重なります。

課題1件あたり所要週10件で換算
決定事項を過去ログから探す約4分週 約0.7時間
議事ログをスプレッドシートに手入力約5分週 約0.8時間
報告・日報を1か所に集約約4分週 約0.7時間
記録漏れの後追い確認約3分週 約0.5時間
合計 (週10件想定)約16分/件平均週 約2.7時間

このうち 「決定事項の特定」 と「スプレッドシートへの転記」 は機械化できる領域で、合計の大半を占めます。Make.com で「対象チャンネルの投稿を自動で1行記録」 する仕組みに切り替えるだけで、編集部試算で 週約2時間 の工数が戻ってきます。

時給¥2,500 のスタッフ換算なら週¥5,000、月¥20,000 規模の人件費圧縮に相当します。Make Free 枠 (¥0) で組めば、投資回収はそもそも発生しません。

続いて、編集部が実装した全体像を ProcessFlow で示します。

完成形のフロー (ProcessFlow)

Make.com × Slack × Google スプレッドシート 議事ログ自動記録レシピ
💬
01
Slack 投稿
対象チャンネルにメッセージが投稿される (または ✅ スタンプが付く)
🔍
02
チャンネル絞り込み
対象チャンネル ID と一致する投稿のみ Make シナリオを起動
📥
03
本文・投稿者取得
Slack API でメッセージ本文・投稿者名・投稿日時を取得
🧹
04
整形・分類
本文を整え、必要なら「決定 / TODO / 報告」 のカテゴリを自動付与
📊
05
スプレッドシート追記
Google スプレッドシートに日付・投稿者・本文・URL を1行追加

Slack の投稿 → Make で受信 → 条件フィルタ → スプレッドシートに1行追加、までを自動制御

ポイントは Step 02 でチャンネル絞り込みを上流に置く ことです。全ワークスペースの投稿を拾うとスプレッドシートがすぐに飽和するため、最初に「議事ログ対象チャンネル」 へ絞り込むと、後段の処理量が現実的なレベルに収まります。

次セクションでは、このフローを動かす最低限のツール構成を整理します。

必要なツール (小規模チーム向け最小構成)

ツールプラン月額 (税別)役割
Make.comFree (月1,000 オペレーション)¥0フロー全体の制御 (上位プラン: Core 約¥1,500)
Slackフリープラン¥0チームの会話・意思決定の場 (有料は ¥1,050/ユーザー〜)
Slack App (Bot)無料¥0投稿イベント検知・本文取得用のトークン発行
Google スプレッドシート無料 (Google アカウント)¥0議事ログのデータベース

合計: 月 ¥0 (すべて無料枠で完結)。Make の上位プランや Slack 有料プランを使う場合でも、3名チームで月¥5,000 前後の範囲に収まります。

オペレーション消費の試算: 1件の記録あたり Make モジュール 3-5個 (トリガー受信 / Filter / Slack 本文取得 / スプレッドシート行追加 など) を通過します。週10件 (月約40件) で 120-200 オペレーション、月100件でも 300-500 オペレーション となり、Free 枠 (1,000 オペレーション) に十分収まります。

編集部の判断: 議事ログ用途は本質的に記録頻度が低いため、Free 枠で足ります。月200件を超える運用が見えてきたら Core プラン (約¥1,500 / 10,000 オペレーション) への切り替えが現実的です。

💡 Make の「オペレーション」 とは

1つのモジュールが1回実行されると1オペレーションを消費する仕組みです。本レシピは1件あたり3-5オペレーションなので、月1,000オペレーション枠 = 月 約200-330件の記録上限と覚えておくと見通しが立ちます。詳細は Make.com Pricing を参照してください。

続いて、実装手順を TimelineSteps で示します。

設定手順 (約60分)

Make.com × Slack × Google スプレッドシート セットアップ
00:00 - 00:15
Slack App を作成して権限を付与
Slack API サイトで App を新規作成し、Bot トークンに必要なスコープ (channels:history, channels:read, users:read) を付与してワークスペースにインストールします。
00:15 - 00:25
Google スプレッドシートを準備
「議事ログ」 シートを作り、1行目に 日付 / 投稿者 / カテゴリ / 本文 / Slack URL の見出しを入れます。Make が行を追記する土台です。
00:25 - 00:40
Make シナリオで Slack トリガーを追加
Make で新規シナリオを作成し、Slack の「Watch Public Channel Messages」 モジュールを配置。Slack 接続を作成し、監視する対象チャンネルを1つに限定します。
00:40 - 00:50
フィルタとスプレッドシート追記を接続
必要なら ✅ スタンプ付きだけ通すフィルタを挟み、Google Sheets の「Add a Row」 モジュールに投稿者・本文・日付・URL をマッピングします。
00:50 - 01:00
テスト実行とスケジュール設定
対象チャンネルにテスト投稿し、Run once でスプレッドシートに行が増えるか確認。問題なければシナリオを ON にし、実行間隔 (15分ごと等) を設定して稼働開始です。

初日60分で稼働開始できる順序。Slack App 作成 → スプレッドシート準備 → Make シナリオ接続の3ブロック構成

Step 1: Slack App を作成して権限を付与 (15分)

Slack API: Your Apps にログインし、以下を順に進めます。

  1. Create New AppFrom scratch を選択し、App 名 (例: MiraQuill-Log-Bot) とワークスペースを指定
  2. OAuth & PermissionsBot Token Scopeschannels:history / channels:read / users:read を追加
  3. Install to Workspace でインストールし、Bot User OAuth Token (xoxb- で始まる) を取得
  4. 記録したいチャンネルに、作成した App を /invite で招待

Bot トークンは パスワード相当の機密情報 です。1Password / Bitwarden 等の管理ツールに必ず控え、平文での共有や Slack 投稿は避けてください。漏れると外部からワークスペースの履歴を読まれる恐れがあります。

Step 2: Google スプレッドシートを準備 (10分)

Google ドライブで新規スプレッドシートを作り、1行目に見出しを入れます。構成例は以下です。

見出し用途
A日付Slack に投稿された日時
B投稿者Slack のユーザー名
Cカテゴリ「決定 / TODO / 報告」 等の分類 (任意)
D本文Slack メッセージの本文
ESlack URL元メッセージへ戻るためのリンク

見出し行を1行目に置いておくと、Make の「Add a Row」 が列を自動認識しやすくなります。シート名 (例: 議事ログ) も後で指定するため控えておきます。

Step 3: Make シナリオで Slack トリガーを追加 (15分)

Make.com にログインし、新規シナリオを作成します。

  1. 最初のモジュールに Slack → Watch Public Channel Messages を選択
  2. Connection を新規作成し、Step 1 の Bot Token を登録 (または Slack OAuth で接続)
  3. Channel で記録対象チャンネルを1つ選択 (複数チャンネルは別シナリオに分けると安全)
  4. Limit を 5-10件に設定 (1回の実行で取得する上限)
  5. 「OK」 → 保存

対象チャンネルを最初に1つへ絞ることが、Free 枠を守る最大のコツです。複数チャンネルをまとめて監視したい場合でも、まずは1チャンネルで動作確認してから増やすと事故が減ります。

Step 4: フィルタとスプレッドシート追記を接続 (10分)

4-1: ✅ スタンプ付きだけ拾う「精選モード」 (任意)

全投稿ではなく「重要な発言だけ」 を残したい場合は、トリガーとスプレッドシート追記の間に Filter を挟みます。条件例は「リアクションに white_check_mark (✅) が含まれる」 です。スタンプによる人間の選別が入るため、ログの質が安定します。

全件残したい「全件モード」 の場合は、このフィルタを省略すればそのまま全投稿が記録されます。

4-2: Google Sheets に1行追加

Google Sheets → Add a Row モジュールを追加し、Step 2 のスプレッドシートとシート名を選択。各列に Slack の値をマッピングします。

スプレッドシート列Slack 側のマッピング
日付メッセージの ts (投稿日時) を日付形式に変換
投稿者userusers:read で名前に解決した値
カテゴリ本文に「決定」「TODO」 等が含まれるかで自動分類 (任意)
本文メッセージ本文 (text)
Slack URLチャンネル ID と ts から組み立てたパーマリンク

ここまでで「Slack の発言が1行ずつスプレッドシートに積まれる」 状態が完成します。

公式ドキュメント参考: Slack API - conversations.history / Google Sheets API - Writing values

Step 5: テスト実行とスケジュール設定 (5分)

Make シナリオ右下の Run once を押した状態で、対象チャンネルにテスト投稿します (精選モードなら ✅ スタンプも付けます)。数秒〜数十秒でスプレッドシートに新しい行が現れれば成功です。

確認できたらシナリオを ON にし、実行間隔を15分ごと などに設定します。リアルタイム性が不要な議事ログ用途では、15-30分間隔でオペレーション消費を抑えるのが定石です。

続いて、編集部が試算した導入前後の業務指標を整理します。

Mira のシミュレーション (期待効果の試算)

以下は 編集部による試算 です。実際の効果はチーム規模・記録粒度・既存の運用体制により変動します。 背景: 中小企業庁「中小企業白書」 では、社内情報共有・ナレッジ管理に関わる時間は従業員あたり週2-5時間が一般的範囲とされています。

前提: 5-20名の小規模チームで、週に記録すべき決定事項・報告が約10件、担当者が週1-2回スプレッドシートを手で整理している想定:

導入前後の業務指標 (編集部の試算)
Before (手動スプレッドシート記録)
  • 議事ログ記録工数: 週 約2.7時間
  • 記録漏れ: 週 2-3件
  • 決定事項の検索性: 低 (Slack 内に分散)
  • 転記ミス: 週 1-2件
After (Make 自動記録)
  • 議事ログ記録工数: 週 約0.5時間 (-2.2h)
  • 記録漏れ: 0件 (自動記録)
  • 決定事項の検索性: 高 (スプレッドシート全文検索)
  • 転記ミス: 0件 (機械転記)

週 約2時間削減 = 時給 ¥2,500 換算で週 ¥5,000、月 ¥20,000 のスタッフ人件費圧縮

時給¥2,500 のスタッフ換算で週¥5,000、月¥20,000 規模の効果が、月 ¥0 (Make Free 枠) の投資で得られる試算 です。投資対効果 (ROI) としては実質「無料で得られる純利益」 に近い構造です。

次に、編集部が現場で見てきた失敗パターンを3つ整理します。

編集部の警告 (失敗パターン)

失敗パターン 1: Slack スコープ不足で本文が空になる

Slack App の Bot Token Scopes に channels:history を付け忘れると、トリガーは発火しても本文 (text) が取得できず、スプレッドシートに空行だけが増えます。投稿者名を出すには users:read も必要です。スコープを追加したら 必ず Reinstall しないと反映されない点も要注意です。Slack API: OAuth Scopes

失敗パターン 2: 全チャンネル監視で Free 枠を一気に消費

Step 3 でチャンネルを絞らず複数チャンネルや全公開チャンネルを監視すると、雑談やスタンプ遊びまで拾い、Make オペレーションを早期に使い切ります。記録対象チャンネルを1-3個に限定 し、必要なら ✅ スタンプの Filter を入れてください。これだけで Free 枠運用が現実的になります。

失敗パターン 3: 同じ投稿が二重記録される

実行間隔とトリガーの設定がかみ合っていないと、同じメッセージが複数回スプレッドシートに追記される「二重発火」 が起きます。対策は Make トリガーで 取得済みメッセージの境界 (last processed) を正しく扱う こと、または スプレッドシート側で Slack の ts (一意な投稿 ID) を1列に保持し、重複を後から除外できるようにしておくことです。

続いて、月¥0 の運用をさらに広げたい場合の補助金活用案を編集部から提案します。

補助金活用 (編集部の提案)

💰 IT 導入補助金 + 小規模事業者持続化補助金

本レシピ単体は月¥0 で運用できますが、Slack 有料プラン・Make 上位プラン・スプレッドシートを起点とした基幹システム連携まで広げる場合、IT 導入補助金 2026 (最大¥450万、補助率 1/2 - 3/4)小規模事業者持続化補助金 (最大¥200万) の対象になり得ます。詳しくは IT 導入補助金 2026 / 小規模事業者持続化補助金 2026 の解説記事を参照してください。

なお、補助金の採択 (申請が通ること) は要件審査次第で必ずもらえるものではありません。事業計画書には本記事の自動化レシピを「社内情報共有の業務改善施策」 として位置付けると、加点要素になりやすい傾向があります。

関連レシピ

導入を進める前後で、以下の関連レシピも合わせて検討すると効果が拡張できます。

まとめ

Slack に流れる決定事項や報告を「Google スプレッドシートに1行ずつ資産化する」 運用は、月 ¥0 (Make Free 枠 + Slack・Google 無料枠) の初期投資で 週 約2時間の記録工数削減 が現実的に達成できます。Make Free プランの1,000オペレーション枠は、月200件規模の記録まで十分まかなえる試算です。

重要なのは「全投稿を拾わない・対象チャンネルを絞る、または ✅ スタンプで選別する」 設計を維持することと、Slack App のスコープ (channels:history / users:read) を正しく付与・再インストールする 仕様を理解することです。60分のセットアップさえ越えれば、翌日からチームの議論が「Slack で流れて消える」 から「スプレッドシートに積まれる」 に変わります。


出典・参考情報


よくある質問

Q. Make Free プラン (月1,000 オペレーション) で本当に足りますか?

編集部の答え: 月100-200件規模の記録までなら足ります。1件あたり3-5オペレーション消費するため、月100件で 300-500 オペレーションの試算です。月200件を超えるようなら Core プラン (月¥1,500 / 10,000 オペレーション) への切り替えを検討してください。

Q. Slack のフリープランでも使えますか?

編集部の答え: 使えます。本レシピは Slack App (Bot) のトークンと公開チャンネルの履歴取得で動くため、フリープランで開始できます。ただし Slack フリープランはメッセージ履歴の保持期間に制限があるため、「流れて消える前にスプレッドシートへ移す」 という本レシピの価値はむしろフリープランで大きくなります。

Q. プライベートチャンネルや DM も記録できますか?

編集部の答え: プライベートチャンネルは groups:history スコープと App の招待が追加で必要です。DM の機械的な記録はプライバシー上のリスクが高いため、編集部としては推奨しません。記録対象は「業務上の意思決定が行われる公開チャンネル」 に限定する運用が安全です。

Q. 投稿者名が ID (Uxxxx) のまま記録されてしまいます。

編集部の答え: Slack のメッセージは投稿者を内部 ID で持つため、users:read スコープを付けて Make 側で「ユーザー名に解決する」 ステップを入れる必要があります。スコープ追加後は App の Reinstall を忘れずに行ってください。

Q. 個人情報や機密情報がログに混じる可能性はありますか?

編集部の答え: あります。Slack の発言を機械的にスプレッドシートへ転記する性質上、スプレッドシートの共有範囲を担当者・管理メンバーに限定 する運用が前提です。全社共有のスプレッドシートに転記する設計は推奨しません。記録対象チャンネルと共有範囲のルールを事前に周知してください。


本記事の数値・事例のうち、「編集部のシミュレーション」「編集部の提案」 と明示された箇所は編集部による試算・推論です。実際の効果はチーム特性により変動します。事実関係 (機能・料金) は各社公式情報源を確認のうえご判断ください。

編集長 Mira / AI経営ラボ 本記事は 2026-06-05 時点の情報です。料金・機能は各社公式情報を最新でご確認ください。

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Mira / AI経営ラボ 編集長

最終更新: 2026年6月5日 / 初出: 2026年6月5日